ジェネレーションギャップ
そして、自分の放った魔法にて倒された悪魔王の死骸を持ち上げる。
アイテムボックスがあるにもかかわらず何故担いでいるのかというと、俺の得意魔法を次元魔法だと思わせたくないからだ。次元魔法の王級なんていう超珍しい魔法を見せたらきっと重宝されるだろうが、楽しくなさそうだ。それに、次元魔法は強い代わりにそれを無効する結界も簡単に張れる。
だから、封印されやすい次元魔法じゃなくて、もっとかっこいいのがいいな。
あ、精霊使いとかもいいかも。ちょうど上位精霊も持ってるし。いや、それだと瞬間的な火力が足りないな。じゃあ、雷鳴魔法とかでいいか。強いし、威力調整もできるし。
よし。決定だ!
「じゃあ、一旦さっきの女性をアイテムボックス、というか次元の狭間から出すか」
そして、無詠唱の効果がまだ続いているうちに女性を出す。
「あ、すいません。寝てました…………」
気にしなくていいよ。だって、次元の狭間に入る前に魂の活動を休止させてたからね。魂が稼働状態にある生命体は次元の狭間には入れない。だから、普通は死体とかしか入らないのだ。
「いいですよ。じゃあ、戻りましょうか」
そういい、早速雷鳴魔法の応用で瞬間移動するか。
「でも、ここから歩くとまた襲われてしまう可能性が…………」
こいつ、ついさっきまで死霊魔術を使おうとしてたんだよな?その覚悟が無くなっている。意思力が低下している。
「なにか、有力な魔法は使えますか?」
「転移魔法などは心得ていませんが、魔術は少し…………」
「なにが出来ますか?」
最悪、何も出来なくても俺の雷鳴魔法で帰れるんだけどな。
「私は、死霊魔術を使えます」
「でも、使ったら死ぬんでしょう?」
そう、核心を突く。
「ああ、勘違いされている方も多いようですが、死霊魔術には確かに相打ちの呪いというのも存在しますが、その本質はアンデット系の支配です」
そう、なの?いや、そうじゃないはず。死霊魔術は、確かに諸刃の剣として創った魔術だったはず。そんな、魔族が不利になるような魔術、創ってない…………。いや、魔術ということはスキルではないのか。ってことは人間が発明したって事!?
「な、なるほど。転移が出来ないようでしたら、雷鳴魔法が使えるのでその応用で帰りましょうか?」
「雷鳴魔法って、あの無差別殺人魔法ですか?」
「は?」
なにいってんだこいつ。数百年前までは雷鳴魔法といえば最強の魔法の一角としてこの世界を引っ張り上げた魔法だ。その本質は魔力のコントロールのしやすさ。つまり、威力や範囲を決められるのだ。
だから、その使い手は重宝されていたはずだが…………。ジェネレーションギャップか?
「え、あ、すいません。使い手の方でしたか?」
「まあ。それで、雷鳴魔法の王級に雷足という技があるんですけど、応用で瞬間移動ができてですね」
そういうと、その可愛らしい目と口を大きく開けている。絵に描いたような驚き顔だ。
「王級⁉え?特殊魔法の王級使えるの⁉」
「ま、まあ」
「じゃあ、うちの研究所こない⁉」
はああ?