プロローグ 仮想戦記等における超甲巡等への想い
日本では結局、幻に終わって建造されなかった超甲巡ですが、1990年代に流行した仮想戦記では、度々、登場する存在だった、と私は覚えています。
それも、私の記憶が誤っているかもしれませんが、文字通りの火葬戦記系ではなく、リアル系の仮想戦記において、超甲巡は登場した上で、活躍することが多かった気がします。
例えば、故佐藤大輔氏の「レッドサンブロッククロス」シリーズにも出ていた覚えが、私にはありますし、谷甲州氏の「覇者の戦塵」シリーズにも、似たような発想から建造されたのでは、という軍艦が登場していた覚えがあります。
(最も佐藤大輔氏が亡くなられてからでも、既に何年も経過していますし、「覇者の戦塵」シリーズにしても、私が追い掛けて購入して読んでいたのは、2000年頃に出版された「激闘東太平洋大海戦」までなので、誤っているかもしれません。
(「覇者の戦塵」シリーズですが、その後、出版ペースが間延びしたことや、私の目からは、コレジャナイ感が強まった(そもそも対米戦を回避する方向の筈が、対米戦にドイツと同盟せずに突入した)ことから、読むのを止めてしまいました)
更に言えば、あの頃は幾つもの小説が商業出版されていて、似たような小説も多かったので、それらと私の記憶が色々と混じっているかもしれません)
それはともかくとして、史実でも似たコンセプトの軍艦が、他国では建造されています。
米国でしたら、アラスカ級大型巡洋艦、ドイツでしたら、シャルンホルスト級巡洋戦艦です。
未成艦ですが、ソ連でしたら、クロンシュタット級重巡洋艦が、途中まで建造されました。
又、ややズレかねませんが、フランスでしたら、ダンケルク級戦艦を建造しています。
そうしたことからすれば、日本で超甲巡が建造されていたら、更には、仮想戦記上で活躍させたいものだ、という想いから、多くの仮想戦記小説等において、超甲巡が活躍する事態が起きていたのだ、と今の私は考えています。
そして、実際に建造されている諸外国の似たコンセプトの軍艦ですが、極めて美麗な艦であり、又、カタログデータ上は、極めて強力に見えて、戦艦には勝てないモノの、重巡洋艦等を相手には圧勝できるように、多くの方から見られるのでは、と私は考えるのです。
でも、その一方で、ある意味では極めて残酷なことですが、様々な研究が進んでおり、更にはネット上でそういった情報が、無料で流れる現実があります。
実際には1990年代以前から、それなりに超甲巡等に対しては懐疑的な評価、意見があったようですが、昨今においては、超甲巡等についての評価、意見が、更に辛くなっており、又、私自身も、そういった評価、意見にかなり与せざるを得なくなりつつあり、それこそ、あの頃は若くて、ろくにモノを知らなかったのだな、と深く自省したくなる事態が起きています。
そんなこんなを考えながら、超甲巡等について、今の私自身の考えを纏めてみました。
超甲巡等が大好きな方々からすれば、余りにも冷たい、非好意的な見方ではないか、と叩かれそうですが、私なりに他の艦種との比較や運用コスト等までも、考え合わせた結果です。
実際問題として、個々の軍艦としては極めて優秀に見えても、建造に至った経緯や、運用構想が現実の戦争に合っていたのか否か、更には様々なコスト等まで考えあわせていくならば、疑問点が指摘され、否定的な意見が出るのも、現実にはよくあることではないでしょうか。
それこそ、一時、大和級戦艦に対し、様々に否定的な意見が出ていたのが好例だ、と私としては考えています。
そんな観点から、超甲巡等の戦闘巡洋艦について、今の私の考えを纏めた次第です。