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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
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第85話 ブイキャス新人お披露目配信

 その頃、満の家では……。


「おっ、そろそろブイキャスの新人アバ信のお披露目配信だな。4人だっけか」


「そうだね。どんな人たちが出てくるだろうかな、楽しみだね」


 今日の満は男の子の状態でモニタを見ている。いろいろあって遊びに来ている風斗と一緒に中継を楽しみにしている。

 時間は刻一刻と開演時間に迫っている。

 新人アバターお披露目はPASSTREAMER上で配信されるため、満のパソコンでその様子を見守っている。

 すでに同接が50万人を超えている。


「満、今ログインしてるか?」


「うん、してるよ?」


「そっか。じゃあコメントに【光月ルナ】って表示されるから気をつけろよ」


「あっ!」


 風斗の指摘でようやく気が付く満である。

 確かに真家レニがログイン状態でコメントを残した時には【真家レニ】の文字が出ていた。それをすっかり忘れていたのだ。

 光月ルナと出ると、時間的にいろいろ問題はありそうなのだが……。


「まぁでもいっか。アバター配信者なら気にしている人は他にもいるだろうし」


 満は気にしないことにした。どうとでもごまかせると踏んだのだろう。


「そうかも知れないな。アバ信が見てるとなると、掲示板は大盛り上がりしそうだがな」


「掲示板?」


 風斗の言葉に、きょとんとする満。これには風斗は驚いて目を丸くしていた。

 顔に手を当ててため息を漏らす風斗に、満はおろおろとしていた。


「アバター配信者になったなら、知らない方がまあいいか。……なんでもない。それよりもそろそろ配信が始まる時間だろ」


「あっ、そうだった。お手洗い済ませてくるね」


 満はそういうと部屋を出ていった。その姿を風斗は複雑な表情を見ていた。


 満が戻ってくると、ちょうどブイキャス新人アバ信お披露目イベントが始めるところだった。


「わくわく。どんな人たちが出てくるんだろうね」


「今回は第四期生だったかな。四期だから4人ってわけでもないだろうが、楽しみには変わりがないな」


 満と風斗はじっと画面を見つめている。

 軽快な音楽とともに、司会の声が聞こえてくる。


「皆様、本日はVブロードキャスト社の新人アバター配信者のお披露目配信をご視聴いただき、誠にありがとうございます」


 この声に、コメント欄が一気に騒めいている。


『この声、華樹ミミじゃまいか!』


『ミミたそ!!』


『ブイキャス第一期生にして、業界最強の一角であるミミたそだ!』


 ほぼ華樹ミミ一色で埋め尽くされていく。これが大人気アバター配信者の実力なのだろう。


「へえ、華樹ミミが出てくるとはな」


「確か、花宮さんが挙げてた名前だよね」


「そっ。あいつもブイキャスの面接を受けたんだ。当然、意識するだろうさ」


「ふーん」


 満はあまり興味はなさそうである。


「おいおい、みんなミミにばかり注目してるんじゃねえよ」


『おお、タクミ様もいらっしゃるぞ!』


『マジか、ブイキャスのワンツーが同時に揃うとか、これはマジで神!』


『【真家レニ】ミミたんとタクミ様が一緒に・・・、眼福眼福』


『ちょっ、レニちゃんが来てるぞ』


 一瞬だけ見えた真家レニの名前に反応しているリスナーがいた。

 みんな目ざといなと思う満だった。


「……僕、反応しない方がいいよね」


「だな。これだけの勢いで流れていくコメントから、一瞬だけの表示を見逃さないんだからな。吸血鬼設定のお前の名前を見たら、絶対騒ぎになる」


「まだ明るいもんね、外……」


 困り顔で話をする二人だが、風斗は実にひやひやした様子だった。


「ではでは、私たちブイキャスの新しいメンバーを紹介しますね。みなさん、準備はいいでしょうか!」


「しばらく俺たちは画面から消えるからな。しっかり目に焼き付けていろよ」


『いいお!』


『タクミ様、相変わらずのナルシストっぷりに草』


『さあ、第四期生はどんなメンツが出てくるんだ?』


『ワクテカが止まらないぜ』


 いよいよ新人の紹介とあってか、コメント欄の流れが加速している。

 カーテンの画像が映し出されて、バックにはドラムロールが鳴り響いている。


『ドルルルルルル・・・』


『ドキドキ』


 ジャンという音ともにドラムロールが止まると、さっとカーテンが開いて4人の新人アバター配信者のアバターが表示される。その姿は統一感のない姿のアバターたちだった。


「この方たちが私たちVブロードキャスト社の第四期生のアバター配信者たちです」


「俺たちが一人ひとり紹介していくから、自己紹介を頼むぜ。第一声っていうのは大事だから、今のうちに深呼吸して落ち着いておけよ」


 司会進行の華樹ミミと蒼龍タクミが響いている。

 さすがは第一期生と第二期生だ。踏んだ場数の違いゆえか、とても落ち着いている。


「ははは、みんなガチガチだな。俺がデビューした時のことを思い出すぜ」


「確かにそうですね。タクミってば自己紹介で盛大に噛んでいましたものね」


「お、おい。その黒歴史を持ちだすんじゃねえよ」


『かみかみタクミ様、見てみたい』


『今のタクミ様からじゃ信じられないな』


『草』


 過去話を持ち出されて慌てる蒼龍タクミの声に、コメント欄もここ一番の盛り上がりを見せていた。


「では、改めて新人たちに自己紹介をしてもらいましょうか。私たちが名前を呼びますので、それに続いて名前から落ち着いて話して下さいね」


 一度華樹ミミに戻っていた映像が、再び新人たちに切り替わる。

 ドキドキの自己紹介がいよいよ始まろうとしていた。

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