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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
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第87話 配信後のそれぞれ

 Vブロードキャスト社の新人アバター配信者のお披露目配信が終わり、満たちは配信を画面からブラウザを切り替える。


「ふむ、男女構成は事前に明かされていなかったが、今回は男1の女3だな。いや、キャラじゃなくて中の人もだ」


「風斗、分かるの?」


「まあな。これでもお前よりはアバ信の配信は見てるからな。声の感じで大体の性別は当てられる」


「すっごい自信……」


 満は風斗の発言にドン引きしていた。

 ピコンという音が響き渡り、満は画面に再び目を向ける。


「あっ、通知が来てる」


「本当だな。誰からだ?」


 風斗も気になっているのか、画面に注目している。

 通知を開くと、そこには知った名前が出ていた。


「あ、レニちゃんからだ」


「早えな。配信終わったのさっきなのに」


「レニちゃんも見てたみたいだしね」


「いや、それにしても早すぎだろ、文章量的に」


 風斗の指摘は確かにそうだった。結構な長文書かれていた。

 どうやら真家レニは、今回の新人たちに対して結構期待をしているようだった。

 要約すると次のようになる。

 真家レニは今回の新人たちを気に入っているようで、あわよくばコラボしてみたいといっているようだった。


「『今夜の配信、楽しみにしていてね。レニちゃんより』」


「真家レニはずいぶんと気に入ってるみたいだな、今回の新人たちを」


「そうだね。この分なら、この後の華樹ミミさんと蒼龍タクミさんの配信も見てそう」


「かもな。それじゃ、俺も帰って家で見るか。悪かったな、今日はお邪魔してさ」


「うん、別にいいよ。それじゃね、風斗」


 配信を見終わったところで、風斗は家へと帰っていった。


「さーて、僕は夕方の配信を見る前に光月ルナのSNSとかを見ておこうかな」


 背伸びをした満は、明日の配信のネタになりそうなものを求めて、SNSのチェックを始めたのだった。


 ―――


 同じく、お披露目配信の終わったVブロードキャスト社内では……。


「はい、お疲れ様でした。各マネージャーたちと話をして解散となります」


 配信の音響担当の声で、ようやく新人アバター配信者たちは緊張から解放された。


「お疲れ様。それにしても、大丈夫?」


 華樹ミミが香織に近付いてくる。


「はい、大丈夫です。椅子から転げ落ちるなんて、ちょっとらしくなかったですよね。あはははは……」


 香織は、顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。


「しっかし、なんで椅子から落ちて顔面から床に倒れるんだよ。会場の笑いは誘えたが、見てるこっちがひやひやしてくるぜ」


「ごめんなさい、タクミ先輩……」


 蒼龍タクミに言われて、香織は素直に謝っていた。


「ケガの功名かもね。私の後じゃキャラかぶりして目立たなかっただろうし、ドジっ子キャラって印象がついたと思うわよ、マイカ」


「う、うーん。喜んで、いいのかな……?」


 周りからの反応に、香織は頬をかきながら笑っていた。


「さて、私とタクミはこの後配信をするけれど、参加してもいいという新人の方は、残ってもらっても結構よ。中学生の二人も時間的に参加できるし、ちゃんと送迎はするから安心してちょうだいね」


「あ、それでしたら、私は参加したいです」


 華樹ミミの提案に、香織は手を挙げていた。


「俺はパスだな。明日の朝は早いんだ。遅番の日なら残れたんだがな。よりによって早番だぜ」


「私も帰りますね。バイトがありますので」


「分かりました。お気をつけてお帰り下さいね」


 挨拶をすると、勝刀とふぃりあの二人は部屋を出ていく。

 その姿を見送りながら、華樹ミミはしずくをみる。


「あなたはどうするのかしら、ぴょこらちゃん。家のことだったら、海藤さんや私、それにタクミもいるから送っていってあげられるわよ」


「うーん、分かりました。マイカ一人では大変だと思いますので、参加します」


 しずくはしばらく悩んでいたが、ミミとタクミの配信に参加することを決めた。

 その返事を聞いた華樹ミミはにっこりと微笑んでいる。


「そう。それじゃ決まりね。それじゃ、それまでは休憩室で休んでいてちょうだい。15分前には呼びに来るわ」


「はい、分かりました」


「いきましょう、タクミ。私たちは打ち合わせよ」


「わーったよ」


 華樹ミミはタクミと一緒に配信室から出ていこうとする。

 ところが、何を思ったのか入口に立ったところで、くるりと中へと振り返る。


「それでは、森さん、犬塚さん、海藤さん、お二人を頼みます」


 どうやら二人のマネージャたちに声をかけるためだったようだ。


「分かりました。では、休憩室に移動しましょうか」


「はい」


 華樹ミミが出ていったあとで、香織たちは休憩室へと移動していく。

 散々なデビューを果たした香織だったがゆえに、名誉挽回とばかりに先輩たちの合同配信への参加を決めた。

 だが、これが吉と出るか凶と出るか、香織次第といったところだろう。

 選抜会場で仲良くなり、同時にアバター配信者としてデビューを果たしたしずくとも一緒だ。

 夕方5時からの配信に備えて、香織としずくはマネージャーたちと一緒に休憩室で休んでいる。

 はてさて、やり直しデビュー配信は、一体どのような結果になるのだろうか。

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