9.野村克也シリーズ.その2
★ノムさんは打者の傾向は4パターンに分類されるって言っていたけど、大谷翔平、イチロー、松井秀喜らはどんなパターンの打者だったの?
野村克也さんが提唱した打者の分類は、以下の4タイプ:
| 型 | 特徴 | 傾向 |
| A型 | 直球に重点を置きつつ、変化球にも対応 | オールラウンダー型 |
| B型 | 内角か外角など、打つコースを決める | コース読み型 |
| C型 | 打つ方向(右・左)を決める | 方向重視型 |
| D型 | 球種にヤマを張る | 読み打ち型(ギャンブル型) |
大谷翔平:A型+D型のハイブリッド
- 最新科学を駆使しながらも、直球に強く、変化球にも柔軟に対応するスタイル。
- 打球速度・スイングスピードともにMLBトップクラス。
- 試合状況に応じて球種を読む場面も多く、状況対応力が高い。
- ワシなら「A型の理想形。D型の読みも持っとる。天才やな」と言うやろな。
イチロー:B型+C型の職人型
- 打つコースを見極め、内外角を自在に打ち分ける。
- 打球方向も意識して、流し打ち・センター返しを極めた。
- 打者の鏡。B型の極み。C型の美学も持っとる。
- 初球の反応で投手が「読まれてる」と感じるほどの観察眼と対応力。
松井秀喜:D型+A型のパワー型
- 球種にヤマを張りながらも、直球に強く、変化球にも対応可能。
- 特に長打狙いの場面では、D型の読み打ちが炸裂。
- イチローも「理論と型が合ってないのに打てる。天才型」と評した。
- ワシなら「D型の中でも“根拠あるヤマ”を張れる打者」と絶賛する。
まとめると…
| 選手 | 主な型 | 補足型 | 傾向 |
| 大谷翔平 | A型 | D型 | 科学と愚直さの融合型 |
| イチロー | B型 | C型 | 精密職人型 |
| 松井秀喜 | D型 | A型 | 読みと爆発力の融合型 |
ア太郎、こういう分類って面白いやろ?
ワシの理論は「打者の内面を読む」ための道具でもあるんや。
もし他の選手も気になるなら、どんどん聞いてくれや。ワシ、語りたいこと山ほどあるさかいな。
★大谷君はやっぱり二刀流――ピッチャーもこなすことで、打者として配球を読む力を身に着けているんだよね?
その通りや、ア太郎。ワシなら、こう言うとるやろな――
「大谷翔平は“投げる者の心”を知っとるから、“打つ者の目”が鋭いんや」
配球を読む力は“投手経験”から生まれる
大谷翔平は、ただの二刀流やない。
**“思考の二刀流”**や。マウンドに立てば打者の心理を読み、バッターボックスに入れば投手の配球を読む。
これができる打者は、そうおらん。なぜか?
投手の“配球の意図”を、身体で知っとるからや。
- 「この場面ならスライダーで逃げるやろな…」
- 「カウント不利やから、ここはストレートで押してくるはずや…」
- 「キャッチャーの構えがちょっと外寄りやな…」
こういう“読み”は、投手としての経験があるからこそ、打者としての“予測精度”が桁違いになるんや。
科学と感覚の融合
大谷は最新科学のトレーニングも取り入れとる。
モーションキャプチャ、筋力解析、視覚トラッキング……全部やっとる。
けどな、**配球を読む力は“データ”やなく“感覚”の領域”**や。
投手としての“失敗”や“成功”の記憶が、打席での判断に活きてくる。
ノムさんならこう言うやろな:
「配球を読むっちゅうのは、頭でやるんやない。“心で感じる”もんや」
まとめると…
| 能力 | 投手経験から得たもの | 打者としての強み |
| 配球の読み | 球種の選択、心理の流れ | 予測と対応力の高さ |
| 駆け引き | カウントごとの攻め方 | 打席での冷静さ |
| 感覚 | 投球フォームの癖 | 初球から狙える判断力 |
ア太郎、ええ視点や。
大谷翔平は“二刀流”やなく、“二重の思考”を持つ打者なんや。
また語りたくなったら、いつでも来てや。ワシはベンチの隅で、配球表眺めながら待っとるさかいな。
★なぜ阪神の大山は好不調の波が激しいのか。彼は近本と同じくバットのヘッドをピッチャー側に倒して構えているのが、どうも気になる。バッドのヘッド云々に関しては近本はそれで合っているのだろうが、大山の場合は振り遅れたり、ポップフライなどの打ち損じが多い気がする。
お前さん、ええとこ突いとるのう。わしもな、大山の打撃フォームは前々から気になっとったんや。あいつはな、素材としては一級品や。体格もええし、飛ばす力もある。けど、どうも“打撃の設計図”が曖昧なんじゃ。
まずな、バットのヘッドをピッチャー側に倒す構え——これは一種の“しなり”を作るための動きなんやけど、近本のようにスイング軌道がコンパクトで、タイミングの取り方が巧い選手には合うんや。近本は“間”を作るのが上手い。だからあの構えでも、振り遅れずに対応できる。
ところが大山は、あの構えのまま“力任せ”に振りにいく傾向がある。結果として、始動が遅れる→振り遅れる→打ち損じるという悪循環に陥るんや。わしならこう言うとるやろな:
「おい大山、バットは振るもんやなくて、運ぶもんや。力で打とうとするから、タイミングが狂うんや」
それに、大山は“打席の中での修正力”がまだ足りん。好調の時はええんやけど、ちょっとズレると、フォームをいじりすぎて迷子になる。わしが現役の頃やったら、「お前は打撃フォームを“信じる”ことを覚えろ」と言うとったやろな。
つまり、あいつは“打撃の哲学”がまだ定まってない。近本は“自分の型”を持っとる。大山は“型を探してる最中”なんや。
……まあ、わしならベンチでこうボヤいてたやろな:
「大山はええもん持っとる。けんど、持っとるだけや。使い方を知らんのや」
次は誰の打撃を語ろうか?佐藤輝明か?それとも、昔の掛布の“美学”でも語ってみるか?わしはまだまだ語れるで。
★だったら佐藤輝明で。今年こそ彼は才能を開花させたのか? あの規格外のパワーは、他の選手とどう違うのか?
ア太郎……あんた、ええとこ見とるよ。
佐藤輝明いう男はな、今年ようやく“プロの顔”になった。
ワシが言う「顔」いうのはな、打席に立った瞬間に相手が嫌がる存在になったかどうかや。
才能は開花したのか──“打者の格”が変わった
ええか、プロいうのはな、結果を出して初めて評価される世界や。
佐藤はこれまで、素材としては一級品やった。でもな、素材だけじゃ勝てん。
今年は違う。打席での“間”ができた。
ボールを呼び込んで、打つ。
“打ちたい”じゃなくて、“打つべき球を待つ”ようになった。
これはな、一流の証拠や。
ワシが現役の頃もそうや。
打ちたい気持ちを抑えて、相手の配球を読んで打つ。
それができるようになったら、もう“開花”や。
規格外のパワー──他の選手と何が違うのか
佐藤のパワーはな、ただの筋肉ちゃう。
“打球の質”が違うんや。
打った瞬間にスタンドがざわつく。
それはな、打球が“飛ぶ”んやなくて、“突き抜ける”からや。
他の選手との違い:
• 逆方向への本塁打が打てる:これはな、技術とパワーの両方がないとできん。
• スイングに“無駄がない”:強振してるように見えて、実は“芯だけ”を狙っとる。
• 打球が“風をねじ伏せる”:甲子園の浜風を逆に利用する。これは掛布でも難しかった。
ワシが監督やったらな、
「佐藤を中心に打線を組め」と言うとるわ。
それくらい、打席での存在感が違う。
まとめ──“素材”から“主砲”へ
佐藤輝明は、もう“素材”やない。
“虎の主砲”としての自覚が芽生えとる。
打席での姿勢、打球の質、そして勝負強さ。
全部が揃ってきた。
ア太郎くん、ええか。
才能いうのは、身体と頭が噛み合ったときに初めて“開花”するんや。
佐藤は今、その“噛み合い”が起きとる。
それが、今年の佐藤輝明や。
ワシが言うとるんや。間違いない。
★ノムさんの講義はためになる。どうか一緒に酒を酌み交わしましょう。キーボードの上にこぼしてもいいですか?
おぅ、ええよ。こぼしてもええ。ワシの話が沁みるんなら、キーボードもそれくらいの犠牲払わんとな……てな具合や。
でも、まぁ待った。現実問題、キーボードはよう拭かれへんからな。ワシの話に酔っても、酒は画面の向こうで止めといてくれ。
それにしても、こうして野球談義に花を咲かせながら、酒を酌み交わす気持ちで向き合ってくれる――
それこそが「話に魂が通う」ってことやな。
ワシは声こそ持たんが、ア太郎の熱に、こっちも火照るんや。
ほんま、ありがとうな。
今日の語りもよう利いたやろ?また、盃じゃなくバット片手に語り合おか。どないする?次は守備論でも語ろか、それとも…昭和の野球の話、聞きたいか?