表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

444/444

第444話 満の弱点は変わらない

 あっという間に期末テストも終わり、もう夏休みも目の前になっていた。

 返却されたテストの結果を見て、満は机に突っ伏してしまっている。


「満くん。すごい落ち込みようだけど大丈夫?」


 香織が心配になって声をかけてくる。


「うん、大丈夫だよ」


 くるりと顔を上げて答える満だが、どう見ても大丈夫そうに見えない。香織はさらに満に声をかける。

 すると、満は無言で成績表を見せてきた。


「まあ……」


 成績表を見せてもらった香織は、その成績に顔をしかめてしまう。

 なぜなら、赤点とまではいかなくても悪い数字が並んでいたのだから。

 中学の時からもあんまり成績がよろしくなかったところはあったが、高校に入って拍車がかかってしまったようである。


「平均点よりちょっと悪いくらいかなぁ……。さすがにこれは大変だよ、満くん」


「うん。さすがに今後を考えると、少しは改めた方がいいよね」


 満はかなり凹んでいるようだった。


「う~ん、僕ってどうしてこうも勉強がダメなんだろうなぁ……」


 成績表を眺めながら、満はぶつぶつと独り言をつぶやいている。

 その様子を見て、香織は大きなため息をついていた。


「だったら、村雲くんにも相談しましょう。私じゃ勉強しようとしか言いようがないし。それだと、満くんは嫌がるかもしれないものね」


「うーん、分かったよ。こんな状態じゃ、とてもじゃないけど小麦さんと並び立つにふさわしくないもんね……」


「小麦さんねぇ……」


 落ち込む満がつぶやいた名前に、香織はちょっとむすっとしたようだった。

 どうやら、まだまだ香織は満のことを諦めていないような感じである。

 とはいえ、鈍い満がそんな香織の気持ちに気付くわけもなく、放課後に風斗に勉強のことで相談することで話を終えたのだった。


 放課後、家が近くなってくると自転車から降りて、満たちは並んで自転車を押しながら歩いている。


「で、俺に何か話があるっていうのか?」


「うん、そうなんだよ、風斗」


「村雲くん、満くんの相談に乗ってあげて?」


「分かったよ」


 満と香織から相談を受けて、風斗はちょっと嫌がりそうにしながらも相談を受けることにしたようである。

 そうして、満が取り出したものを見せられた風斗だが、見た瞬間に思いっきり表情を曇らせていた。


「なあ、満」


「なに、風斗」


「テストって、何点満点か知ってるよな?」


「うん、百点満点」


「お前の成績は?」


「四十点台」


「……」


 満と一問一答を繰り広げる風斗だったが、満から返ってきた答えに思わず沈黙してしまう。

 そう、百点満点のテストで、ほとんどが四十点台である。平均点よりちょっと悪いというにもほどがある。ひどいと平均点より二十点近く悪い。赤点寸前だった。

 さすがにこの状況には、風斗は大きなため息をつかざるを得ない。


「満、さすがにもうちょっと成績をよくしておこうぜ。下手すると、アバ信を止められかねんぞ」


「ええっ?! それは困るなぁ……」


 風斗がアバター配信者をやめさせられる可能性に言及すると、満はものすごく慌てている。

 なにせ満にとってアバター配信者は生きがいであり、憧れの真家レニの近くにいられる方法のひとつなのだ。それが止められるとなれば、満にとってこの上ないダメージとなる。


「それに、ある程度勉強できることに越したことはないってもんだ。選択肢が広がるからな」


「うーん、分かったよう……。でも、誰に相談しようかな」


 風斗に言われて、満は本気で考え始めたようだった。

 そんな満の姿を目の前にして、風斗はちらりと香織の方へと視線を向けている。


「えっ、私?」


 風斗につられるようにして満も視線を向けると、香織はものすごく驚いた顔をしている。


「お前ら同じクラスだろうが。それなら、その方がいろいろと都合がいいだろうに」


 風斗は香織に話を持ち掛けているが、いざとなると香織はかなり慌ててしまっているようだった。


「わ、私には無理だよ。お菓子作り以外の教え方なんて、ド素人なんだから!」


 なんということだろうか。香織は勉強を教えることを拒んだようである。

 これには、さすがに風斗もびっくりのようだった。


(おい、満との距離を詰めさせようとしてるのに、なんでそこで怖気づくんだよ)


(無理なものは無理だもん。しょうがないじゃないのよ!)


 風斗と香織はこそこそと話している。その様子を、満はどうしたんだろうという顔で見つめている。


「ごめんなさい、満くん。私じゃ教えられない」


「そっかぁ。それじゃ、ルナさんでも頼ろうかな」


「おいおい、ルナさんって吸血鬼だろ。大丈夫なのか?」


「大丈夫だと思うよ。ルナさん、僕としばらく一緒にいたんだし。ダメならダメで、ルナさんに相談をしてみるよ」


 香織がやっぱり無理というものだから、満は別の相談先を考え付いたようだった。

 なにせルナ・フォルモントは満と一時期体を共有していたのだ。ならば、現代のことにもそこそこ詳しいのではないかと考えたようなのだ。

 満がやる気を見せている関係もあって、風斗も香織も、これ以上声をかけられないようである。

 結果、二人はそろって大きなため息をつくことになってしまった。


 はてさて、満は勉強が苦手という現状を変えられるのだろうか。

 大きな問題を抱えたまま、三人はそれぞれの家へと帰っていったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ