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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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408/446

第408話 迫られる満

「ただいま」


「あら、満、お帰りなさい」


 満は家に戻ってきた。


「おばさん、お邪魔します」


「お邪魔しますね」


「あら、風斗くんと香織ちゃんも来たのね。飲み物出すからちょっと待ってて」


「お構いなく。私たちは満くんの部屋にお邪魔させてもらいますね」


 母親がバタバタと動く中、香織はそのように伝えて、風斗と一緒に満の部屋へと向かっていった。


 満の部屋の中に入ると、床に置いてあるテーブルを囲んで三人で座る。

 ところが、最初のうちはまったくもって誰も喋ろうとしなかった。なんともいえない重い空気が漂っているのである。

 満は下を向いた黙り込んでいて、風斗も香織もどう声をかけていいのか分からないようだった。


「お待たせ。ジュースとお菓子を持ってきたから、ごゆっくりどうぞ」


「あ、すみません」


 母親がテーブルに持ってきたものを置いていくと、さっさと出ていく。

 再び三人だけとなった部屋の中は、相変わらずどこか気まずい空気のままである。

 空気についに耐えきれなくなったのか、風斗が満に話しかける。


「なあ、満」


 話しかけても満は反応しない。黙り込んで下を向いたままである。

 呼び掛けたのに反応がないことに、風斗は大きなため息をついている。


「まったく、満はどうしたんだよ。悩みがあるなら相談してくれよな。親友だろ?」


 風斗は困り顔で、改めて満に声をかけている。


「そうだよ、満くん。ちゃんと話してくれなきゃ、私たちだって分からないんだよ?」


 同じように香織も満を心配して声をかける。

 しばらくして、ようやく満が顔を上げて話し始めた。


「ねえ、僕ってどうしたらいいと思う?」


 ようやく口を開いたかと思えば、満から出てきた言葉は相談の言葉だった。

 これにはびっくりした顔をして、お互いを見てしまう風斗と香織。そこで、満に改めて事情を聞いてみることにした。


「なるほどなぁ……」


「小麦さん、思い切ったわね」


 話を聞いた風斗と香織は、事情が分かって納得がいったようである。


「なんだ、花宮。ライバルだとか思わないのか?」


「ちょ、ちょっと、村雲くん?!」


 風斗に言われて、香織はとても慌てている。

 なぜなら、香織が満に思いを寄せていることはまだ秘密だったからだ。もっとも、幼馴染みである風斗は見抜いていたが……。


「えっ、香織ちゃん。それってどういうこと……?」


 満は思わず反応してしまう。

 きょとんとした顔で迫られてしまうと香織はどうしたものかと困ってしまう。


「あー、えーっと……、もう!」


 悩みに悩んだ挙句、香織はなにやら決心をしたようだ。だが、その時に風斗の顔をじっと睨んだようである。

 そうかと思えば、大きなため息をついて満の方へとしっかりと顔を向けていた。


「この際だからはっきり言わせてもらうわ。小麦さんには負けてられないもの」


 拳を握って、香織は改めて気合いを入れている。年上とはいえど、同じ女性である小麦に負けたくないという気持ちの表れのようである。


「私だって、満くんのことが好きだよ。それこそ、小麦さんよりずっと前から」


「え、ええっ?!」


 小麦の行動に触発されてか、香織も満に思い切って告白をしている。

 風斗は知っていたので、まったくもって驚かない。満の反応も予想通りなので、そちらにも驚かない。実にいつも通りの雰囲気で座っている。


「本当に、満ってばそういうことには鈍いんだな。結構花宮の態度って、わかりやすいと思ったんだけどな」


「風斗、知ってたの?」


「当然だろう」


 風斗からさらっとした答えが返ってきて、満は口をパクパクとさせている。


「まあ、小麦さんの言うことも分かるな。満って結構流されやすいからな。これからも男と女が安定しない可能性は十分に高い」


「ぐうぅ……」


「というわけだ、満。ここで気持ちをはっきりさせておく方がいいぞ」


「そうだよ、満くん」


 満が困っていると、風斗と香織の二人から迫られてしまう。

 はたしていどうすればいいのか、満は悩みに悩んでしまう。


「……ごめん、今はまだ結論が出せないや。あまりに急なことで、頭の整理が追いつかないから……」


 悩みに悩んだ満は、風斗と香織にこのように答えていた。

 このようなわずかな時間では、さすがに簡単に答えは出なかったようである。

 なんともすっきりしない状態ではあるが、満が真剣な様子なので、風斗も香織も今はそっとしておくことにしたようだ。

 風斗と香織が帰った後も、満はずっと悩み続けていた。はたして、自分はどうするべきなのか。

 ただそれは、悩むには時間があまりにもなさすぎた。なにせ、翌日には小麦が大学の授業に向けて、街を去ってしまうからだ。

 すぐに春休みが来るとはいえ、小麦は免許取得のために活動すると言っていたので、次に会えるのはいつか分からない。

 満は、その日の夜は悩みに悩んで、悩み抜いていた。


 翌朝、目を覚ました満は、布団から抜け出すと、早速パソコンに向かっていた。


「今日を逃したら、次はいつ話できるか分からないもんね。とにかく、小麦さんを見送りに行かなくちゃ……」


 カタカタとメッセージを打ち込み、満は送信のボタンをクリックする。

 はっきりいって、今日帰るのであるならば読まれる可能性は低い。だが、このままでいるわけにはいかないので、わずかな望みにかけたようである。


 その時は、間違いなく近づいていた。

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