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わたしの名はリアファリナ、人生とは逆風の中を歩くことだと実感しているトゲエルフだ。


「ふふふ、出来たわ!これでもうパンチラねぇちゃんとは呼ばせないっっ!アハハハハ。」




目の前の姿見には、深い青色のチュニックと白いミニスカート姿のわたしが映っている。


前回の事件でアイドルになるどころか、喜劇のヒロインになってしまったわたしは、

当然のことながら、逆境をバネに新たな魔術式を開発したのだっv


「この魔術式の開発にはなかなか苦労したのよ? 聞いてよ~奥さん。

女の意地、揺れるミニスカートはそのままにっっ!

不定形に変化するスカート内部空間を識別妨害拡張版とも居える特殊な空間で覆い隠し、

それによってミニスカ内部を見れなくしたのですっv」




これまで一定形状の固定空間に対して『識別妨害』を掛ける魔術式は在った。

腰を中心に球状の形状で掛けるなら問題は無い。

その場合、オシャレなミニスカートも見えなくなっちゃうけどね。

しかし、これがスカート内部だけ、となると、とたんに話は変わってくる。




想像してみて欲しい、光が通過する際に都合が悪い映像をフィルターする魔道のガラスを

作ったとする。

でも、そのガラスの縁は揺れるスカートに合わせて常に変形し続け、歩いたり、走ったり

左右前後どの方向へ動いてもリアルタイムに追従してズレ無く動かさなければならない。

さらに飛んだり跳ねたりすると、スカートの動きはまさに3D。

平面のみならず立体もカバー出来なければ不都合な物が見えてしまうのである。




ただでさえ、『識別妨害』は光を操作する高難易度で複雑な魔術式なのに、それなのにっ


この魔術式開発には、魔導師と女のプライドの両方が掛かっていたのだ。

わたしは、やりましたぁっv









「よーリア、今日はおまえさんにお客さんだぞ。先日の港での活躍を見たんだってよ。」


喜び勇んで朝一番に"よろず紹介所"に出向くと、おやじさんにそう声を掛けられた。


昨日までのわたしなら、またPをからかいに男が来たのかと身構え、眉間にシワが寄った

ハズだ。


でも、今日のわたしは違うわよv




「おはよう! おやじさん(ニッコリ)

わたしにお客様なの? どなたかしら?(ニコニコ)」


無駄に高いテンションと愛嬌をところかまわず振りまくと、紹介所内の酒場兼食堂で食事

をしてた男共から声が掛かる。


「リアちゃん、今日はどうし「それがね、聞いて聞いてっv」」


「新開発した魔術式で、今日からパンツ女の汚名返上ですっv

もうスカートの中は覗かせませんからねーーーっだ。」


「「「「「 えーーーーーーーーーっ!!!!!!! 」」」」






「へへ~、スカートの中を覗いても、風でスカートが跳ねても、『識別妨害』で中身は

見えないようにしたのよっv」


摺りガラス&モザイクよっ とわたしは続ける。


「なんてこった!神よ、生きる望みは失われた。」な~んて言ってる男も居る。


ふふふ、ザマーミロだっv








「貴方が巨大サメを退治した精霊使いですか?」


と、そこへ女性の声が掛かった。

あれ?この声聞き覚えある、誰だっけ?

わたしはそちらに顔を向ける。




「はじめまして、わたくしの名前は

サフィニア・マール・リッテ・ナーシアス・エル・アイゼンよ。

貴方にお願いがあってここに来ました。お時間を頂けるかしら?」


うゎ~うゎ~ THEゴージャス!って感じの美人さんがそこに居た。

髪は流れる黄金、瞳は空の晴れやかな青、スタイル抜群で、シンプルでも豪華な刺繍が

散らばめられた魔術師のローブドレスを着こなし、女性にしては背が高く、人間の女性

ならではの細身なのに腰からお尻のラインがとても、とっても綺麗な人だっv


・・・・・でも、胸は勝った!

上げ底だけどね(涙

わたしのこの胸はナイショだけど『変身』でボリュームアップしてるのだ。

だって、だってエルフなんだものっ(滝涙


それに『変身』は『解除』されない限り効果は永続なのさっv

それに知られざる他の効果もあるのよ。

あ、いっとくけど、誤魔化してるのは胸だけなんだからねっっ






「アイゼン?」


「ええ、わたくしはこの国の第2皇女です。」


ロイヤル!わたしにもとうとうロヒヤルなお仕事がっっ

今日のわたしってば凄いカモっ 人生上向いてる時ってこういうものなのね!?







コホン。


「リアファリナよ。 それで何のご用なの~?オヒメサマぁ?」


冒険者たるもの、権力に負けたらアカン。

わたしは自分にそう言い聞かせつつ、皇女様?ハンッそれがなんボのもんよ的な態度で

わざと崩して話す。だって冒険者ってぇ人種はこういうハナシかたでしょ?


皮肉屋で、乱暴者、女性と見ればからかいの対象で、真面目に話そうとしない。

バカでエロで脳みそどっかに忘れたのか!って感じの。

テンプレな冒険者像をハズしたら、この世は舐められるだけよ。


内心、自分の顔が「¥ー¥」マークにならないよう気をつけながら。

だってロイヤルなんだモンっお金よっv 依頼を果たせばヒダリうちわですよっ!!






「貴方の精霊使いとしての腕を見込んで、ぜひお引き受けして欲しい事があるのです。」


「ふんふん、続けて?」


「この街から北東へ10日ほどの距離にピネという村があるのですが、

そこで奇病が流行ってるらしいの。

原因については大体判ってて、その村から東に半日ほど登った山の沼地に、奇妙な怪物

が居るの。そいつが毒を撒き散らしているのよ。

毒は風に乗って村の人たちを苦しめる奇病の元になっていると思われます。」




「奇妙な怪物、ね。 いったいどんなヤツ? 数は?」


「それがはっきりしないの。小さいのや大きいの、形もバラバラで全然似てないらしい。

数は報告にあったのは17体。でもこれは毒に汚染されている場所で調査が完全に出来な

かったらしいからもっと多いと思われます。」


「ふ~ん、それで? わたしは何をすれば良いわけかなぁ?」


「わたくし達のパーティーと行動をともにしてもらって、その奇妙な怪物達を根絶する、

しかるのちに、毒で犯された沼地やその周辺の『解毒』や『浄水』で清めるの。

貴方、『解毒』『浄水』は使えるわよね?」


「ええ、問題ないわよ。」


「よかった。『解毒』に関しては、わたくし達のパーティーに所属している神官も使える

から、あなたの負担を軽減出来ますわ。」





「ねぇ?騎士団は何してんの? そんな危ない怪物、とっとと退治しちゃいなさいよ。」


「それは一度行いました。『解毒』や『浄水』も併せてその時に。

たぶん退治しきれなかった怪物が増えて元の木阿弥になったのだと思います。

だから今回は徹底的に、完全に、退治しなきゃならないのです。」


「怪物達の強さは?」


「それもバラバラなのです。動きは遅いらしいけど、たまに力が強いヤツが居ると聞いて

ます。前回退治に出向いた騎士隊で被害は軽微だったので、その程度だと思われます。」


怪物が毒を撒いてる、か。

ん~?まぁこれに関してはまだ情報不足ね。


「で、どうでしょう?引き受けてくださいますか?」


「そうね、もう2つ確認させて?」


「はい、何でしょう?」


「どうして今回は騎士団じゃなくて、皇女様が出向くの?」


ロイヤルの仕事はきな臭い。これ常識!


「それは・・・」


「話せない?」


「いえ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・わたくしの、好きになった人に戦功と実績を与えたいのです /////」




その間はナンデスカ?

ん~、ほんとの事を言ってそうだけど、それが全てじゃなさそうねぇ?


「リア、裏事情は確かにあるが、その件に関しちゃおまえさんが気にする必要は無いぞ。」


と紹介所のおやじさんから声が掛かる。

ふーん、おやじさんは知ってるんだ。後で聞こうっと。




「まーいいわ。それじゃ、パーティーの他の人達はどんな人達なの?

神官が居るようだけど、皇女様は魔術師なの?」


「はい、わたくしは魔術を扱えます。どうしてそれを?」


「見た目でね。魔術師にありがちなカッコでしょ?」

ほんとのところ、この世界の魔術師のカッコなんて知らないから適当言っただけなの。


「わたくしのパーティーは、ゆ・・戦士が一人と、騎士、偵察スカウト、神官、魔術師で、

女性が4人居ますから、貴方が加わっても生活面で戸惑うことは少ないと思います。」


「ふむふむ。その戦士さんが男性なの?」


「はい、そうです。」


「聞いて良いかな?普段どんな戦い方をしてるの?精霊使いに期待する動きは?」


「はい、ゆ・・戦士は両手剣で、騎士が盾と細剣、スカウトは弓と短剣です。

わたくしと神官が後ろから援護する形で戦ってます。

それに、ゆ・・戦士は腕力が強く背も高くて、広い場所では矛を振り回したりしますv

貴方には精霊術の『癒し』『火炎』とか直接的な援護と、『風の護り』といった間接的な

援護をお願いしたいのです。」




「なるほどね。 ねぇ?村の病人達を治したりも今回のお仕事の内なの?」


「いえ。。。一度病気に侵されると、『解毒』や『癒病』では回復しないのです。

手足の痺れ、歩けなくなったり、目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったりなどの

症状を発症すると、もう全快は見込めないと聞いてます。

それにどうやら病気はうつると考えられてます。

この季節、海から山へ風が吹くので毒が村に届くことはないはずですが、なぜか発症する

人が後を絶ちません。なので、わたくし達は村には立ち入りません。

村の人達には申し訳ないことだけれど、勇気有る善意の人達にお世話はお任せとなります。」


「理由が解らず発症するか、それはやっかいね。」


「怖気づかれましたか?それも仕方ないことだと思います、しかし、それでもっ

今は優秀な精霊使いが必要なのです。どうか、どうか、そこを曲げてお願いします!」


皇女様ったらわたしの手を両手で包んで拝むように依頼してくる/////





「いいわ、引き受ける。」


向こうでおやじさんが小さくため息をついてるのが見える。安堵?それとも?


「ありがとうございますっっ

それで、えっと、急で申し訳ありませんっ もうじきお昼に出発なのですっ」


「あちゃー、その村って遠いんだよね?泊まってる宿を引き払って来るから待ってて。」


「はいっ 正午に北門でお待ちしております。それでよろしいでしょうか?」




「人命がかかってるから先に引き受けたけど、まだ報酬を聞いてないよ。」


「あっ///// 報酬は往復の必要経費と、金貨2枚です。」


紹介所内にどよめきが走る。まぁ金貨2枚ならね、慎ましく暮らせば1年はもつ額だし。




「了解。これで良い?おやじさん。」


一応、紹介所のおやじさんの顔も立てなきゃ。


「ああ、国からの依頼については紹介料は別な形でもらってるんでね。それで良いさ。」




「それじゃ、後で北門で。」


「はい、お待ちしておりますわ。リアファリナ様。」


そう言うと、皇女様は一礼して出て行った




「うふふふふふふ、い~~~やっっったぁぁぁあああv 初パーティー、初ロイヤル!」

わたしがそう浮かれて叫ぶと、


「よっしゃーリアちゃんの活躍を祈って乾杯だーー!」

まだ朝。。もうすぐお昼だけど、すでに出来上がってる人達からお祝いの声があがる。


「うふふ、ごっっめんねー?すぐにお出かけなのーv 帰ったら祝杯あげようねー。」






そう言ってわたしは宿に向かうべく、紹介所の入り口をくぐって外にでると、


「ねぇ?なんで皆付いて来るわけ?」


なぜかゾロゾロと男衆も外に出てきてる。あ、おやじさんまで。


「いやぁ////。。。おみおくり?」とその中の一人が言う。


わたしはピンと来ました。

ここぞとばかりに、左手の甲を口を覆う形で右ほほに当てながら高笑いをする。


「オホホホホホ、待っても無駄よーvわたくしのミニスカートの中は見えませんことよ。」

あ、つい皇女様はいっちゃった/////




そう言ったのに皆、中に入ろうとしない。

わたしはスカートを押さえ、ついモジモジしながら言う、


「ちょっとっ、スケベっ 見ないでよっ/////」


「おいおいリア、俺たちゃおまえさんのお見送りだぜ?

それに、おまえさんの魔術式には全員興味があるのさ、なんたって詠唱いらずだからな。

それとも何か?自慢の新しい魔術式は見せられねぇのか?

ま、おまえさんが見せられねぇってんなら、諦めるがな。

しかたねぇさ、新しい魔術式なんぞ、そうそう簡単に出来るもんじゃねぇしな。」


いかにも残念だって顔したハゲおやじ。


「ぐぐっ よしっそこまでいうなら見せてやろうじゃない!

わたしの見えなくなったスカートの中をねっっ/////  魔法オタク舐めんナッ!」


「オタクってなんだ?」「知らんがなんか偉そうだ?」ふふん、みてろよーーーっ




『飛翔』

わたしは一気に10mほど上昇する。どうだっ(エヘン)


下に居る、紹介所のハゲおやじを含めた男衆は、一瞬アホ面をさらし、


「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおぁあああああ」」」」」


きゃっ、すごいどよめきで驚いたわたしはとっさにスカートを押さえた/////


「俺は・・俺はもう死んでもイイ」


さっき生きる望みが無いとか言ってた男がそういう。

ふふん、そうでしょそうでしょ。






やったやったぁ! リアファリナ、リベンジ成功!!!!!!

男って存在に勝ちましたーーーっv






そうして宿の方に飛んで良くリアを見送った紹介所のおやじは、こう呟いた。


「確かに何がなんだか視認できないよう、解らなくなってたな、ありゃすげーわ。

でもよぉ、摺りガラスとモザイクってのがどういうモンなんだか知らねーけどよ?

白いスカートの中に白パンツと健康的な太ももの肌色がよ、遠めにゃ白と肌色だけが

見えちまって。。。。

ありゃぁハッキリ見えるより、かえってエロくなってんぞ?」


そう言っておやじは中に入った。

その背後では、


「エロフ、サイコー!」の掛け声が聞こえたとか聞こえなかったとか。



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