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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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422/446

第422話 振り回される満

 風斗や香織とは別に一人で家に帰った満。


「ただいま~」


 いつものように帰って挨拶をすると、母親がすっ飛んできた。


「満、声、どうしたの?」


「うん、お母さん?」


 玄関に飛び出してきた母親に、満はびっくりしている。


「満、声がやっぱりしゃげれているわ。医者に行きましょう」


「えっ、でも……」


「でもじゃないわ。病気だったらどうするのよ。さあ、行くわよ!」


「ちょ、ちょっと?!」


 十五歳にもなりながら、満は母親には逆らえずに、そのまま耳鼻咽喉科に連れていかれてしまった。


 順番が回ってきて診察を受けた満。そこには母親が同席している。


「先生、満の声はどういうことなのでしょうか」


 母親がものすごく真剣に医師に迫っている。

 そのせいで医師も難しい顔をしており、間に座っている満はとても不安そうにその状況を見守っている。


「お母さん、息子さんの症状ですが……」


「症状は……?」


 医師が真剣な表情で切り出すと、母親はごくりと息をのんで医師に確認を求めている。

 しばらく黙り込んだ医師は、いよいよ診察結果を話し始める。


「声変わりですね。特に心配のいる症状ではありませんよ。数日もすれば落ち着いてきます。いやぁ、これだけ出てきているということは、おそらく年末には始まっていたでしょうね。過渡期ですから不安定になっているだけですよ」


「そうですか……。声はどうなるのでしょうか」


「今までのような声は出せないでしょうね。稀に変わらない方もいらっしゃいますが、本当に稀ですから、少しばかり低くなると思って下さい」


「……分かりました」


 診察を終えて、母親は落ち込んでいるようだった。

 その様子を見ていた満は、しばらくの間、声をかけられなかったようだ。


 ひとまず、医者から無事に家に帰ってきた満は、部屋に戻って服を着替える。いつまでも制服を着ているわけにはいかないからだ。

 着替え終わると一階に降りてくる。


「お、お母さん?」


 居間に姿を見せると、そこには本気で落ち込んでいる母親の姿があった。


「ちょっと、お母さん。ガチへこみじゃないの、どうしたんだよ」


「……満。声が低くなってしまったら、どうするつもりかしら」


「え?」


 満に声をかけられて、母親はちらりと視線を向けながら満に問いかける。

 母親がこのように心配するのも当然だろう。満が操っているアバター配信者のことを気にかけているのだ。

 満は少女型アバターである光月ルナを操っている。今までのような声が出せないとなると、活動に支障が出てしまうのは間違いがないことだ。

 母親は、それを案じているのである。


「アバター配信者として使っているのは女の子なのよ? 声が低くなっても続けられるのかしら」


「お、お母さん、それは……」


 母親に迫られた時、満の体に変化が起きる。


「うっ……」


 急に苦しそうにしながら、うずくまってしまった。


「満、大丈夫なの?」


「苦しいけど……平気。これ、なんか覚え、があ、る……」


 苦しそうにしながらも、満は母親を安心させようとしている。だが、そんな状態の子どもを見て平気な親などいるものか。


「きゅ、救急車を……!」


 母親が電話をかけようとして走り出す。

 その瞬間だった。


 ボフン!


 変な音がして、満の体に変化が起きていた。


「み、満……?」


「ふわっ……。この感じ、まさか……」


 満は自分の視界に銀色の髪が見えて、何かに気が付いてしまったようだ。


 むにっ。


「わーっ! お、女になってるぅっ!」


 そう、満の体は女の状態になっていた。

 銀髪に巨乳とくれば、満もよく覚えのある状態である。


「あらあら、ルナちゃんになっちゃったのね」


「ううう……。まさか、意識のある状態で変化しちゃうなんて……。僕って本当に怪異になっちゃったの?」


 満はショックを隠し切れないようだった。

 ルナ・フォルモントと分離して、小麦との関係にも一段落ついて、すっかり男に戻れたと思っていたというのに、ここにきてまさかの変身である。


「アバター配信者に、それだけ未練があるってことでしょうね。でも、お母さんは嬉しいわ。またこの姿に会えたんだもの」


「もう、お母さん! 他人事だと思ってひどいよ!」


 女の状態の満を見て喜ぶ母親に、満は不満そうに抗議をしている。ところが、久々に見た女の満の姿に、母親はとても満足そうである。


「でも、よかったじゃないの、満」


「なにがだよ!」


「だって、この姿なら今まで通りの声なんだし、配信は問題なく行えるでしょ?」


「そ、それはそうだけど……。なんか違うんだよなぁ……、ううう……」


 母親の言い分に言いくるめられそうになる満であるが、なんとももやもやした気持ちになっている。


「というか、変身のたびにこんなに苦しいんだったら、僕の体がもたないからね? やっぱやだよ、こんなの!」


「諦めなさい、満。あなたは私たちの息子であり娘なのよ」


「もう、お母さん!」


 そんなわけで、満は再び変身してしまった。正月からせっかく男の子として安定していたというのに、こんなことで変身体質に戻ってしまった。

 無事にアバター配信者を続けられると安心する一方、男としてのプライドがズタズタになってしまって気がして仕方がない。

 満はこれからも、変身体質に悩まされそうである。

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