7ページ目 ロヒヤルなお仕事
7ページ目 ロヒヤルなお仕事
わたしの名はリアファリナ、楽しい玩具を見つけたかも知れないトゲエルフよ。
実のところ、わたしはお金に困ってない。
だって、安宿だし、装備は服も武具もお手製だし、エルフだからあんまり食べられないし。
きっとこの先もお金に困るようなことはないだろう。
「その分、食材の質と調理方法にこだわりたいわねぇ。」
さて、そんなわたしが皇女様のお仕事に浮かれてるわけは??
ひとつには、パーティーでの戦闘とか、他の魔法使いとの交流はもちろんある。
でも、でもっ やっぱりお金ですっv
もうね、お金に困ってないけど、貯めるために集めてます。みたいな?
では、そんなロイヤルなパーティーとの旅立ちシーンから今回は始まりま~っす。
ついでに、浮かれ具合が判るよう、サブタイにもロヒヤル印を入れとくね。
北門にて。
「オヒメサマ~。待った?」
「ちょうどです。わたくし達も今来ましたから。」
そう言うと、皇女様はちょっと首をかしげて、
「あの~ リアファリナ様? 遠出をするからって言いましたよね?」
「うん、聞いたね。」
「でも、それなら・・・・コホン、失礼ですが、身軽過ぎませんか?」
「携帯食とか水とか予備の服とか?それなら大丈夫、必要な物は全部持ち歩いてるから。」
「え?どこにですか?」
「このポシェット。見た目と違ってすっごくいっぱい詰め込めるんだよ。
それに心配ないよ。わたしはこの格好でラクト山脈を越えて旅して来てるんだから。」
「・・・そうなのですか?」
うわ、まだ疑ってるね、その顔は。
「大丈夫、大丈夫。 それよりさ、そこに居る人達がパーティー仲間なんでしょ?
紹介してくれないかな?
せっかくだから、わたしから言うね? 名前はリアファリナ。見ての通りトゲエルフだよ。」
「「「「 トゲ? 」」」」
ありがとう。女性陣は全員そこにつっこんで来ましたね。
唯一の男性。。。というか男の子は知らん振り。
って言うか、学生服!? え・え・え~っっっ? まさかっ??
・・・っと、とりあえず、男の子は今はおいておこう。
「うん、トゲエルフ。まぁ知らないのも無理ないよ。この街ではわたしだけみたいだし。」
ウソじゃないよ? ・・・・・・・・正確には世界に唯一人だけどね。
「そうなのですか、申し訳ありません。 わたくし不勉強なものでこれまでトゲエルフと
いう種族の方は存じ上げませんでしたわ。」
「いいよ、いいよ、これから有名になるからさっv」
「はい。 それではこちらの仲間を紹介しますわ。」
「わたくしの右隣に居る女性騎士が」
「ルーシニティ・ファーラエル・リゾレングスだ。よろしくたのむ。」
「その右隣が」
「シャイア・アスコット、ミラー神に仕えております。よろしくお願いします。」
「その歳でもう侍祭なのよ。さらにその向こうが」
「オーリス。偵察よ。職業柄本名は名乗らないけど、気を悪くしないでね。」
「オーリスはとても優秀なのです。時々わたくしの侍女もして下さるのよ。」
「そして改めて自己紹介いたします。
わたくしはサフィニア・マール・リッテ・ナーシアス・エル・アイゼン。
この国の第2皇女です。」
「ヨロシクね~。それでそっちは?」
わたしは皇女様の左後ろに居る男の子に話を振る。
「この方は、ゆ・・戦士の・・・・ワタナベ・カズヒサ様です。
とても若く見えますが、この国の賢者に負けないほどの知識をお持ちで、
それに、凄く強くて頼りになる方なのです。」
そう紹介されると、気乗りしない風に男の子はこっちを見るが、何も言わない。
「あの? ワタナベ?」
何も言わない男の子に、気を利かしたのか皇女様がきっかけを与えようとする。
男の子は、仕方なさそうに、
「ワタナベ・カズヒサだ。好きなように呼んでくれ。」
そう言った。
なるほど。ふ~ん?そうなんだ。それなら、
「よろしくね勇者様。異世界から来たんですね。(必殺エルフスマイル!)」
と、コナン・ドイルの有名な探偵がワトソン君にした最初の挨拶をパクってみました。
「「「「「 なっ!? 」」」」」
あ、今度は全員ハモった。
もっとも、これで終わりじゃないわよ。
最初にガッツ~ン!とわたしの優秀さを見せつけなきゃ。
「それまでの平和な世界から、突然このような世界に来られて戸惑っていらっしゃる
気持ちは解りますが、これも何かの縁というもの。
こちらの世界は気に入って頂けましたか? あまりそう見えないのは残念ですが、
住めば都と言うでしょう? きっとこれから好きになれますよ。
それに初陣だからって硬くなる必要ないですよ?
いざとなったら、わたし独りで片付けちゃいますから。
だから、そんな黒い冬服はお脱ぎなさいな。体調崩しちゃったら元も子もないわよ。
ね? カ・ズ・ヒ・サ。」
そう、わたしは一気に言った。
「「「「 な・な、な・・・ 」」」」
女性陣はわたしの話に着いて来れてないけど、目つきが怖くなりましたっv
ふと、男の子を見ると、
おや?顔つきが変わりましたね。
「・・・・まさかこっちで、シャーロック・ホームズに出会うとは思わなかったな。」
あ、解ってくれましたか。
「ちょっとサフィニア、あんた何しゃべったのっっ 勇者だってバレてるじゃない!!」
と騎士が言う、それって不敬罪じゃないの? テンプレの幼馴染?
「言ってないっ 言ってないっ」
ぷるぷると顔を横に振る皇女様。 あ、口調が庶民的。
男の子は横目でそれを見て苦笑しつつ言う、
「あー?ニアはこう言ってるし、どうして判ったのか解説してくれるかな?
リア?・・・・・微妙に、ニアとかぶるな。
ファリナって呼ぶけど良いか?」
「ええ、もちろんよ。」
こころよく快諾してから、わたしは解説し始める。
「どうして勇者だって判ったかと言うと、
この国が最近、『勇者召喚の儀』を行ったってのは有名だから。
あなたの髪の毛、そして瞳の色。闇の精霊からの祝福の色よね。
でもね、この世界では闇の精霊が祝福を与えた生き物は存在しないの。
そう考えれば、あなたはこの世界の人間じゃない。つまり異界人。だから勇者。」
「なるほどね。でも、まだ他にもあるよな?」
「あなたの着ている服、それ動物の死骸から出た油から作られているわね。」
「「「「 ええっ 」」」」
あ、女性陣が気持ち男の子から離れましたよ。
「大昔に死んだ動物が大地に還って、なが~~~い年月を経ると、大地の下に黒い油と
なって溜まるわ。その油を使って作られた繊維でその服は編まれている。
でも、服が黒いのは後から染めているのね。それに動物の毛が編みこまれているけど、
その動物はわたしが知る限り、この世界には居ない動物ね?
しいてあげるなら羊が近いけど、全く同じじゃないわ。どこか違う。
そして、毛が入った黒い長袖の服なら冬服だって考えるのが自然よ。」
そう、こっちの羊と、あっちの羊は当然種類が違う。
言ったでしょ?精霊術で肉体だって再生出来ちゃうって。
それってつまり、DNAレベルで判別出来るくらい"識る"ことから始まるの。
もっともこの世界ではDNAなんて体系付けられた科学・医学知識は無いわけだけど。
まぁ、わたしは最初からポリエステルとかウールとか知ってて言ってるけど。
「さらに、あなたのその左腕の・・・そう、それ、
さっきからチッチッチって一定リズムで動いてるわよね。わたし耳が良いの。
一日のうち、今がいつなのかを教えてくれる機械だよね。
あなた、背が高くて大人っぽいからここに居る女性と同じくらいの歳に
見えなくもないけど、ただの童顔じゃないでしょ?
ほんとは16か17歳くらいなんじゃない?」
実は詰襟にⅡって記章バッジがついてるからなんだけどね、アハハハ(汗
そして耳が良いのはホントだけど、ここまで腕時計の音は聞こえません、えへっ
Ωマークが見えたから機械式かな?とハッタリです。クオーツだったら困るかも?
「「「「 えええ~っ! 」」」」
驚く女性陣、あなた達、さっきからそればっかりよ。
「そこまで考えれば、いくら異世界だからって、その歳でそこまで小さくなった精巧な
機械を普通に持てるハズがない。(だってオメガだし)
裕福な家庭に育って、御両親に愛されてるのかな?って。
向こうの世界を忘れたくなくて、その黒い服が冬服にも関わらず着てるのかなって。
まだ涼しいとは言え、もうすぐ初夏だし。
ならば、この世界にも馴染めたとは言えないって考えたの。」
わたしがそう言うと、皇女様は泣きそうになって、
「わ・ワタナベ、わたくし、わたくし・・・・」
男の子、あらため、カズヒサは、
「いいさ、ん、ファリナも言ったろ?これも縁なんだよ。そりゃ最初は腹立ったけどな。
もうそこは自分の中で消化したよ。だからもう『召喚してごめんなさい』は無しだ。」
カズヒサはわたしを見て、「もう終りかい?」と聞くので、
「そうね、後は、さっきオヒメサマが『戦功と実績を与えたい』って言ってたから、
きっとカズヒサは初陣なんだろうなと。
で、わたしがカズヒサって呼んだのは、オヒメサマがワタナベって呼んでたから対抗の
意味でひとつ、そして異世界人ならもしかしてカズヒサがファーストネームの可能性が
あるよねー、って思ってね。」
ウッソー、カズヒサが名前だって知ってましたからー。
そして、次男以降に「カズ」は付けないでしょう? 和かもしれないけど。
長男かな?と思ったのよね。長男ならなおさら家族を気にするよね?
みんなもわたしの優秀さが解ってくれたかな? トゲエルフなめんなっ
ねね、このカズヒサとオヒメサマ、いぢり甲斐あると思うのわたしダケかな?
なんか旅が楽しくなりそう!
そして、まだまだ、いぢりネタは続くのだ。
ついでに話が長いので TO BE CONTINUEよっv
次回!
ハダカにひんむかれる勇者様! トゲエルフよとうとう公然ワイセツに走ったか!?
果たしていぢりネタはなんだ!? 次までの宿題ですっv (必殺エルフスマイル!)
だいぶヒントはあげてるのよ。(ぽそっ
Noーーー、自分の時間軸で書いてしまったよ(^^;;
これは致命的なので直させて頂きます。
誤:昨日オヒメサマが
正:さっきオヒメサマが