第1話 戦闘巡洋艦という艦種名について
戦闘巡洋艦?
そんな艦種名は聞いたことが無い、という人が圧倒的多数と考えますが。
私なりに考えた結果です。
超甲巡ですが、史実の日本海軍が⑤計画等で建造を計画した艦名になります。
更に言えば、この前後に、ドイツはシャルンホルスト級巡洋戦艦、アメリカはアラスカ級大型巡洋艦、といった感じで、史実で表面上は似た性能の軍艦を建造しています。
(他にも、フランスはダンケルク級戦艦、ソ連はクロンシュタット級重巡洋艦を、似たようなコンセプトで建造しています。
(細かいことを言えば、ソ連は独ソ戦等による影響から、建造途中で中止になりましたが)
更に言えば、イタリアはコンテ・ディ・カブール級戦艦とカイオ・ドゥイリオ級戦艦を、こういった艦種に対抗する為に大改装を行なう事態が起きています)
こういった各種の軍艦を、どのような艦種名で呼称するのが相当なのでしょうか。
別に巡洋戦艦で問題ないだろう、と多くの方から言われそうな気がしますが。
私としては、どうにも違和感を覚えることで、敢えて戦闘巡洋艦と呼称しています。
何故に、そこまで私が拘るのかですが、巡洋戦艦という艦種名の由来からです。
巡洋戦艦ですが、私の理解が誤っているかもしれませんが、英海軍のフィッシャー提督等による、
「高速度は装甲の薄さを、充分にカバーできて、戦艦に対抗できる軍艦だ」
という主張から建造が行われた艦種になります。
つまり、巡洋戦艦は、いざという際には戦艦と砲撃戦を行なう前提で建造された艦種になります。
実際、日本海海戦等を見る限り、当時の装甲巡洋艦は、戦艦とそれなりに対抗できていました。
だから、フィッシャー提督等の主張は、それなりに受け入れられてきたのです。
ですが、第一次世界大戦におけるユトランド沖海戦等は、装甲巡洋艦や巡洋戦艦の価値を暴落させえる事態を引き起こします。
「高速度では装甲の薄さを、充分にはカバーできない。戦艦には、攻防走が高い次元で三拍子が揃っている必要があるのだ」
そういった主張が、世界の海軍大国内では主流になるのです。
(実際、日本海軍が血眼になって推進した八八艦隊における巡洋戦艦は、完全に防御も充実しており、高速戦艦の建造を図っていたとしか、私の目からは、言いようがありません)
そして、こういった第一次世界大戦の戦訓を踏まえ、更には、第一次世界大戦の終結、講和を行なう為のヴェルサイユ条約、世界の海軍の軍縮を図ろうとしたワシントン、ロンドン海軍軍縮条約が締結され、という事態が、歴史の流れから、史実では起きることになります。
そうした歴史の流れから、ドイツはドイッチュラント級装甲艦を、ヴェルサイユ条約の制限の下で建造することになり、それに対抗する為に、フランスはダンケルク級戦艦を計画、建造していくことになり、それによる影響が、様々に世界に広がっていくのですが。
私が調べる限り、ドイツのドイッチュラント級装甲艦にしても、フランスのダンケルク級戦艦にしても、英国等の戦艦と直に戦うことを、基本的に想定していませんでした。
勿論、フッド級戦艦等と直に戦えるような軍艦を、想定して建造しろ、と言われて当然ですが。
私が見る限り、日本の超甲巡等は、いわゆる隙間狙いの軍艦なのです・
それこそドイッチュラント級装甲艦の主な建造理由について、
「戦艦からは逃げて、巡洋艦は火力で圧倒する軍艦なのだ」
という戦艦と巡洋艦の隙間を狙った軍艦だという主張が、根強くあるようなモノです。
(尚、後述しますが、私としては素直に肯けない主張ではあります)
そんなことから、私としては調べた末に、超甲巡等を戦闘巡洋艦と呼称することにした次第です。
どうか緩く見て下さい。
細かい話になりますが、巡洋戦艦と呼称しては、戦艦と積極的に戦うのが前提というイメージが私には湧いてならないのです。
しかし、史実の超甲巡等は、戦艦とは積極的には戦わず、戦いを回避するのが前提です。
そうしたこともあって、戦闘巡洋艦と呼称した次第です。
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