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「水晶姫!?」


わたしは『土の宝玉』に問いかける。

契約を交わし召喚者たるわたしと水晶姫は繋がっている。声は聞こえるハズだ。

少しして返答があった。


「ちょっとー? アンタ一人取り残されてどうするワケ? ほんとドジねぇ。

あたし達はダンジョン抜けて安全地帯みたいな処よー?

で、どうすンの? 助けが要るのぉ?」


「いや、それ逆だからっ! 無事なんでしょうね?」


わたしは話しをしながら、さっき開いた落とし穴の扉の上をぴょんぴょん飛び跳ねたり、

ドタドタ歩いたりしているのだけど、ちっとも開く気配がない。

6人じゃないと開かないのか、それとも、プニ信者が居ないと開かないのか……

トゲエルフじゃ体重が軽すぎて開かないのか? それなら許す。




「はぁ? 当たり前じゃない。 折角足元の隠し扉開いてアンタ以外の全員が飛び込んだ

って言うのに、肝心のアンタがあたし達に付いて来ないってどういうこと?」


「ちょっ 落とし穴でしょ!? 落っこちたんでしょ!?」


「落とし穴って下に槍衾とか罠があればでしょ? そんな物があったら扉が開いた瞬間に

壁創って防ぐわよぉ。あたしを何だと思ってんの? 周囲への探査は神力で妨害されてる

から扉に気付くのは遅れたけど、扉が開いた瞬間に罠だったらリカバリーするわよ。

誰一人怪我無く移動したって時に、アンタが居ないのに気付いた時はビックリ仰天よぉ」


だめだ、話が通じない。

罠が無ければ足元でも隠し扉かい!? その辺を小一時間問い詰めたいが。

力ある大地の上位存在にとって、害が無ければ罠と扉の違いは些細な事のようだ。

水晶姫の中ではわたしがドジ踏んだ扱いになってるし(涙


「とにかく無事なのね? わたしも問題無いし、アンタの位置は感覚で判るからそっちへ

向かって走って行くね。 皆には助けは要らないって伝えておいて?」


「了解。 それで、あたしはどうする? そっちで身体を構築しても良いんだけど、この

ままこっちに居た方が良いみたいね?」


「そうして頂戴。 目印になるし、皆との会話でも間を取り持って貰えるから」


「はいな。迷子のドジっ子さんが一生懸命洞窟の中を走り回ってるところ、リアルタイム

で状況を皆に中継してあげるわね?」


「いらないーーーーっ」






さて。

問題無いとは言いつつも、ダンジョンの中で独りっきりかぁ。


とりあえず、『加速』で大地を走るには、邪魔となる浮遊術の『リニア』はオフだ。

そして、足元の斥力だけを排除した『劣化リニア』を即興で構築して試しに起動して見た。


先ほど水晶姫に言われて気付いた。

狭い場所で『飛翔』オートパイロット化を目指して創った魔術式だけど、視点を変えれば

なるほど言われた通り、これは全方位に働く『物理バリア』だった。


皆が現在居るのは、先ほど皆で降りた階段の真下おおよそ50~100mくらいの距離だ。

道が解らない以上、走り回って下へ降りる階段を探すしか無い。


『加速』を自分に掛けて準備が出来た。

「よしっ 行きますか!!」




道行く途中に獣ゾンビ達と出くわすが、スルーして通る。

獣本来のスピードが有ればわたしに追いついたのだろうけれど、コイツ等はゾンビ化して

疾る速度が著しく低下してしまっている。

わたしを追いかけては来るものの、攻撃出来る距離まで近づけた獣は居なかった。

時々、真後ろへ『イージス』を掛ければ追っ手を楽々と振り切れる。


これ、取り残されたのがわたしだったから良いようなものの他の誰かだったら死んじゃう

シチュでしょ。


そうして走り回って死霊達を振り切りながら、道を探す。

簡単そうに聞こえるけれど、実際は簡単じゃ無い。主に気持ち的に。

色々と顔を背けたいデロリンチョな死体どもが次から次へと飛び掛って来るのだ。

夢でうなされたら、水晶姫へも夢の幻影を精神投影してやる!! と決心した。




そんな風に考えながら走り回って、左右への分かれ道となるT字路に差し掛かった時だ、


『ふぃぃぃぃぃいいいい』


生きた鎧の自動防御機能『ジャミング』が働いた。魔法攻撃!?


『ズガーーーーーン』 ちょっ!!??


洞窟という狭い場所で『ファイアーボール』を使って来ますか!?

『風の護り』と『炎の護り』が有るから何とかなっているものの、直撃しなくても脅威だ。


ソレは、わたしから見て左側、宙に浮いて居た。


姿はスペクターに近い。 先ほど見た赤いスペクターを禍々しいと言うならば、こちらは、

酷く『穢らわしい』というのがピッタリだった。

落ち窪んだ暗い目、半開きの口からはヨダレが垂れている。

元は金銀で飾られた立派な服装だったのだろうけれど、今では薄汚れ擦り切れてボロボロ

となったローブを纏っている。 いや、問題なのはその下に着ている物だ。

かすかにワインレッドの色が見える。あれはもしや?

さらに、手に持つのはサイス……死神の鎌だ。

闇の中でも不気味に黄色く発光するその鎌には、魔法が付与されているのが見て取れた。


『リッチ』


高位の魔法使いが邪神との契約で自らを不死の存在へと昇華させた、危険な魔物だった。

そんなの相手に長々と戦うつもりは無い。一気に決める!!


『奪命』


存在力の全てを奪い取る光の魔術式。だが、

敵の身体付近で不自然に魔法がかき消された。

この消され方には覚えがある。あの時は暗黒の炎だった。

邪神バルザタンの鎧。それをあのリッチも保持しているに違いない。




リッチは次々と魔法を唱えて来る、炎、そして邪神の魔法。


邪神の魔法以外は全て直撃しないものの狭い洞窟の中で余波をどうしても受けてしまうが、

幸い、わたしの『炎の護り』と『魔法障壁』によってダメージは受けずに済んでいる。


『魔法障壁』、この世界では自分の身体を魔力で覆うことで、同じく魔力を用いた攻撃術

から身を護ることが出来る。

魔力を身に纏うのは何も特別に意識する必要も無い。

体力、精神力と同じく、この世界の人間なら誰もが持ってる自然の力だからだ。


『どりゃ~』と気合を入れれば魔力は強まるし、攻撃を受けた魔術式の属性を見極めて、

その属性、炎なら炎を、排除する気持ちを高めれば炎に対する抵抗力が自然に強まる。




こうしている間も、わたしの攻撃魔術式は次々とかき消されている。

暗黒の炎への対処法で想定してた通りだ。 炎、雷、闇、光の魔術式は通じない。

死霊相手に精神の直接攻撃が通じるとは思えない。 『精霊武装』なら違うだろうけれど。

ならばと、炎を少し離れた場所へ撃ち込んで、余波で削ろうとしても炎そのものが消えて

しまう。

そうなると有効と思われる手持ちの攻撃魔術式は、地と水そして風、それもやり方次第だ。

しかし、ここで無理してリッチを倒す必要はわたしには全く無い。

でも、


「やられっぱなしで、このリアファリナが引くと思うな!!」


『エアミサイル』


から撃ちだ。

空気だけを動かしてリッチへぶつける。

洞窟内の狭い通路を砲身に、空気砲と化してリッチを襲う。


同時にわたしは双剣を抜いてリッチへと走った。

右手の剣に赤い魔力の刃を

左手の剣に蒼い霊力の刃を

剣の刃に纏わせることで、より強力な魔法剣と為す。


『霊力』、最初は精霊力を剣化しようと考えたのだが、出来上がったソレは体力と精神力

の両方を消費する『何か』だった。 故郷の村では誰もこの力を知らなかった。

直感で感じたその力は、心の力、魂の力なのだと思えた。 単純な精神力とは異なる力。

決まった名前が無いなら、この世界、名前を付けた者の勝ちだ。

だからその『何か』を『霊力』と名付けた。


わたしがこの双剣を手放さないのは、ひとえに魔力と霊力の刃が極めて強力だったからで、

未だにこの2つの力を超えた武器に出逢えて無いからである。




バルザタンの鎧は空気砲をかき消さなかった。

光や雷を防いでも、どうして唯の空気を防いでくれないのか。

わたしには、神の加護が及ぼす限界がなんとなく見えて来ている。


リッチが着ている鎧は大地の力が与えられた魔法の鎧だと見切って居た。

邪神の加護のせいで見落とされそうだが、『重力制御』を使っているからだ。

だからリッチは浮いていられる。

無重力下では対流が生まれず、炎はその場の酸素を消費すれば消えてしまうだけだ。

だからリッチは炎の魔法を多用して来るのだ、自分は炎の余波を食わないから。


空気砲で押されリッチは吹き飛ばされたが、直ぐに体勢を立て直す。

姿勢制御はわたしの『リニア』に近い方法を取っているのだろう。

そこへ、腕を交差させて右手の魔力の剣を左に構え、左手の霊力の剣を右に構えた状態で

わたしが突っ込み、両手を勢いよく広げ、リッチを剣で挟むように斬る。

魔力の剣はその威力の幾らかが和らげられたようだが、霊力の剣はリッチへ直撃した!!


「ザマをみ」


そう捨て台詞を残し、思えば、わたしってそんなのばっかりよね、と思いつつ、

わたしはすかさず、リッチから距離を取り『イージス』を間に張って反対側へと走る。

邪神の魔法を操るリッチと独りで長期戦をするつもりは元より無い。

T字路をリッチと戦った左方向とは逆に、右方向へと一直線に走った。






と、わたしの走る前方に亀裂が現われる。

亀裂の縁に立ち、下を見ると下層階へ行けそうだったので、とりあえず飛び降りた。

この亀裂は上層へも通じているようだ。


『飛翔』


ゆっくりと数十メートル降りると、下層階が見えてくる。

そこには、


「ゲゲッ!!」


わたしは大慌てて上昇する。

まごう事なきボス、それもラスボスの部屋だった。


幸い、亀裂は小さい物だったし、まだ天井付近に居たわたしには気付かなかったようだ。

わたしは亀裂を上昇し続け、さっき飛び降りた場所を通り過ぎ、さらに上層まで飛ぶ。

と、そこは最初に吊橋が掛かっていた亀裂の所だった。

ここから下層のボス部屋までおおよそ200mといったところか。




この場所にはまだ復活隊が訪れて無かったようだ。まだ死霊達は復活して居ない。

さっきはこの吊橋を渡って右へ行ったが、今度は試しに吊橋から左へ走って見る。


「アンタさっきから色んな所を走り回ってるみたいだけど、独りで探検してんの?」


おそらくわたしの居場所を感じて移動経路をチェックしているのだろう、水晶姫から確認

が入った。


「ついでだからダンジョンをぐるっとひとっ走りしてみようかと。

その後でそっち行くわね。安全地帯とやらを皆で先に調べててよ」


『飛翔』で『バリア』を上書きしちゃったので、再度『バリア』を唱えて走り出す。

上位互換を目指して開発していたので、両立するように創られて無いのだ。

どちらか一方を唱えると、もう片方を上書きしてしまう。


最初の吊橋を左へ走るとすぐに長い下り坂となっていた。

下り坂で降りた距離と、1層から落とし穴層へ階段で降りた距離を比べると、階段の方が

短かったと思う。そしてその階から下層のラスボスまでの距離を思い描く。


なんとなく予想だけれど、この洞窟は5層構造で、吊橋を右に行くとB1、B3、B5層

に行けて、吊橋を左に行くとB4層、そこからB2層へと登れるのではなかろうか?


復活隊に出逢ったB1層、落とし穴の在ったB3層、ラスボスが居たB5層。

そして今現在、わたしが居るのはB4層じゃないかしら?

それなら、本命の地下神殿はB2層か? と当たりを付ける。






B4層はまだハッキリと生前の面影がわかる程度の身体を持ったゾンビ達が徘徊していた。

しかも、全員が何らかの武器を持っている。

もう、もう、なんというか、うひゃーーーーーな状況だ。 絶対、夢に出てきそう!!


さらに彼等はわたしを逃すまいと、わたしの前方へと廻り込もうとするのが見て取れた。

この層のゾンビ達は今までのに比べて明らかに賢かった。


もっとも、彼等の攻撃はわたしの『バリア』の斥力で全て軌道が反らされて当たらない。

この『バリア』は、足元へ攻撃して来る獣型の方が相性悪いのだ。


そうしてB4層を走り回っていると、


『チリ~~ン…………チリ~~ン……』


わたしの進む道の前方から、またあの鈴の音が聞こえて来ました。

これは予想していたことだ。

復活隊の巡回がこのダンジョン内を隅々まで行っているのであれば、道は入り組んでいる

ように見えても、その実、一筆書きのように一本で全てが繋がっているのだろうから。


気にせず進む。


わたしに気付いた正面のデュラハン達が、わたしに向かって走り寄って来る。

けれど、直ぐにわたしは『イージス』をデュラハンとの間に、膝の高さで張った。

不可視の盾に足を取られてヘッドレス・ホースがマヌケな音を立ててコケる。

さらにその上にチャリオットが乗り掛かり、デュラハンはジャックナイフ状態で前方へと

両手をバンザイしつつ、両足を綺麗に揃えて宙を飛んで来る。


『ギャグ漫画みたいに綺麗に飛んでるなぁ』それが、わたしの感想だった。


顔からヘッドスライディングした(頭が無いのでそう想像した)エビゾリ・デュラハンの

それ何てシャチホコ?状態な背中をさらに足蹴にして馬とチャリオットを飛び越える。


シャドーナイト達は、剣を突き立てようとしたが『バリア』で弾かれる。

わたしはスペクターとシャドーナイトを無視してスケルトンとゴーレムの脇をすり抜けた。

スケルトンは無反応。ゴーレムが腕を振り上げた時には既に彼等の背後に抜けて居た。

これまた後方へ『イージス』を張り、シャドウナイトとスペクターの追撃を振り切る。


B4層から上層へ登る階段が見つかると、長い階段を躊躇なく駆け上がった。






そこは広い空間だった。このB2層にはダンジョン的な、いわゆる道は無かった。

全てがこの広い空間一つっきりのようだ。

天井は50m程だろうか? 他の層が20m位だったのに比べると格段の広さが在った。

広い空間の真ん中には、マヤ文明を思わせるピラミッドが建って居る。

そして、


ピラミッドの入口には見覚えのある銀のゴーレムが2体並んで居た。




『『『『『 バッサバッサ…… 』』』』』


空中からそんな音がして視線をそちらへ向けると、大きな蝙蝠がわたしに襲いかかろうと

している。ざっと数えて10匹ほど。

血走ったような赤い瞳、口からは不似合いなほど尖った牙が飛び出ている。

『ヴァンパイア・バット』の一種なのだろう。


わたしは慌てず騒がず、魔術式を起動する。


『静寂』


シ~~~ン。


ヴァンパイア・バットは音響反射を封じられ、次々と方向と距離感を奪われて、壁にぶつ

かり床へと落ちた。

彼等は『静寂』の中では飛ぼうとしない。"目"を奪われたも同然だから。




「へ~? その子達をそんな風にあしらった人は初めてよ」


いつの間にか、ピラミッド入口に女性が立って居た。

わたしがこの空間に掛けた『静寂』をものともせず話し掛けて来る。只者では無い。


瞳は紅。綺麗に口角を上げて上品に笑った口元から覗く白い牙。

金と赤で彩られる模様で飾られたおそらくチェイン鎧を着た、蜂蜜色の金髪美人。


ヴァンパイア!? よくもま~次々と!!

自分で意識するよりも早く、攻撃魔術式を放っていた。


『奪命』


さっきのリッチには通じなかった存在力を奪う単体攻撃魔術式、しかし、


『リィィ~~ン』


女ヴァンパイアの手前で『奪命』はどういう原理なのか不明だが、光の粒子となって散る。

キラキラと花火の様に、空間を彩る小さい粒子が散らばって大地へ落ちた。


「……おっどろいた。あたしの魔法障壁が破られて神宝の自動防御が働いたのは350年

の人生で初めてよ」


神宝!?


女ヴァンパイアは左腕を持ち上げ、腕に嵌められたガントレットを見せる。

それには、手首の部分に銀色の猫が意匠されていた。


「あたしはユミカ・ハヴァイラ。 このプニ第一神殿の神殿守護者よ」


女ヴァンパイアはそう、名乗った。






わたしが、ようやくダンジョンを抜けて安全地帯に辿り着くと、そこはパラダイスだった。


広大な、おそらくザワール湖の面積に近い土地がそこに広がっていた。

ザワール湖の湖底が全てこの地底空間なのだろうか?

見上げれば、湖の水底が不思議な青い空のようにユラユラと揺れている。

あれだけの水量が落ちもせずに、空中に留まっているのだ。それを可能にしている力とは

いったい、どのようなものなのだろう?

湖の水面から水の層は結構な厚みがあるにも関わらず、この地の明るさは何とした物なの

か? 『影視』とは無関係に、真昼の青空の下に居るかのような光量だった。


そして、ここは大地の恵みに溢れ、花の匂いが漂ってくる。

風!? 地の底であり、水の底であるハズなのに、ここには自然の風が吹いている!?

ジメジメしておらず、とても爽やかな風を感じる。

遠くの森には緑が生い茂り、とても色鮮やかだ。

湖の下だと言うのに、この大地には川が流れているのが見える。

川が流れ込む所、あれは湖!? いえ、精霊使いの目で見ればそれは海だった。

元々、グランザールは海へ続く滝だ。この土地には地底であるが海と繋がっているようだ。


しかし、それは物理的におかしい。

昨日観光したグランザールの滝の高さは100ヤンテ。90m程しかない。

どう考えても、わたしが今立っている場所は海面より低い。

地底湖が海と繋がっているのなら逆流しないハズが。。。

いや、もとよりザワール湖の水が落ちてこない場所だ、海の水が逆流しないことを不思議

がっても意味が無いだろう。


ここはパラダイスだけれど、異常な世界だった。

あまりにも精霊力が満ちている土地。

それが自然に感じられること事態、どれ程不自然かは目を閉じても感じられた。






「ファリナ~、心配しました! 大丈夫ですか!?」

リアラが走ってくると、わたしに飛び付く様に抱きついて尋ねる。少し涙目だ。


「無事でよかった、ファリナに何かあったらと思うと」

ジルも涙が滲んだ目で、わたしの無事を喜んでくれてた。


「何事も無くて良かったよ。ゴメン、僕の判断ミスだ。

6人集まると落とし穴が作動するようになっていたらしい」

ウインは罠に嵌った自分を責めていたようだ。


「あそこから独りで無事に脱出出来るなんて、やっぱりファリナは凄いですね。

僕だったらと思うとゾッとしますよ」

うん、スニージーだったら死んでたと思う。


「ごめんね、ファリナ。 あたしが罠に気付けなかったから」

レティ、何事も精進だよ!


「だ~~から言ったでしょ~? その娘はあの程度のダンジョンなんてどって事無いって」

わたしはジロリと水晶姫を見やった、が、

とりあえず、水晶姫の事は後回しだ。


ウイン達と一緒に歩いてきた見慣れない女性が一人。

わたしはウイン達の後ろに立ってる可愛らしい女性、年の頃は二十歳くらいに尋ねた。


「そちらの人はどなた様? この土地の人?」


何気にわたしが出会う女性達は皆美人だよね。




「地下都市『ニブルヘル』へようこそ。私はこの地で暮らす人達のまとめ役を務めている

者で、ラーハイラと申します」


その女性はそう言うと、軽くお辞儀を寄越した。



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