45ページ目 同じ時を刻んで
どれだけ時間を掛けても、これで満足!なんてどこにも無くて、
時間があればあるだけ直したい所が出てきちゃうのね。
なので、いったんアップしてクールダウンしてから修正すること
にします。
45ページ目 同じ時を刻んで
その時のわたしが何を考えて行動したのかは今さら思い出そうとしても、もう解らない。
思考速度も情報処理能力も、そして、全知に等しい情報検索能力があまりに桁外れで。
あのときの圧縮された記憶情報を、今のわたしが読み解こうとすると酷い頭痛が走る。
なので、なんとなく『こんな風に考えてた……ハズ』と後から思い返して日記に記す。
突然現われた魔将軍に致命傷を負わされ意識を失ってからの次の記憶は、頭にすごい衝撃
を受けて目を覚ましたところから。
気付いた時、わたしの目の前にはすでに事切れていたニアが横たわっていた。
ニアの身体に、見た目で判る傷は無い。
穏やかに閉じた瞳、眠っているようだけど、今にも瞳を開けて話し出しそうな。
けれど、生きてる人にあるべき精霊の力を全く感じない空っぽなその身体には、もう時が
流れていなかった。
誓った想いは唯一つ。
わたしの前では、絶対に死なせない!!
そんなこと絶対に認めないっ!!
あの力を、自分から頼ったことはこれまでに無いけれど。
だけど今使わずしてどうする?
胸に剣を刺したくらいじゃ、死なないことは判ってたけど本気で痛い。
こんなこと何度も経験するモンじゃない。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
真っ赤に染まった視界は、しだいに真っ暗になってゆく。
それでも、思うようにあの力は引き出せずに、時間ばかりが過ぎてしまう。
このままじゃ、時間が足りなくなるっ!!
叫んだようにも思うし、そうじゃなかった気もする。
ス~っと落ちるように楽になってから、それと気付いて瞳を開けた。
そこは真っ黒な世界。
周り中どこを見ても、何も見えない。
耳を澄ましても、何も聞こえない。
どれだけ集中しても、何も感じない。
「うそ? わたし気を失っちゃった!?」
自分の声すら、闇に吸い込まれて何処からも反響音が無い。
『静寂』が効いてる中で話をした時のように。
真っ黒な世界で、呆けていたのはつかの間。
ニアが『勇者召喚の儀』の契約に従って消滅するまで、残り5秒あるかないか。
気を失ってる暇なんてないのに。
気が急くと同時に、なぜかまだ大丈夫、という根拠は無いけど妙な確信もある。
気持ちを無理やり落ち着かせると、解るものがあった。
そう、なぜなら、この世界は……
時間は動いているのに、時間が経過しない世界なのだから。
どんな原子時計の最小時間よりもさらに小さい、観測限界よりなお短い時が支配する場所。
原子すらも止まって見えるこの世界では時間は意味を持たないと言っていい。
ここでは、体感で百年ほど過しても光は1ミリだって進まない。
何も見えない、聞こえない、感じないのは当たり前だ。
肉体が持つ神経の伝達速度は、わたしの思考速度よりも相対速度で天文学的な差がある。
時は止まってないのに、わたしの知覚よりずっとずっと遅く、動いてないに等しい時の国。
光すら動くことを許されないこの世界では、何も起きないし、何も始まらない。
この真っ暗な場所は、世界中の何処にでも在って、けれど、何者も到達出来ない所に在る。
物質に依存している限り、この時の国には入れない。
肉体に囚われている限り、この時の国を認識出来ない。
わたしがそのことに気付くと同時に、まるで視界が入れ替わるように周りが見え始めた。
ちがう。
見えているのではない。視覚はこの時の国で物を見ることは出来ないのだから。
目で見えてないのにそこに何が在るのか解るのだ。
この感覚は何なのだろう?
今、わたしは唯識によって世界を知覚し、そして影響を与えている。
五感を越え、第六感をも通り越した先にあるもの。
それは色即是空で空即是色であり、阿頼耶識などとも呼ばれているもの。
唯識による知覚は言葉に表すのは難しい。
其処に在るモノがどんなモノなのかが全部解ってしまう、といえばイメージ出来るかな。
そう、例えて言うならば……
ここにリンゴが在るとしよう。
普段のわたしなら、そのリンゴは赤い、とか、うまそう、とか形が綺麗だとかくらいしか
知覚しないだろう。あ、蜜が詰まってそう、とかもあるかな。
今のわたしなら、そのリンゴが何処で作られたのか、誰が作ったのか、そのリンゴの木が
過去にどれくらい実を収穫できたのか、それらは誰に売られてその人達のプロフィールは?
アップルパイで食べたのか?アップルティーで飲んだのか?摺りリンゴで食べたのか??
毎年の平均収穫量は?収穫の落ちた年の気候は?昨年使った肥料は?その肥料の成分は?
たった一つのリンゴを基点に、そこから知りたい情報が、まるでツリー構造のように全て
まるっと解ってしまう。
見ただけで全てが解ってしまう力なんて、わたしにとっては邪魔物でしかないのに。
けれど、今だけは……今だけはこの力に感謝しよう。
光すら動けない真っ暗な世界、唯識でのみ知覚出来る世界にも、ようやく慣れてきた。
わたしの前には、カズヒサに抱きしめられて横になっているニア。
時間が足りない、と考えたわたしの本能が此処に来ることを選んだのだろうか?
とりあえず、この力をどうするかは後で考えよう。
気持ちを切り替えてニアを観たわたしは、あらためて愕然とする。
ニアはどうみても完全な死体で、ううん、かつて命が宿っていたという痕跡すらも完全に
失われた状態で、ただのモノに過ぎなかった。
これは……
ただ単に命が失われたという生易しい状態ではない。
この状態のニアに命を宿らせるのは、木彫りの人形に命を宿らせようとするのと同じ事だ。
たとえ胸に大穴が開いたとしても、ここまで完璧に『何も無い』死体になるハズが無い。
この世界には死んだ人間を生き返らせる魔法は存在しない。
それなのに、ここまでの念のいりようでニアから何もかも奪い取る必要がどこにある?
あるとすれば……
これは、わたし対策なのだ。
~~トゲエルフよ、蘇らせれるものなら蘇らせてみやがれ~~
物言わぬニアの身体を通して、無言の挑戦を挑まれているのだ。
唯識でニアの空っぽな身体を見れば、まだ生きていた時のニアすら俯瞰で見えた。
今のニアと、生きてた頃のニアを並べて見れば、足りない部分をそっくり創ることだって
出来るだろう。今のわたしなら。
ニアの身体から既に失われてしまった魂を、創るか??
わたしは記憶に残るニアを思い出してみる。
よろず紹介所ではじめて逢った時、蓮っ葉な物言いをするトゲエルフ相手に、毅然と向き
合ってハキハキと依頼をするニア。
少し投げやりで色んな事で落ち込むバカヒサ相手にいつも真摯な気持ちで接し、悲しみや
苦しみを全て抱きしめて心を癒していたニア。
歳相応の恥じらいと、年上の見得と、ちょっとのH心で『お風呂セット』からバカヒサを
からかうニア。
始めは、使命感だけだったのか。
勇者をこの世界に召喚し、帝国を魔族から救う、ただそれだけを考えていた。
魔王に狙われる国で生きる。この世界ではそれがどれ程のプレッシャーだったか。
暗闇に覆われる中、勇者という一筋の光を見出しそれにすがろうとした。
勇者を得てさえ、帝国を覆う闇を掃うための道は、暗く果てしなく遠く感じていた。
やがて、カズヒサに惹かれ、共に生きるあいだに自分の行った契約の重さ罪深さに気付き、
何度も良心に押しつぶされそうになり、そのたび涙を流した。
契約をしなければカズヒサに出逢えなかった。
けれど契約がある限り、いずれ必ずカズヒサとの別れが来てしまう。
旅立った時、ニアが歩かなければならない道は暗闇の中だった。
それでもカズヒサが、ルーが、シャイアが、オーリスが頑張り続ける度に、暗き道の遥か
彼方にある光在る場所が少しずつ近付いて来る。
その場所は、皆が待ち望んでいる場所だ。
だけど、ニアにとってはけっして辿り着いて欲しくない場所だった。
わたしだったら?
やーめた、って言うだろう。
他の誰かのタメなんかじゃなく、自分のタメに。
ニアはそうじゃなかった。
自分の苦しい想いを横に置き、誰かのタメに頑張り続けた。
伝るかもしれない病を恐れもせず母子を見捨てなかったニア。
フラフラなバカヒサを一生懸命、涙を瞳にためて応援し続けたニア。
ぁあ、きっとあの力を暴走させたわたしを止めようとしただろうその姿すら浮かんで来る。
そのどれもが、あまりに鮮やかで眩しい輝きだ。
その魂を、創り出す?
その考えの傲慢さに、これが神の視点だというのならば吐き気がしてくる。
あれと同じモノを、いったいどうやって創り出せるというのだろう?
たとえ寸分違わず創れたとしても、それはニアなんかじゃない。別人だ。
そう、不可能なのだ。
同じ魂を持ち、立ち居振る舞いも話し方も性格も、誰もがそれはニア本人に間違い無いと
言ったとしても。他ならぬわたし自身が、そのニアは偽者なのだと判っている。
プニ神が言った通りだ。
わたしには偽者なんて創るつもりには到底なれない。
ならば、
それならば、
創れないならば、
それを、
ニアの魂そのものを、
此処へ持って来れば良い!!
どうして、そう思い付いたのかは、今のわたしにはもう思い出せない。
でも、あの時のわたしは確かに判っていた。
一点の曇りも無く確信していた。
ニアの魂は、其処に在ると。
わたしは、息を吸うより容易く、ニアの魂を自分のところへ呼び寄せていた。
ニアの魂を大事に抱えていたヒトから奪い取る形になったけれど、そのヒトは隠すことも
なく、苦笑しながらそっと手渡してくれてた。
『シータとの契約に縛られるのはこの世界だけであって、向こうの世界へピンクと一緒に
送っちまえとか考えてたんだが、な』
その同じ声で言われたコト。
~~見たことないモノ、知識がないモノ、設計図すらも無いモノをクリエイターたる者が
意識して創り出せるのか?~~
一つ目、魂は今や此処に在る。
二つ目、そして三つ目。 魄と命。
唯識で生きてる頃のニアを、まるでデスクトップに必要な情報を並べるように俯瞰で観る
ことが出来る今のわたしなら、見比べながら同じ物を創り出すことは簡単だ。
けれど、そこで四つ目の条件が邪魔をする。
唯識の力で、ニアの魂魄も命も此処に在るのに。
なのに……唯識の力で解ってしまった。
創生神シータとの契約による強制力が働いて、ニアの身体には魂魄も命も宿らないのだと。
蘇生の魔法なんてモノがもし存在すれば、死体ならば蘇るだろう。
けれど、木彫りの人形はけっして蘇りはしない。そういうことだ。
唯識、ちょいと便利かと認識を改めたとたんこれか。使えないったらありゃしない。
やっぱりクリエイターたる者は、アンチョコで知識を得ても中身が伴わないとダメなんだ
ってことよね。
ようは、ニアに生きてる状態と同じモノを提供すれば良い。
これからわたしが行うやり方は、厳密に言えば生物としての蘇生法では無い。
あらっぽい言い方をすれば、ニアの魂魄と命を宿したモノを、ニアの身体をベースとして
ゴーレム化した身体へ戻し、まるっきり生きているのと同じ状態を創り出すというものだ。
わたしの記憶に残るソレ。
わたしは見たことが在るソレを、自分の記憶の底から引っ張り出した。
魄、そして命。
全く同じものでは無い、だけど、コレは同じようなモノだと、わたしには解っている。
『勇者召喚の儀』、魔力を完全に失っても気絶することなく、魂を磨耗しないその効果。
心を、魂を保護するソレは、特殊効果付ではあるけれど紛れも無く魄の代替としても
有効だ。そして、それは今もまだ其処にある。カズヒサの中に。
『カースド・エターリア』、神の罰を受け永遠に存在し続ける生者とも死者とも言えない
人達。でもアレだけじゃダメ。アレでは死んで無いというだけで生きては居ないのだから。
わたしはニアに生きていて欲しいのだから。
彼等が生者になれないのは、新陳代謝が無いからだ。
しかし、完全に代謝が無いと言えるのだろうか?代謝が無いならば傷が治るはずもないし、
いつか身体は腐り落ちるだろう。
そうならない理由も……解ってしまう。
ニブルヘルの地下迷宮に在って、死者達を癒し続けた『光る球の神宝』。
あれが在れば……ニアの魂に魄を与え、代謝を持って生き続けることが出来る。
わたしはネヴィアシータの赤い宝玉を取り出し、地下迷宮で見たまんまの『光る球の神宝』
をその宝玉に再現する。
どうしてそうしたのか自分でも解らない。精神の魔術が込められた宝玉が『光る球』との
イメージに合致したから、ネヴィアシータの宝玉を再利用しただけだったのかもしれない。
カズヒサの中にある『勇者召喚の儀』から心と魂を保護する術式を抜き出し、永続効果と
して宝玉に籠め、その中にニアの魂を収める。
これはニアだけの『還魂球』これがある限り、ニアの身体は生きているのと同じく鼓動を
刻み、代謝を得て、いつかは子供を生みそして育てることだってできる。
けれど、ニアは永遠を望むまい。
カズヒサが死んだとき、一緒にあの世へ旅立てるよう。
ニアが望んだその時に、術式の崩壊条件を設定した。
だけどこれは、わたしだけの秘密。
何時死ぬか判ってる生なんて、本当の意味で生きてるって言える?
たとえニアであろうと、他の誰であろうと知る必要など無いことだ。
ニアの還魂球をその身体に収めると、驚くほどあっさりと還魂球は身体に馴染んでいく。
創生神シータの強制力が働かないことも、しっかりと確かめた。
もう大丈夫。
あとは『勇者召喚の儀』が切れたカズヒサをどうにかすれば。
ニアはカズヒサと同じ時を刻んでいけるだろう。
そのためには……
わたしは元の世界に戻るため、自分の胸に生えている剣の柄を握り力いっぱい引き抜いた。
引き抜いたとき何か未来を見た気がするけれど、その内容は覚えていない。
徐々に時が動き出し、真っ暗だった世界も徐々に赤く染まり明るくなっていく。
光が、音が蘇り、人が生きる世界へと還りつく。
剣を望む形に変え、カズヒサの手に押し付けたところで、わたし自身の時間切れ。
この力を自由に振舞える一瞬が過ぎ、意識を異なる闇の中へと解き放った。
◆◆◆
『……見せてもらおうか』
プニはそう呟いた次の瞬間には、ふっ、っと笑みを浮かべ。
『微妙だが、まぁ、良いだろう』
えっ? もうオワリ?
トゲエルフは地面の上で燃え尽きたかのようにまた気を失っていた。
ぉおっと。危ないから近付かないようにしよっと。
ということは、ここからは『偉大なる守護者ユミカの観察記その一億飛んで③』かしらね?
カズヒサはプニの言葉にいち早く反応するけれど、おや? その手に持ってるのは何?
さっきまではそんなの持って無かったよね?
なにやら血のように赤い棒状のナニかをカズヒサは手にしている。
「ニアは助かったのか!? ぅぉ?何だコレ? トンファー?」
『時間だ、ではなピンク。その武器とコレは土産だ、持って帰れ』
プニはそう別れの言葉をカズヒサに掛けると、自身の長い髪の毛を一本引き抜く。
ひとすじの髪の毛は輝いたとたん、カズヒサの首に巻きつき細い銀の首飾りへと変化した。
カズヒサの身体はみるみるうちにかすれて、透き通るように消えていく……
女騎士と女僧侶それに女密偵は、あわてて消えていくカズヒサに声を掛ける。
「カズヒサ!? い、いつか、また逢いましょう!」
「あ、あっ、ぃ、行かないで!好きですっ カズヒサ」
「楽しかったよ、カズヒサv」
『その武器で好きなだけシータをぶっ叩け。俺が許可する』
プニが笑いながら声を掛けた直後、カズヒサの身体は消えて見えなくなってしまった。
ん~? なんかシマラナイわねぇ。しかたない、あたしがマトメましょうか。
こうして勇者は、お姫様とついでに国を助けて元の世界へ帰りましたとさ。
「で、何がどうなったの?プニ 説明してよ!」
『見ての通りだが?』
ムカっとしたあたしは、思わずプニのお尻を蹴っ飛ばした。
『おまっ 俺がカミだってこと、忘れてないか!?』
「いいから、おしえろv」
周りも皆、プニの説明を待っている気配がアリアリ。
そうでしょうとも。
『結局リアファリナは、越えられない壁のほとんどを越えられずに終ったよ。
魂は自分自身では創れずじまいで、俺が保護してた皇女本人の魂を取り戻して使った。
ああ、だからその皇女は紛れも無く本人だぞ。そして魄と命はコピペだな。
唯一、シータの契約だけか『無から有を生む力』を使って対処したのは。
契約解除はされてない、今でも皇女を消去するための強制力は働いている、が、除外条項
に引っ掛かって消去については保留されたままだな』
「え?こぴぺって何? 消去の強制力が消えてないって、それで大丈夫なの?」
『平気だろ。ザタンの力がお前に及ばなかったのと同じ理屈で、消去の強制力はシータに
繋がるモノには負の効果を発揮しない』
シータに繋がるもの? って何よソレ?
あたしが問う前に、プニはジェラルディを見据えて
『なるほど、ジェラルディ。お前が冒険の旅に出た理由は『竜に乗った魔法剣士』か。
700年前の書物だな。シータのブラッドオーブを手に入れるために、わざわざ俺の管理
時空外に要石を置くとはご苦労様なことだよ』
「何?何の話だ?」
ジェラルディも、それにあたしもだ、プニの話が見えない。
『お前とリアファリナが出逢ったのは必然だったって話さ、後は目覚めたリアファリナに
聞け。 さてと、こっちの危険物は俺が運ぶ。皇女はルーシニティが運べ』
プニはそう言うと、どっこらせ、と声をだしてリアファリナを横抱きに持ち上げる。
……やっぱりプニってば、どこか神サマの威厳が無いよね?
「わかりました。それと、プニ神さまにお伺いしてもよろしいでしょうか?」
声を掛けられた女騎士は、歩き出そうとするプニを呼び止める。
『心配せずとも、ピンクがよほどの阿呆じゃない限りすぐまたこっちへ来れるだろうよ。
さすがのシータも、あの武器で脳天かち割られたく無いだろうからな』
「では、カズヒサはこちらに戻れるのですね!?」
女僧侶は嬉しそうだ。暗かった顔がパ~ッと一瞬で華やかせる。
「シータとは、創生神シータのことでしょうか? 先ほどの話では、カズヒサがこちらに
戻るために、何か関係があるかのように聞こえましたが?」
こちらの質問は女密偵から。
『俺と同じ顔のヤツが身近に居るんだ、どんなマヌケでも真っ先に話をするだろうさ』
プニはそう言うとトゲエルフを抱いたまま砦の中へ向かうため、背中を見せる。
「え?ちょっと待ってよ、もう一つ、カズヒサってプニの何なの?」
あたしの問いに、歩きはじめていたプニは足を止め、
『向こうの世界で俺が人間だった頃の甥っ子だよ。
600年前、俺はこの世界へ出現してシータの全てを受け継ぐまでは人間だったのさ。
世界を渡るのに時間軸は関係ない。また逢えたのには驚き半分、嬉しさ大爆発さ』
そう言って砦の中へとリアファリナを抱えて入っていった。
ノー、直したつもりで直ってなかったよ。
×:召還
○:召喚
他のページも気付いたら直すね、ちょこちょこ直してマス。