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第3話 ワシントン・ロンドン海軍軍縮条約の影響

 そういった大きな影響が、ドイッチュラント級装甲艦の建造によって、独仏伊海軍を中心に欧州諸国の海軍に巻き起こされていた頃、英海軍はともかくとして、日米海軍は、ワシントン、ロンドン海軍軍縮条約の下で、できる限りの軍艦、艦隊強化を図ろうとしていたのが、史実でした。


(この頃の英海軍は、何故に軍艦、艦隊強化を懸命に図ろうとしなかったのか、という論難を私はネットで読んだ覚えがありますが。

 私が見る限り、英海軍にしてみれば、余裕があったのが大きい、と考えます。


 何しろ英海軍は、この当時、フッド級(巡洋)戦艦1隻、レナウン級(巡洋)戦艦2隻を保有しており、ドイッチュラント級装甲艦3隻に対して、攻防走全てにおいて圧倒できる軍艦を、質量共に優勢な状況で保有している、と言っても良かったのです。


 更に言えば、独仏伊の三国海軍が共闘するという、アリエナイ状況でも、英海軍は余裕を持って対処できると言うのが、ヒトラーが政権を獲得して、ヴェルサイユ条約の制限を無視した軍拡を、ドイツ政府が図るまでの状況だったのです。


 こうしたことからすれば、英海軍が積極的に軍拡を図る必要は、当時、無かったと考えます) 


 話が逸れかねないので、日米海軍が対峙していた、といえる太平洋の当時の状況を言えば。

 結果的に艦隊決戦主義を採っていた米海軍にとって、日本の金剛級(巡洋)戦艦は頭痛のタネでした。

 ワシントン海軍軍縮条約の結果、レキシントン級巡洋戦艦を建造、保有できなかった米海軍には、金剛級戦艦に対抗可能な軍艦は無かったからです。


 それこそ攻撃力というか、装備している主砲は完全に戦艦並みである一方、走力、速力は米海軍の戦艦を圧倒するのです。

 又、防御力も度重なる改装の結果、戦艦からそう引けを取らないモノになっていました。


 こうした史実から、海軍軍縮条約が廃棄された後、米海軍は、金剛級戦艦を圧倒できるアイオワ級戦艦の建造に奔るという事態が引き起こされます。


 その一方、全くの誤情報でしたが、米海軍の下には、日本が海軍軍縮条約を無視して、新型の大型巡洋艦(どういったことから、そういった誤情報が流れたのか、私としては謎ですが)を建造しようとしているという情報が、この頃に飛び込みます。


 その建造コンセプトですが、全くの誤情報だったことも相まって錯綜することになりましたが、最終的に、ドイツのシャルンホルスト級巡洋戦艦類似の大型巡洋艦と、米海軍は推測することになりました。

 そして、このことは米海軍にとって頭痛のタネを増やしました。


 それこそ日本海軍の新型の大型巡洋艦が建造されて、遊撃戦、例えば、通商破壊戦等を展開するような事態が起きては、そのようなことをしなくとも、複数の水雷戦隊の旗艦任務を務めるようなことがあっては、そうなった場合、我が米海軍の重巡洋艦で対応可能だろうか、と米海軍は考えたのです。


 そうしたことから、アラスカ級大型巡洋艦の建造が、米海軍では計画されることになりました。


 そして、それを察知した日本海軍も、アラスカ級大型巡洋艦に対抗する為に、超甲巡の建造を計画することになります。


 私にしてみれば、本当に日米海軍双方の疑心暗鬼の結果として、超甲巡とアラスカ級大型巡洋艦の建造が計画されたとしか言えない事態で、何とも言えません。


 そして、最終的に史実では、超甲巡は結局は計画に止まることになり、アラスカ級大型巡洋艦は6隻が建造予定のところ、2隻が完成するのみで終わりました。


 もしも、太平洋戦争勃発が数年遅れ、超甲巡が実際に竣工していたら、アラスカ級大型巡洋艦と砲火を交えた可能性がありますが、それは結局のところ、現実世界では幻に終わったのです。

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