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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
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第95話 衝撃への布石

 翌日、学校から帰ってきた満は、いつものようにチャンネルの通知を見ていた。


(あれ、新しい通知が来てる。誰からだろ)


 気になる満は通知を開く。


『やっほ~、ルナち。レニちゃんだぞ

 チョコを作る動画見たけど、やばくない?

 いやぁ、負けず嫌いのレニちゃんは燃えてしまったのだよ

 というわけで、今週よかったらコラボしようよ

 ルナちの厨房で、レニちゃんの料理の腕前を見せてあげるのだよ


 それじゃ、お返事待ってるにゃはは~☆』


 真家レニだった。

 どうやら昨夜アップした動画を見て、対抗意識を燃やしたようである。

 それもそうだ。雪が降る光月ルナの屋敷で雪だるまを作り上げるような真家レニなのだ。仮想空間でチョコレートを作ったとあれば、燃えてしまうのは必然のことなのであった。

 内容を読んだ満はついつい笑ってしまう。


「もう、レニちゃんらしいよね、こういうのって」


 平常運転の真家レニに安心した満だが、返事を出すのはまた後にすることにした。

 なぜかというと、光月ルナが活動するにはまだ時間が早すぎたからだ。

 いつものように宿題やら食事やらをしていると、すっかり時間が遅くなってしまった。特にSNSのチェックに時間がかかりすぎた。

 なぜなら、昨日アップした動画に対しての反応が大きかったからだ。大体は世貴のせいである。

 世貴の変態技術のせいで、いつもより多くの反応があったのである。

 半分近くは世貴の変態技術へのコメントだったが、残り半分は光月ルナに対するコメント。これには満も苦笑いである。


 そして、夜9時を迎える。

 今日は水曜日ということで、真家レニの配信があるのだ。

 満ももちろん、配信前から待機している。先述の通りにSNSチェックで少し遅れそうになったが、それでも5分前にはちゃんとモニタの前でスタンバイしていた。


「こんばんれに~、レニちゃんだぞ」


『こんばんれに~』


『こんばんれにー』


 相変わらず長音の表記ゆれはあるが、揃ったあいさつで始まる。


「いやぁ、みなさん、見ましたか!?」


『なにをだ?』


『いきなりすぎてわからんwww』


「もちろん、ルナちのチョコレート動画ですよ!」


『あれか!』


『なんだなんだ、なんか妙な動画でも上がってたのか?』


『おい、あれを見てないだと?』


『レニちゃんの配信の後でいいから見ておくんだ、飛ぶぞ?』


 真家レニから振られた話題に、リスナーたちの反応は様々だった。


「あれを見たレニちゃんは触発されましたよ、もちろん」


『だろうなwwwww』


『負けず嫌いだもんな、レニちゃん』


「はい。なので、ルナちにあの設備を使わせてもらえるようにコラボを申し込みました!」


『はwやwいw』


『なんて早い申し込み。俺でも見逃しちゃうね』


 おそらく続く言葉が予想できていたのだろう。リスナーたちからは『ですよねー』みたいな反応ばかりが出てくる。

 それと、見逃してしまうのも無理はないというものだ。チャンネル同士のメール機能で申し込まれたのだから、当人たち以外から見えたら大問題である。


『それで、返事は?』


「ルナちからの返信はまだですよ。設定的に寝てる時間ですし、あれだけの反応があってはレニちゃんの申し込みへの返事はできないと思うよ」


『ああ、リプ欄がお祭りになってたな・・・』


『ルナちに対抗心を燃やすレニちゃん、いい・・・ ¥21,400』


『おい、スパチャwww』


 時折半端な金額のスパチャが飛び交うが、金額は5万円以下なら好きなように設定できる機能があるからである。

 もちろん回数も制限があり、一配信あたり2回までしか行えない。やりすぎはリスナーのお財布に優しくないための配慮である。


『【光月ルナ】おはようですわ、真家レニ様』


「ふぁっ!?」


『ルナちだー!』


 突然の光月ルナの出現に、真家レニもリスナーも大興奮である。


『【光月ルナ】コラボ配信の件、お受け致します。日程はまたメール機能で相談致しましょう』


「りょ」


 満が打ち込んだコメントを見て、真家レニは一発了承していた。


「てひひひ、レニちゃん、乗ってきたよ!」


 満、光月ルナからの了承の返事を見て、真家レニがヒートアップしていた。


「よーし、レニちゃん、歓喜のバレンタインイラストだ! せっかくだから、ルナちを描くよ!」


『コラボ前にコラボすなwwww』


『レニ画伯が暴走しとるwww』


 リスナーたちも盛り上がる中、真家レニが光月ルナを描き上げていく。相変わらずのアタリなしのイラスト。


『そwこwかwらw描wくwかw』


 リスナーに大ウケしてるのは、手でハートをしているポーズから描き始めたからである。

 満もどうしてそこから描き始めたのか分からずに、配信を見ながら困惑している。


「レニちゃんに、不可能はないのだぁっ!」


 時間にして18分。手でハートマークを作りながら顔を覗かせる光月ルナのイラストが描き上がった。


『相変わらず早え!』


『上半身だけとはいえ、ルナちのあの複雑な衣装込みでこんなに簡単に描けるもんなん?』


『無w理wぽ』


 真家レニの超絶技巧がさく裂し、この日の真家レニの配信は終わったのである。

 今日だけでもかなり衝撃的だったというのに、後日に真家レニと光月ルナのコラボ配信がある。それを考えると、リスナーたちは興奮のあまり夜しか眠れなくなってしまいそうで恐怖に震えたのだという。

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