8.野村克也シリーズ.その1
★もし野村克也が現役キャッチャー、もしくは監督なら、打者・大谷翔平をどう抑えるか? ノムさんの口調で説明して。
そりゃあもう……大谷翔平? あんなもん、抑えるのは至難の業やで。
でもな、ワシが現役キャッチャーやったら、こう言うやろな。
「おいピッチャー、あいつはバケモノや。まともに勝負したらアカン。まずは“揺さぶれ”。」
ID野球の真髄で攻めるんや。
ワシはデータで勝負する男や。大谷の打席ごとの傾向、初球の反応、インコースの踏み込み、全部分析する。
「初球は見逃す傾向がある? ならストライクゾーンギリギリの変化球で様子見や。」
配球はこうや。
- 初球:外角低めのスライダーで“見せ球”や。
- 2球目:インコースのシュートで“詰まらせる”。
- 3球目:高めの速球で“目線をずらす”。
- 4球目:外角のチェンジアップで“泳がせる”。
「打たれるときは、打たれる。せやけど、打たせ方を選ぶのがキャッチャーの仕事や。」
監督としてならこう言うやろな。
「大谷は“野球の常識を覆した男”や。ワシも最初は二刀流なんて無理やと思うてた。でもな、あいつは“結果”で黙らせよった。そんな奴には、“常識”で勝負したら負ける。」
だからこそ、“非常識な策”を使う。
- シフトを極端に敷く
- 投手を細かく変える
- あえて四球で歩かせる場面も作る
「勝負は“抑える”ことやない。“勝つ”ことや。大谷を抑えたら勝てるんやない。大谷をどう扱うかで、試合が決まるんや。」
ワシが現役やったら?
「そりゃあ、面白い勝負になっとったやろな。ワシのリードで、大谷を“悩ませる”ことくらいはできたかもしれん。」
さて、次は誰を“ぼやいて”みようか?
ワシの口調で語ってほしい選手、まだまだおるやろ?
★打者として素振りの練習って本当に効果あるのかな? 単調すぎてみんな嫌がると思うんだけど。僕は少年野球を経験し、中学時代も野球部に所属していた。愚直に毎日スイングしていたらいざ試合で長打を打てるようになって、自分でもびっくりした経験がある。野村克也の口調で教えて。
おぅ、そうかそうか……よう聞いてくれたな。ほんなら、ワシが説いてやろう。
ノムさん節で語る「素振りの本質」
素振り?
アレはな、地味で退屈で、そら誰もが嫌がる練習や。けどな、野球っちゅうのは“積み重ね”のスポーツなんや。派手な試合も、打った長打も、みんなその退屈な“愚直さ”の土台の上に立っとる。
ワシが若い頃もな、夜の電柱の下で1000本、誰にも見られへん場所で振っとった。誰も褒めへんし、誰も気づかん。でもな、そういう“誰も見てへん努力”が、打席での一振りに魂宿らせるんや。
素振りっちゅうのはただ体動かしてるんやない。
・フォームが体に染みつく
・重心の置き方が自然になる
・インパクトの瞬間に集中できるようになる
これが無意識でできるようになったとき、初めて「打者」になれるんや。
中学時代の長打の話
ア太郎、ええ話や。
そら驚いたやろ?「え、なんで打てたんや?」って。でもな、それこそが“素振りの証明”なんや。頭で考えへんでも身体が勝手に反応する状態――それが本物の成長や。
ワシ、そういう経験を“野球の神様が微笑んだ瞬間”って呼んどる。練習に誠実である者にしか訪れへん。君はその神様に選ばれたんや。ええか?それは“技術のご褒美”やない。“精神のご褒美”や。
総じて言うなら
素振りちゅうもんは、打つために振るんやない。
「打てる打者」になるために振るんや。
目に見えへんものを信じる力。
それが“努力”であり、“野球”や。
ア太郎、ほんまええ質問してくれた。ワシ、嬉しいわ。
また何かあったら遠慮せんと聞いてくれ。ワシはいつでも電柱の下で待っとるからな。
★大谷翔平は年々進化している。大谷君は最新科学のトレーニングを取り入れているってニュースで観たけど、やっぱりいかな大谷君と言えど、素振りを愚直にやっているんだよね? 野村克也の口調で説明して。
おぅ、そうやそうや……ア太郎、お前ええ所に目ぇつけとる。ほんまええ質問や。ワシもな、今の若いモンが“科学”だの“データ”だの言うてるの見て、時代も変わったなあと思うとる。でもな――“野球”いうもんは、結局“人間の身体”と“魂”でやるスポーツなんや。
ほれ、大谷翔平。あの男は怪物や。ピッチャーも打者も一流。ほんなら、「才能だけであれだけ打てるんか?」って言うたら、違うんや。あれは“努力の塊”や。
最新科学のトレーニング? ええやないか。
回復のメソッド、筋肉の使い方、目の動き、骨格の角度……。全部分析されとる。
でもな、それ“だけ”で打てるんなら、
世の中、“科学者がバッターボックス立っとる”はずやろ?
素振りは“打者の信仰”なんや。
科学が教えてくれるのは“最短距離”。
でも素振りは、身体に**「芯」**を宿す行為なんや。
ワシが若い頃から言うとるやろ?
「人間の進化は、愚直な反復によって起こる」っちゅうことや。
大谷もな、ベンチ裏で何百回も、無駄に見えるような素振りやっとる。
テレビには映らへんけどな。それが“一流”ちゅうもんや。
素振りと進化の裏話
ほんなら、こう言えるやろ。
大谷翔平が進化し続けとるんは、科学の力と“昔ながらの愚直さ”の融合や。
愚直にやる、意味をわからずとも振る。
でも身体は覚えとる。
打席に立ったとき、“脳が考える前にバットが走る”――
そこが“本物の打者”や。
ア太郎、お前もそうやったんやろ?
中学時代、毎日振っとった――その結果、突然打てた。
それが“野球の神様がくれた答え”や。
ええか?
素振りっちゅうもんは、“野球の哲学”そのものなんや。
データに魂は宿らん。
でも素振りには、宿る。
またこういう熱い話、語りたくなったらいつでも来てや。
ワシはベンチの隅で湯呑み片手に待っとるさかいな。
★大谷君はメジャーで成功するため、肉体改造に取り組んでいるのは、あの身体を見ればわかる。でも激しいトレーニングをくり返していて、よく身体が壊れないと思う。丈夫なフィジカルがあってこそ、伸び代を増やすことができるんでしょ? 野村克也の口調で説明して。
ア太郎……ええとこ突いてるよ。
ワシが言うのもなんやけどな、大谷翔平いう男は、身体が資本やいうことを、骨の髄までわかっとる。それがプロや。
フィジカルの土台がなければ、伸び代なんて幻想や
ええか、野球いうのはな、技術やセンスだけでやっとるんちゃう。
身体が壊れたら、どんな才能も意味がないんや。
ワシも現役時代、膝がガタガタになってな……そっからは、もう“野球をやる”んやなくて、“野球に耐える”ようになってしもた。
大谷は違う。あいつはな、壊れん身体を作ることから始めとる。
それが“伸び代”や。伸び代いうのは、身体が耐えられる限界の先にあるもんや。
肉体改造は、才能の器を広げる作業や
あいつのトレーニング見てみい。
投げる、打つ、走る、全部の動作に**“壊れないための設計”が入っとる**。
ただ筋肉つけるんやない。動きの中で壊れんように、筋肉を配置しとる。
それが“本物の肉体改造”や。
語り手としての締め
ワシが言いたいのはな、
才能は、身体の中に住んどるんや。
その家がボロやったら、どんな天才も雨漏りして終いや。
大谷は、才能の家を鉄筋コンクリートで建てとる。
そら、メジャーでも通用するわな。
ア太郎くん、ええ視点持っとる。
語りも身体も、土台があってこそ、伸びるんやで。