第414話 大爆笑
「それじゃ、早速始めていこうか」
「最初のゲームですが、こちらです」
華樹ミミと蒼龍タクミの司会で、いよいよゲーム大会の本編が始まる。
最初に画面に表示されたのは『福笑い』だった。
「おっと、正月定番の遊びのひとつですね」
「いや、これを今わかるやついるのか?」
『タクミ様、実にしんらつwww』
『知らん子もおるよな、確かに』
司会二人の発言に、リスナーたちが反応をしている。
遊べるゲームが増えた昨今、こんなアナログなゲームを知っている人は減っている可能性は十分高かった。
「ごもっともな意見ですね。では、福笑いについて説明しますね」
華樹ミミが説明モードに入る中、端っこにちょっと映っているブイキャスメンバーが目隠しをしている。
察する人は、その映像が見えただけで察したようだ。
「こういう顔面パーツを目隠しで並べるというだけのシンプルな遊びだ。って、なんで俺たちなんだよ!」
説明をする蒼龍タクミだったが、福笑いで使う顔のサンプルが、よりにもよって華樹ミミと蒼龍タクミだったからだ。
「これは……あとでブイキャスのスタッフの方々を問い詰めなければなりませんね」
「本当だぜ……。ブイキャスの顔である俺たちをネタに笑いを取ろうとか、お笑い芸人か何かと勘違いしてないか?」
華樹ミミも蒼龍タクミも、それはとてもひどい評価を下していた。
だが、今さら新しい顔パーツが用意できるわけでもないので、文句をいいながらも二人は仕方なく受け入れていた。
「みなさんの用意もできたようですね。さて、制限時間内に見事に私たちの顔を完成させることができるのでしょうかね。それでは福笑い、スタートです」
華樹ミミが宣言すると同時に、琴と尺八によるお正月な音楽が流れ始める。
なんとも正月らしい雰囲気が漂ってはいるが、ブイキャスの五人はとても真剣だった。
それもそうだ。一期生であるのは夜風パピヨンだけで、他は先輩や同期だ。そんな人たちの顔をめちゃくちゃに仕上げることはできない。
ところが、リアルにも目隠しをしてマウスを操作しているために、どこに何がどういう感じで置かれているのかまったく把握できない。そもそもちゃんとドラグできているかも分からないので、五人はただただ無言でカチカチと操作を繰り返していた。
五分という制限時間が経過して、ホイッスルが響き渡る。それによって、五人は操作をやめる。最初のゲームだというのに、すでに消耗していてぐったりしているようだった。
「さあ、みなさんの福笑いの結果を見てみましょう」
「さて、誰から見てみたいかな?」
『ここで先陣を切るのは腐乱ケンでしょ』
『禿同』
「ちょっと待ってほしい。なんで俺が最初になるのかな?」
リスナーたちのコメントを見て、腐乱ケンが慌てている。なぜなら、自分のいじった結果が目の前にあるからだ。
「諦めろ、ケン」
「それじゃ、みなさんのご希望に沿って、腐乱ケンの結果からお見せしましょう!」
「やめてくれ!」
腐乱ケンが懇願するものの、無慈悲に福笑いの結果が表示される。
その瞬間、リスナーのコメント欄は『w』が生えまくった大草原と化した。
『こwwれwwはwwひwwどwwいww』
『腐乱ケンよりもクリーチャーで笑えるwwwww』
もはや人の顔とは思えない配置になっており、リスナーには大ウケをしているようである。
「まったく、俺の顔はこんなにひどいのか?」
「目隠しでマウス操作だから、思わぬ結果を招いたみたいね。私でも笑っちゃうわ」
さすがは司会の二人。この状況でも笑わずに話をしている。
「でも、これを超えるのがいるわよ。ぴょこらちゃん、いいかしら」
「うぎぎぎ……。見せるなら見せるといいにゃ!」
華樹ミミから振られたぴょこらは、半ばやけくそに答えていた。
反応からも分かる通り、ぴょこらの福笑いはもっとひどいものだった。
画面に表示された瞬間、さすがの蒼龍タクミですら大笑いである。
「ぶわっはっはっはっ! これはすさまじいな」
『もはや画伯の域www』
『どうしたらこうなるん?』
ぴょこらの福笑いはというと、パーツの並びは合っていたのだ。ただ、上下逆さまということを除けば……。
てんでめちゃくちゃの腐乱ケンはまあいい。合っている上に顔の中に納まっているというのに、上下逆さまというだけで十分笑いの種になっていた。
「俺のより全然マシじゃないか」
「いや、ケン。お前のはもうめちゃくちゃだからいいんだよ。ぴょこらのはちゃんとできてるのに、向きが間違っているんだ。どうすればこうなるんだという典型だろ?」
「うぐ……。なんか負けた気がするぞ」
「実際負けだな。リスナーの反応が違う」
「ぐぬぬぬ……」
蒼龍タクミにはっきり言われて、腐乱ケンはとても悔しそうだった。
十分笑いが取れた中で、残りの三人の福笑いも順番に表示されていく。結果として、誰一人として成功できなかったのだが、十分つかみは取れたと思われる。
「よし、初笑いも成功したことだし、次のゲームに移ろうか」
「はい、そうですね。それでは、みなさん、準備はいいですか?」
福笑いが終わり、ブイキャスの新年ゲーム大会は次のゲームへと移る。
ぴょこらは最初の不名誉を返上しようと気合いを入れたようだった。
そうした中、華樹ミミと蒼龍タクミによって、次のゲームが発表されるのであった。




