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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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第399話 二日遅れの……

 クリスマスから二日経った二十七日のこと、満の家に訪問客があった。


「やっほー、ルナち。レニちゃんだぞ☆」


 忙しそうな母親に代わって応対に出た満は、玄関で固まっていた。

 目の前にいるのは確かに小麦なのだが、二日前同様レニちゃんを名乗られて、どう反応していいのか困っている。


「ちょっと、満くん。なんで固まってるのよ、ねえ」


 満の反応を予想できていなかったのか、小麦はずいぶんと焦っているようだった。

 小麦に両肩をつかまれて、満は前後に揺さぶられている。


「あら、小麦ちゃん。お久しぶりね。今年は実家で過ごすのかしら」


「あっ、満くんのお母さん。お久しぶりです。はい、今年はパパとママと一緒に年越しですよ。二年連続でできるなんて、嬉しくてたまらないですよ、にしししし」


 母親が出てきて声をかけてきたので、小麦ははにかんで答えている。


「はっ!」


 そのやり取りが聞こえていたのか、満がようやく我に返っていた。


「満、何をぼーっとしているの。ほら、迎え入れなきゃダメよ」


「あ、そうだね。小麦さん、上がって下さい」


「うん、お邪魔するね」


 小麦は履いていたブーツを脱いで、空月家へと上がっていた。

 居間で話をすると思っていたら、小麦は部屋に案内するように満に迫ってくる。押しには弱い満なので、小麦に言われるがままに部屋に上げてしまっていた。


「満くんの部屋は片付いているね」


「う、うん。やっぱりきれいにしておかないと落ち着かないからね。たまに散らかってるけど」


「そっかそっか。満くんらしいなぁ」


 部屋に入った小麦はにこやかに笑っている。


「あっ、女の子の服もまだそのままなんだね」


「うん、そのままにしてあるよ。元の普通の男の子に戻った保証もないしね」


「そっかぁ。ルナ・フォルモントが分離したとはいっても、まだ油断できないもんね。二年以上も一緒の体でいたから、どんな影響が出てるか分からないもんね」


「今のところは、女の子になる様子はないから、一応元に戻ったって感じかな」


「ふむふむ……」


 満とのやり取りをしていて、小麦はどこか複雑そうな表情を浮かべていた。満は鈍いので、小麦のちょっとした変化には気付いていないようである。


「それにしても、小麦さん」


「なあに、満くん」


「ルナさんと一緒に来たんじゃないんですね」


 ふと切り出した話題に、小麦はちょっとだけ不満そうな顔を浮かべている。自分だけじゃ足りないのかといった感じである。


「ママが捕まえてたからね。なによ、満くん。私と一対一で会うのが嬉しくないの?」


「いや、そういうわけじゃないけど……」


 腰に手を当てながら前かがみになって、小麦は満に説教をしている。さすがに来年は二十歳という小麦の魅力に、満はたじたじになっていた。


「あははははっ、私ってそんなに魅力的かなぁ」


「もう、小麦さん、からかわないで下さいよ。小麦さんはそもそも魅力的ですってば!」


「ほへ?」


 満の口から飛び出してきた言葉に、小麦は思わず固まってしまう。目を少しずつ逸らしながら、頬を赤く染めていっている。


「も、もう……。満くんってば急にそういうことを恥ずかしげもなく言うんだから」


 頬に両手を当てて、小麦は恥ずかしそうに満から顔を逸らしている。相当不意打ちだったようだ。

 この言葉を恥ずかしげもなく言い放つ満が強すぎるというものである。


「あっ、そうだ、小麦さん」


「え、えと、なにかな……、満くん」


 急に何かを思い出した満の言葉に、小麦は戸惑いながら反応している。その一方で、何かを期待しているような目を向けている。


「小麦さんの性格なら今日来ると信じてましたので、作っておいたものがあるんですよ」


「なになに、すっごく気になるな」


 つい食いついてしまう小麦である。

 そうかと思うと、ちょっと待っていてほしいと言って、満は部屋から出ていってしまう。一体どうしたのだろうかと、小麦は部屋で待たされてしまう。

 しばらくして戻ってきた満の手には、ちょっと小さいけれどケーキの乗った皿があった。


「小麦さんにも食べてもらいたくて、これを用意していましたよ」


「わわっ、私のために? う、嬉しいなぁ……」


 後ろ手になって、肩をすくめながら恥ずかしがる小麦である。なんというか、恋する乙女というか、普段の小麦からするとなかなか想像のつかない姿である。

 小麦の目の前に運ばれてきたのは、満が作ったクリスマスケーキである。デコレーションまで手作りという本格派だった。

 満の母親が気を利かせて、砂糖の入っていない紅茶を用意してくれたので、それと一緒にケーキを食べることにする。


「う~ん、おいしいなぁ」


「よかった。小麦さんの口にも合ったみたいで、僕は嬉しいですね」


 紅茶を飲みながら、満はすごく嬉しそうに微笑んでいる。


「やだっ、その笑顔は反則だよ、満くん」


「えっ、そんなにおかしかったですかね」


 小麦から意外なことを言われて、満は慌てたようにあたふたとしている。予想もしていなかった反応のようだ。


「いや、そうじゃなくて……。ああ、もう!」


 なにやらうまく伝わっていないようで、小麦はどうも落ち着かないらしい。

 何を思ったのか、急に満の手をつかんで顔を近付けていた。


「えっ、小麦さ……」


 次の瞬間、小麦は満と唇を重ねていたのだった。

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