神力
そして、俺はその強大な魔力を感じつつ、考える。
何故か、悪魔王から神のみが持つことを許される力、神力を多少感じる。
っていうか、よく考えたら俺がこの世界を管理できてないとき、誰が管理してたんだ?
世界ってのは、そんなに強くないはずだ。
それも、人間種や他の生命体を守りつつ。それも、人間に叡智を与えた世界で。
叡智を与えた世界では、どうしても生態系が崩れ、人間種も絶滅する。
そのため、人間種の成長を抑えるために強力な魔族を創ったり、逆に魔族に人間種が滅ぼされないように人間種の上位個体を創ったり。
まあ、他の神たちは人間種以外にも高度知的生命体を創ってるらしいけど。
要するに、人間種と魔族だけ放っておいたらどちらかが力関係的に絶滅するはずなのだ。
だから他の神が今も監視しているはずだ。
そして、そいつが悪魔王に神力を与えたのだろう。
だって、さっきまでは感じられなかったから。
って事は俺が創造主だって知っての行動か。
これは、お仕置きが必要だな。
まあ、まずは目の前の、神になりかけの格下を殺すとするか。
近づいてきたぞ。
神力を開放するか。
神力を少しでも含んだ魂の受け皿は、ほぼ神力でしかダメージを与えられないからな。
本当にどいつがこんなことやってるんだ…………。
よし、
「神力解放」
その言葉と共に、悪魔王の一撃を喰らう。
そう、俺はその一撃を喰らった。喰らったのだ。
俺の神力は、神力を喰う。
神力は、特別な力を何かしら持っているのだ。それが、俺の場合は『神力を喰う』という力だった。
そして、神力を含む魂には、ほぼ神力しか効かない。つまり、俺は神特攻があるのだ(スキルではないが)。
さらに、この力の心髄は、そこではない。
喰った神力の力を使えるのだ。まあ、吸収した神力を放出してるだけだから、使えばなくなるけどね。
つまり、他の神と戦えば戦うほど俺は成長する。
そして、こいつの神力を吸収できたから、放出する。
こいつの神力の力を確認するためだ。
一見すると分かりづらいものもあるが、俺には生憎『演算権限』がある。
なんの変化が起きたかは分かるのだ。
「神力放出」
その言葉と共に後ろから攻撃してきていた神力持ちの雑魚が吹っ飛ぶ。
恐らく、衝撃波を出すような力だろう。
弱いな。俺は例外として、今までで戦った神のなかで最も強かった力は、消失だ。
その神力に触れた物は消えてしまうのだ。効果範囲は物理的なものでなくても。そう。魂でさえ消してしまう。さらに、俺の神力も触れた所から消えていった。そのため、吸収は出来なかった。残念。
で、衝撃波を出す程度って事は恐らく階級を与えられてないような神だろう。
★
「階級は13段階に分けられてこれに含まれない神は、含まれている神に触れる事すらできない。そして、それは階級が違う神もそうだ。階級と言うのは絶対的な指標なのだ。そして、その判断基準が神力の力。それによってその神の存在価値が変わる。まあ、このくらいかな。僕の事は気にせず、この堕とされた神の愚行を一緒に楽しもうね!」
★
まあ、他の魂に神力を与えたら薄まることがあるから、一概にそうとは言えないけどね。
「じゃあ、お前にはここで消えてもらう。神力放出」
そういい、俺は自分の神力を練り、拳に付ける。
そこには、既に回収済みの上位精霊が既にいる。そのため、そいつが練った神力を吸い上げていく。精霊種は魂を持たない魔力の塊であるため、ほぼ100%の神力を与えることが出来る。
よし、十分か。そこには、攻撃を防がれて怒っている悪魔王が居た。
「魂さえ燃やし尽くしてしまえ。神級魔法、エンド」
その終焉は、悪魔王を燃やす。しかし、勿論その程度では消滅しない。
ただ、その魂は大きく傷ついたため、もう神力が傷口から逃げていく。
だから、神力を含んでいないただの上級魔法でも、十分に殺せる。
そう考えてた矢先、呻き声がする。
そして、そっちを見ると、闇の帝王級魔法、ルックエンドが迫ってきている。
その魔法は、神力に最も近い、魔力の練り方をする魔法だ。
だからこれを選んだんだろうが、本物には敵わない。敵うはずがない。
所詮、ただ似ているだけだ。
「ゴミが」
そして、その攻撃を受け、吸収する。その攻撃を開放し、悪魔王は死ぬ。
自分が撃った魔法で。
☆
その一部始終を見ていた神は、ニヤつきながら次の嫌がらせを考えるのだった。