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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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440/445

第440話 ミニライブを終えて

 ライブを終えて、満たちが控室へと戻ってきた時だった。

 控室の外で環が控えており、イリスに声をかけてきた。


「お疲れです、イリス」


「ええ、終わったわよ、環。でも、どうしたのよ。外で待っているだなんて」


 いつもと違う環の対応を見て、イリスが疑問を投げかけていた。


「実は、イリスと満くんにお客が来ていましてね。控室の中で待ってもらっているのですよ。さあ、参りましょう」


「お客様?」


 満とイリスが首を捻るが、環が控室に向かって歩き出したので、二人は考える間もなく後を追うことになってしまった。


「よっ、お二人さん。お疲れ様だね、にししし」


「お邪魔しておるぞ」


「小麦さん、ルナさん?!」


 控室の扉を開けて中をのぞくと、小麦とルナ・フォルモントの姿があった。予想外の来客の姿に、満は驚いているし、イリスは表情を歪ませていた。


「いやぁ、いいライブだったね。それにしても満くん、アイドル路線でもやってくつもりなのかい?」


「あ、いえ、その……」


 小麦にストレートな質問を食らって、満はなんともいえずにたじたじになっている。

 ただでさえ予想外な二人がいて混乱しているというのに、この状態では簡単な質問にも答えられなくなる満なのである。

 満の思わぬあたふたとした姿に、小麦は意地悪そうに笑っている。


「まったく、何をからかっておるのだ、小麦。それよりも、ここには挨拶に来たのだろうが」


「あっ、そうだったね」


 ルナ・フォルモントからたしなめられて、小麦は舌を出しながら自分の頭をこつんと叩いていた。

 これが今年二十歳になる人物の姿なのだろうか。イリスは先輩として困った顔をしてしまっていた。


「これから私は東京に戻るんだよ。明日から大学が始まるからね」


「ちなみにだが、妾は満を迎えに来ただけだ。ここまでは小麦の運転でやって来たが、まだまだ危なっかしい感じだったな」


「それは言わないで。これから長距離の移動なのに、不安になってくるじゃないの」


 ルナ・フォルモントに正直にばらされて、小麦はルナ・フォルモントをぽかぽかと叩いていた。

 グラッサによって封印された存在とグラッサの娘という、本来敵対関係にある二人だが、満という共通項があるためかとても仲良しである。


「ルナさんはこっちに残るんですか」


「うむ。グラッサのダーリンの手伝いをせねばならぬからな。心配だが、こればかりは無事を祈るしかないというものだ」


「むぅ……」


 どうやらルナ・フォルモントは小麦のことをかなり心配しているようだ。当の小麦は信じてほしいと言わんばかりに不機嫌そうな表情をしている。

 その小麦の顔を見ていたルナ・フォルモントだが、改めて満の方へと顔を向ける。


「あばたぁ配信者とやらをやっている姿を知っているということもあってな、満はもしかしたらアイドル路線というのは合っているかも知れんとは思う。まあ、満にその気がないのであれば、妾は無理には勧めぬがの」


「うーん、僕ってそんなにアイドルに向いていますかね」


 ルナ・フォルモントに言われても、いまいちよく分からない満である。腕を組んで首を捻り始めた。


「イリスと何度か共演したところを拝見しました、私もそのようには考えております。社長には報告はあげておりませんが、満くんにその気があるのであれば、私としては推薦をしておきたいと思いますね」


「そっかなぁ……。僕は絶対向いてないと思うんだけどなぁ……」


 環に言われても、満は納得しないようである。

 その様子を見ていた周囲は、これ以上言っても無駄かと思ったくらいだった。


「私ももったいないとは思うけど、満くんがそう思わないのなら、この話は終わりね」


「そうだな。こればかりは本人の意思が一番だ」


「ですね」


「うんー?」


 三人そろってため息をついているので、満はなんともいえない表情をしてしまう。これには小麦も苦笑いだった。


「それじゃ、このあとそれぞれ別行動になるんだし、お昼くらいは一緒にしましょうか」


「それは賛成。舞お姉ちゃんと食事なんて、滅多にできないもんね」


「僕も行きます」


「よし、決まりね」


「妾も普通に食事をするかの」


 反対はいなかったので、満たちは近くのファミレスに移動してお昼を食べることになった。

 これでまた再びしばらく顔を合わせないことになるので、それは実に楽しそうに食事をしていた。

 ちなみに、食事の会計は環が支払っていた。


 食事を終えて駐車場に出てくると、簡単に挨拶を交わす。


「それじゃね、舞お姉ちゃん、満くん、ルナ・フォルモント。満くんはまた一緒に配信しようね」


「はい、小麦さん」


「それじゃ、バイビー」


 最初に小麦が笑顔で車に乗り込み、駐車場から出ていった。


「満くん。ぜひともアイドルのことは前向きに検討してもらいたい。私が責任を持って面倒を見よう」


「うーん、今はいいです」


「そうか……」


「満くんの意志は固いわね。諦めましょう、環」


「はい」


 最後の最後まで満をアイドルに誘った環だったが、結局鋼の意思に跳ね返されてしまった。


「私はしばらくはこっちにいるから、困った時には連絡ちょうだいね」


「はい、ありがとうございます」


「ええ、調べ物だけなら、こちらでもできますからね」


「うん。解決策は絶対に見つけるから」


「はい、お願いしますね」


 現状、満が置かれている問題を解決するための努力をする約束をして、イリスと環も駐車場から去っていった。


「では、妾たちは歩いて戻ることにしようか」


「はい、帰りましょう、ルナさん」


 残った二人は、街の様子を眺めながら家へと帰っていったのだった。

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