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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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403/444

第403話 ヴァーチャル餅つき

 元日の夜、満はパソコンの前に立っていた。


「今日の配信の準備もよしっと。約束だし、始めないとね」


 両親が新年特番を見ている最中、満はPASSTREAMERのページを開いている。配信画面には、光月ルナの姿がばっちり映っている。

 そう、元日からして配信を行うことにしたのだ。


(新年一発目だから、結構緊張するなぁ……。落ち着け、僕!)


 なぜか男に戻れないままなので、大きく膨らんだ胸に手を当てながら、ゆっくりと深呼吸をして気持ちを整える。


(よしっ!)


 覚悟が決まったのか、満はいよいよ配信のボタンをクリックする。


「こほん。あけましておめでとうございますわ、光月ルナでございます。リスナー様方、今年もよろしくお願い致します」


『あけおめ~』


『あけおめっ!』


 心配されたリスナーたちではあるが、正月特番がある中でも同接二万をいきなりたたき出していた。

 とはいえ、今の光月ルナのチャンネル登録者数からすると、一割にも満たない数字である。やはり、正月ではテレビに対して分が悪かったようである。


『相変わらず、ルナちの部屋は季節感があるな』


「ええ、モデラー様が頑張って下さっていらっしゃいますので、いつでも季節感にあふれた演出ができます」


『いやぁ、それほどでも ¥10,000』


『出wたwよw』


『パパさん、いつでもおるなぁ』


『しかもスパチャwwwww』


 新年一発目から、世貴は相変わらずのようである。


「えっと、本日は告知した通り、コラボ企画となっております。お相手をお呼びしましょう」


『わくわく・・・』


『誰なんやろなぁ(棒)』


 反応を見る限り、一部のリスナーたちは察しがついているようだった。

 それにしても不思議なもので、ルナ・フォルモントと分離したというのに、満はものすごいスピードで流れていくコメントをしっかりと追うことができている。どうやら、ルナ・フォルモントが長く内在していたので、満にもその能力の一部が身に付いてしまったようだ。

 嬉しいような悲しいような、なんともいえない気持ちになる満である。


「それでは、コラボの方、お入り下さいませ」


 満が相手を呼ぶと、なんとも元気のいい声が聞こえてくる。


「みんな、あけおめ~っ! レニちゃんだぞ☆」


『あけおめれに~』


『知 っ て た』


『あの軍師でも余裕』


 どうやらリスナーたちは、真家レニが出てくることが予想できたようだった。

 それもそうだろう。光月ルナのフォロワーは、そのほとんどが真家レニと共通なのだ。なので、二人が同時に配信のお知らせを出せば、すぐにコラボが頭をよぎるというわけである。

 これまでも徹底的に配信日をずらしてきたのだから、二人のファンなら誰だってすぐ分かるというものだった。


「いやぁ、年の初めからルナちと配信できるとは思ってなかったなぁ」


「ふふっ、それは僕もですわよ、真家レニ様」


『はう、てえてえ・・・』


『相変わらず、この絵面は尊い・・・』


 リスナーたちは相変わらず、二人にすっかり陶酔しているようである。


「それでは、お正月ということですので、早速庭園へと出てみましょうか」


「それはいいねぇ。ルナちのお屋敷、いろんなものがあって楽しいからね☆」


 相変わらず、普段の小麦を思うとあんまりイメージできない真家レニの姿である。

 白い歯を見せながら笑う真家レニの姿に、ちょっと赤くなる光月ルナである。


 庭園まで移動すると、そこにはなんと杵と臼が用意されていた。きちんとその辺り一帯だけ雪もない状態だ。


「はい、お正月といえばやっぱり餅つきです。この状態をセッティングするのに、思ったより時間がかかってしまいました」


『相変わらずの変態技術やな』


『ルナちとレニちゃんの餅つきが見られるのか ¥2,000』


『これは期待 ¥2,000』


『リアルで二人がついた餅が食べたい!』


 餅つきの状態を見ただけで、リスナーたちはこの興奮具合である。相変わらず熱心なリスナーたちだ。

 この反応に、二人揃って笑ってしまう始末である。


「ルナち、レニちゃんが混ぜる方をするよ」


「分かりました。では、僕がつきますね」


 二人で役目を分けて、いざ餅つきスタートである。

 最初に厨房から持ってきていたもち米を臼に入れて、杵で軽く潰していく。


「そーれ、ぺったん!」


「はい!」


「ぺったん!」


「はいっ!」


 リズミカルに二人が餅をついていく。


『さすが二人は息がぴったりやなぁ』


『あかん、ワイも餅つきしたくなってきた』


『今実家だから、やろうと思えばできるぜ』


『だが、餅を食う時は気をつけろよ』


 餅つきの様子を見ながら、リスナーたちも盛り上がっている。

 五分程度の間、ただ餅をついているだけだというのに、配信から去るリスナーはいなかった。むしろ増えている。

 これには満も小麦も、なんでだろうなと首を傾げていたという。

 しっかりとつき終わったお餅は、きなこをまぶしたり、あんこを入れたり、ぜんざいにしたりと吸血鬼の屋敷なのにすっかり和風に染まってしまっていた。

 ここでも定番で、満は画面に向かって餅を近付けて、リスナーたちに食べさせようとしていた。

 これにやられたリスナーもたくさんいたとかどうとか……。


「それでは、本日の配信はここら辺で終わりにしようと思います」


「今年もみんな、レニちゃんたちをよろしくなのだ~、にししし」


 こうして、光月ルナと真家レニによる元日配信は終了したのだった。

 ちなみにこの日の配信のスパチャは、お年玉ということなのか、いつもより多かったそうな。

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