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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
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第79話 久しぶりの銀の弾丸

「おはようですわ、みなさま。光月ルナですわ」


『おはよるなー』


『おはよるな~』


 光月ルナの配信が始まる。


「本日は、久しぶりにSILVER BULLET SOLDIERを遊んでみようかと思いますわよ」


『おおーっ!』


『待ってた』


 年も明けたことだし、原点回帰といわんばかりに、満はあのゲームを引っ張り出してきた。

 SILVER BULLET SOLDIERというゲームは、銀の弾丸でゾンビや吸血鬼、オオカミといったクリーチャーたちを撃ち抜いていくというシューティングゲームだ。

 これでいて年齢制限が12歳以上という低めの設定。それなので、中身13歳の満も安心して遊べるというものである。

 このゲームは配信者たちの間でも時折配信されているので、満も気兼ねなく配信ができるというもの。

 しかも、光月ルナという吸血鬼のアバターを使っているとあって、その話題性が受けているのである。


「このゲームでの配信も久しぶりでございますね。皆様からのご支援で、年間払いをすることができましたわ。感謝を込めて、定期的にこちらのゲームの配信を致しますわね」


『おお、さすが』


『供給助かる』


『吸血鬼が銀の弾丸で同胞を撃っていく、これだけでネタになるんよ』


 リスナー受けが相変わらずいい感じである。


「僕だって、あれ以降時折触っておりましたからね。もう以前ほどへたくそというわけではありませんわ」


『ほほう、見せてもらおうか。銀髪の腕前というものを』


『草』


『謎の上から目線www』


『【真家レニ】シルバレと聞いて』


『レニちゃんだー!』


 これからゲームを始めようというところに、予想外の来訪者が現れた。

 まさかの真家レニである。


『【真家レニ】今日のレニちゃんはおとなしいよ。あくまでただのリスナーなのだ、にししし』


『ホントかなあ』


 前科があるだけに、一部のリスナーが警戒しているようだった。

 一回とはいえども、やらかせばそれだけ印象に残ってしまう。

 ましてや真家レニともなれば十万人以上の登録者を持つ個人勢アバター配信者。それだけ強く多くの人の記憶に残ってしまうのだ。


『【真家レニ】みなさん、酷いですねー。ぷんぷん』


 真家レニは怒っているようだった。


「まあまあ、ケンカはよして下さいませ」


『【真家レニ】りょーかい、レニちゃんはルナちのシルバレ配信が見たいんだよ』


『ただのファンで草』


『【真家レニ】チャンネル持ち同士じゃスパチャできないのがつらたん』


『あや、そんな制約があったのか』


『【真家レニ】あるのだよね~』


「おほん、とにかく始めますわよ」


 真家レニたちのやり取りを見ていた満は、さすがにこれ以上はダメだと思って進行させる。


「今日は第四章ですわね」


『おお、第三章までクリアしてたか』


『二か月半ならまぁ頑張った方かな』


 意外とリスナーたちは褒めてくる。そのくらいには、このゲームの難易度がおかしいのである。

 海外製であるというのはあるかもしれないが、月額課金で理不尽な難易度を誇るゲーム。普通ならばさっさと投げ出してしまいそうなものだ。

 だが、満は真家レニと肩を並べたいのか、必死にその理不尽にしがみついているのである。


『レニちゃん、ネタバレ禁止で』


『【真家レニ】分かってるのだよ、にぱっ☆』


 バリバリのやり込み派である真家レニは、つい口出しをしそうになるのを必死に抑えているようだった。


『【真家レニ】うう、言いたい、でもガマン』


『レニちゃん偉いなぁ』


 リスナーたちは、すっかり子どもを見守る親の心境だった。

 真家レニも混ざって、リスナーたちは満のSILVER BULLET SOLDIERのプレイ実況を見守っている。


『最初の頃に比べれば、落ち着いて実況できるようになってきたな』


『だな』


『でも、このゲーム五章までしか実況しちゃいけないんだよな』


『ああ、ネタバレ対策だっけ?』


『【真家レニ】ああ、そうだったんだ。よかった、レニちゃん実況してない』


『せふせふ』


「あら、それは本当なんですの?」


 クエストを消化しながら、質問ができるくらいに満には余裕が出ていた。


『規約ページに書いてあるよ』


『ルナちが今やってるのは四章だからせーふ』


「そうなのですわね。気をつけますわ」


『タイムアタックと共闘クエストは配信自由だぜ』


『シナリオと関係ないからな、あれは』


『そそっ』


『【真家レニ】ほえ~、リスナーさんたち物知り、レニちゃん、ひとつ賢くなった』


『さすレニ』


 どうやら真家レニはその辺りをしっかり把握していないようだった。

 予想外なことに満やリスナーたちは大うけである。


「はい、無事に四章をクリアできました。今日もご覧いただきありがとうございましたわ。高評価と登録をお願い致しますわね」


『もうしてるwww』


『チャンネル登録をもう一回押したら解除してしまう罠』


 定型句を言うと、リスナーたちがまた大盛り上がりである。


「うふふ、嬉しいかぎりですわね。それではみなさま、ごきげんよう」


『おつるなー』


『おつるな~』


『【真家レニ】ルナち、おつかれさま~』


 今日も無事に配信を終えた満なのである。

 このほっこりとした雰囲気に、満は俄然やる気を出したのだった。

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