第7章「過去の影」
爆発の反響が地下基地にまだ響いていた。埃が宙を舞い、かすかな赤い非常灯に照らされていた。Mercer、Brayan、Sarah Darthings、そしてEmilyは入り口に立ち、息を切らしながら武器を構える。崩れ落ちた巨大な扉が、一時的に彼らの避難場所を封じていた。しかし、束の間の安堵に過ぎなかった。背後には、影の中に横たわる巨大な存在があった。
Sarahはゆっくりと近づき、震える指でまだ点灯している操作パネルに触れる。画面がノイズを立て、暗号化された情報や停止した監視映像、そして赤い文字で書かれた名前が現れた。
――PROJET TITAN – Sujet Z-1
Emilyは影に覆われた巨大な生物から目を離せずに近づく。
「信じられない……生きていたの?」
Mercerは銃を構え、ケーブルとクリオスタシスチューブに覆われた眠る生物を慎重に観察する。遠くで咆哮が壁を震わせる。Sarahは歯を食いしばった。
「Sujet I-9はまだ外にいる……諦める気配もない。」
Brayanは歯ぎしりしながら弾倉を確認する。
「もう選択肢はない。別の出口を探すしかない。」
しかし、Sarahは表示されたデータを見つめながら、ゆっくりと首を横に振った。
「出口はない……ここは秘密基地だった。GenSysCorpが地下に作った、違法実験用の研究所よ。」
彼女は画面を彼らに向け、分類されたアーカイブを示す。
「Sujet Z-1は究極兵器として作られた。でも問題がある……」
Emilyは喉を鳴らして問いかける。
「どんな問題?」
Sarahは巨大な生物を不安げに見つめる。
「一人じゃない。」
凍りつくような静寂がグループを包む。突然、地面が震え、さらにもう一度。Sarahは慌てて後退した。
「何かが下で動いている。」
Mercerは考えず、Sarahの腕をつかみ、引き戻す。
Brayanは崩れた扉に視線を向ける。
「これが目を覚ましたら……俺たちは終わりだ。」
しかし、もう遅かった。画面が狂ったように点滅し、赤いライトが不規則に瞬く。基地のアラームが耳をつんざく混乱の中で鳴り響く。そして影の中で、ケーブルが次々と切れ、怪物の息が重く荒く響き渡る。巨大な目が開き、冷たい黄色の光を放った。
――Sujet Z-1が目を覚ましたのだ。
Sarahはゆっくり後退し、心臓が張り裂けそうなほど鼓動していた。
「……これが悪夢でありますように」
Mercerはライフルを構えた。
「走る準備をしろ。」
巨大な咆哮が空気を裂き、バンカー全体を揺るがせた。ひび割れた壁が崩れ、コンクリートや金属片が四方に飛び散る。
Mercer、Brayan、Sarah Darthings、そしてEmilyは身を伏せる。巨大な爪が壁に叩きつけられ、コンソールを粉々にした。
「動け!」Mercerが叫ぶ。
彼らは暗い通路を駆け抜ける。地面は怪物の足音で震えていた。
Sarahは端末を見つめながら叫んだ。
「右!メンテナンス通路だ!」
Brayanは金属製の扉に駆け寄り、全力で引きはがす。彼らは暗いトンネルに飛び込み、息を切らしながら、背後で目覚めたタイタンの荒い呼吸を聞く。
そして突然――
轟音が響く。Sujet Z-1の力で天井が崩れ落ちる。Emilyがつまずき、隣に落ちた巨大な金属片の衝撃で悲鳴を上げる。Mercerは咄嗟に彼女を掴み、引き寄せた。
「今日は死なせない。」
彼らはトンネルの突き当たりまで走り、錆びたハッチにたどり着く。Brayanが銃床で一撃を与え、ハッチをこじ開ける。外気に出ると、夜は漆黒で、島は静まり返っていた――あまりにも静かすぎる。
するとジャングルの中で叫び声が響く。Sujet Z-1ではなく、Sujet I-9の声だ。そして、それは近い。
息を切らしながら、Mercerは周囲のジャングルを見渡す。
「俺たち、何を勝ったっていうんだ?一匹の怪物をかわしたと思ったら、もう一匹が目の前だ!」
Sarahは視線を失わせ、囁いた。
「違う……あいつらを向き合わせたのよ。」
Brayanは眉をひそめる。
「何だって?」
Sarahは指を差した。バンカーの廃墟から現れる巨大な影。Sujet Z-1は夜の中で立ち上がり、月明かりにその黒い皮膚が光る。そして数メートル離れた場所には……Sujet I-9が見据えていた。
二体の生物は睨み合う。凍りつくような沈黙が訪れる。
最初に動いたのはSujet I-9。鋭い爪を振るい、Sujet Z-1に飛びかかる。しかしZ-1は巨大な尾で反撃し、I-9を木々の間へと弾き飛ばした。戦いは言葉では表せない混乱を引き起こす。
木々は倒れ、地面は衝撃で割れる。
Mercerはゆっくり後退し、銃を構えたまま。
「今走るのか?」
Brayanはうなずく。
「今だ。」
彼らはジャングルを駆け抜け、二体のタイタンが島の運命を決める戦いを繰り広げる中、後ろに残す。
しかし、Sarahは歯を食いしばりながら呟く。
「ただ逃げるだけじゃダメよ!」
Mercerは立ち止まり、彼女を見つめる。
「もっといい案があるのか?」
SarahはポケットからUSBを取り出す。
「止められるわ。基地で見つけたファイル……絶滅コード。」
Brayanは眉をひそめる。
「な、何だって?」
「GenSysCorpのハイブリッド生物すべてを無力化する信号よ。」
Mercerは片眉を上げる。
「つまり、一撃で全滅させられるってことか?」
Sarahはうなずく。
「でも、通信センターまで戻って送信しないといけない。」
Emilyは恐怖で囁く。
「ここから始まった場所に……?」
SarahはUSBを握りしめる。
「これが唯一のチャンスよ。」
MercerはBrayanと目を合わせ、ため息をつく。
「なら俺も行く。」
「私も行く!」Emilyが叫ぶ。
グループは分かれ、ジャングルの中に消えていく。背後では、二体の怪物が破滅的な戦いを続けながら、彼らを見守っていた。




