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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
72/317

第72話 年末合同配信

 明日は大晦日。

 大晦日はおそらく年越し配信が増えるだろうという予測を立てた満は、30日に配信を行うことにしたのだ。


「やっほ~、レニちゃんだよ!」


 真家レニと一緒にである。


(結局こうなるのかぁ……)


 先日のクリスマスの配信から、たったの5日である。また合同配信とは思ってもみなかった満なのだった。

 今回も持ちかけてきたのは真家レニの方である。

 話によれば、大みそかにはアルバイトがあるらしく、その前に寂しさを紛らわせたいと手の空いた知り合いのアバター配信者に声をかけまくったらしい。

 その中で、思惑の一致した光月ルナこと満が了承して、今回の合同配信となったのである。


「おはようですわ、みなさま。光月ルナでございます」


 平静を装いながら、挨拶をする満である。


『すっかりこのコンビも見慣れてきたなぁ ¥12,300』


『高額スパチャで草』


『気持ちは分かる。だが、この組み合わせはなんだか安心する』


『うんうん、見慣れたらまたかよと思うところ、待ってたんだよと思ってしまう不思議』


 リスナーたちもリスナーたちで盛り上がっていた。

 この日の配信は、何を思ったのか真家レニはあのゲームを取り出していた。


「じゃじゃーん。多分みんな期待していたと思うので、今日はこれで遊んじゃうよ」


『ぶww』


『年末にホラゲかよwww』


『おwなwかwいwたwいw』


 リスナーたち大爆笑である。

 そう、真家レニが取り出したのは『SILVER BULLET SOLDIER』だったからだ。

 とはいえ、真家レニと光月ルナが共同配信をし始めたきっかけのゲームである。この年の締めとして、これ以上最適なものがあるだろうか。いや、ないだろう。


「てひひひ、レニちゃんの凄腕を年の瀬にも見られるなんて幸運だよ。準備はいいかな~?」


 真家レニから聞かれて、満は当然こう答える。


「もちろんでございますわよ。僕たちのコンビ―ネーション、とくとリスナーの皆様に見せつけてあげましょう」


『これは期待age』


『何度見てもシュールだな。吸血鬼が銀の弾丸ぶっぱとかwwww』


『それがいいんじゃまいか』


 リスナーたちが騒めく中、画面がゲーム画面へと切り替わる。


「みんなはどっちの視点でゲームが見たいかなー?」


 スタート画面が表示されると、真家レニがリスナーへと問い掛けていた。


『レニちゃん』


『ルナち』


 コメントがあっという間に流れていく。

 さすがに年末は暇なのか、同接が5万とか叩き出している。それだけに、コメントの流れるスピードはいつもよりも速かったのである。


「おっけー、というわけで、レニちゃんのFPS画面でお送りいたします☆」


『あれを数えたのかよ・・・・・』


『さすがはこのゲームのランカーだな』


『動体視力がバケモノだ』


「数えたよー? レニちゃんが1872で、ルナちが1799。よって、レニちゃんの勝利なのだ、わはー☆」


『こっわwww』


 真家レニのとんでも能力に、リスナーたちは揃ってドン引きだった。


『レニちゃんは超能力者だなぁ ¥20,000』


『どさくさに紛れてスパチャwwww』


 まだゲームが始まっていないというのに、リスナーたちは盛り上がっていた。


「それじゃ、共闘クエスト二人用を始めるけど、ルナち、準備はいい?」


「ええ、もちろんですわ。いつでもよろしくてよ」


「よーし、記録更新狙っちゃおう」


 真家レニの合図で、共闘クエストが始まる。

 今回は満にとって初見のマップだった。


「初見でも大丈夫大丈夫。基本はどのマップも一緒だよー☆」


 真家レニがそういうので、満はそれを信じてみることにした。

 リスナーたちが見守る中、共闘クエストが始まった。

 初見マップであるにも関わず、満も意外と動けている。不思議とどこから敵がやって来るのか分かっているようだった。


「おっ、ルナちやるねぇ。レニちゃん負けてらんないね」


 満がなかなかにいいプレイを見せてくれるものだから、真家レニが張り合っている。

 他のクエスト同様に雑魚を90体倒すとボスが出現する。


『ここまで3分かかってないな』


『ここってそんなに早く倒せたっけ?』


『無理無理。このマップ物陰が多いから曲撃ちも使わないと無理ぽ』


『曲撃ちってできたっけ?www』


 リスナーたちも驚愕のスピードである。

 そんなことを言っている間に、ボスのゲージがどんどんと削られていく。

 残った雑魚が襲い掛かってくるが、そんなものが通じる二人ではなかった。

 やがて画面に『CLEAR!』の文字が表示される。


『はっやwwwww』


『マジかよ、3分半かかってないぞ』


「レニちゃんたちにかかれば、このくらい楽勝~」


 プレイ画面から元の画面に戻ると、そこにはにこやかな表情でVサインをする真家レニの姿が映っていたのだった。


「ではでは、今日はこのくらいで終了しますね。みなさん、よいお年を~」


「みなさま、よいお年をお迎えくださいませ」


 こうして、年末の二人の合同配信は終了したのであった。


 なお、この日の真家レニと光月ルナの配信は、年末に起きた伝説としてしばらく語り継がれることとなる。

 なぜなら、この後に同じクエストに挑戦していった一流プレイヤーたちですら10秒以上も遅れを取る記録だったのだから。

 この日の真家レニと光月ルナの配信の話題は、SNSを通じて瞬く間にバズリ散らしたのであった。

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