表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

397/450

第397話 現実を見る

 満は、目を覚ます。

 いつもの自分の部屋だ。


「ルナさん……」


 体を起こして、満はぽつりとつぶやいている。

 不思議と何かを失った感覚があるからだ。

 どうやら、本当にルナ・フォルモントは満の体から出ていったようだ。


(今日は、小麦さんの実家にでも顔を出そうかな)


 ルナ・フォルモントが言い残していった当面の生活の場所、芝山家を訪問することに決めたようだ。


「あ……」


 満は自分の体を見る。女性用のパジャマを着ていることに気がついて、慌てて服を着替える満なのである。


 朝食を済ませた満は、両親に伝えて芝山家へと向かうことにする。もちろん、ちょっと時間を置いてからだ。

 小麦の連絡先は知っているが、それ以外の連絡先を知らない満は、家まで直接向かうことにした。

 そうしてやってきた芝山家。

 時間は朝の九時過ぎなので、そう迷惑でもない時間だった。


(うん、大丈夫だよね)


 満は拳を握って気合いを入れると、芝山家のインターホンを鳴らす。


『どちら様かしら。って満くんじゃないの。今出るから、待っててちょうだい』


 挨拶をしようとする前に、出迎えられることになった。応対に出たのはグラッサだったのだが、なんとも判断が早かった。

 しばらくして玄関が開く。


「いらっしゃい。来るとは思っていたけど、早かったわね」


「あ、はい。おはようございます」


「ええ、おはよう。とりあえず上がってちょうだい」


「はい、お邪魔します」


 淡々としたやり取りを終えて、満は芝山家に入っていく。


 家の中に入ると、満の目の前には見たことのある人物が立っていた。


「ルナさん」


「やあ、満。現実世界でこうやって会うのは、実に初めてだな。妾はこの時をどれだけ待ちわびていたか分からぬぞ」


 満が名前を呼ぶと、ルナ・フォルモントは満足そうに笑っていた。ただ、その隣に立つグラッサは、かなり不満そうな表情をしていた。


「正直、怪異のボスといっていいあなたを放っておくのは、よろしくないのだけれどね」


「なにを言うか。妾とて深く反省はしておる。だからこそ、反省の意を込めて、ここにやって来たのではないか」


 グラッサの文句に対して、ルナ・フォルモントはしっかりと言い返している。


「妾は恩を仇で返すような、そこらの怪異とは違うぞ。二年少々、そこな少年の中におったのだからな。妾とて学んでおるわ」


「さあ、どうかしらね。私とダーリンとのクリスマスを邪魔するように現れたあなたを、どこまで信用しろというのかしら?」


「ぐぬぬぬぬ……」


 ルナ・フォルモントは、グラッサの言い分にぐうの音も出ないくらい言い負かされていた。

 だが、なんだろうか。このやり取りを見て、満はなんとなく安心したような気持ちになっていた。


「二人とも、それくらいにしておこうか。満くんが困っているみたいだからな」


「ええ、そうね。ルナ・フォルモント、ここは一度休戦と行こうじゃないの」


「妾はもとより争う気はないぞ」


 夫に説得されても、グラッサの態度は変わりそうになかった。これには鈍い満も苦笑いである。


 仕事のあるグラッサの夫は部屋へと戻り、満はグラッサとルナ・フォルモントの二人と一緒に居間に移動する。

 日当たりのいい場所にあるソファーに座り、三人は雑談を始めている。


「そういえば、ルナさん」


「なにかな、満」


「いえ、そんな日当たりのいい場所にいていいんですかね」


「ああ、そのことなら気にするな。満との共同生活の影響もあって、妾はより一層太陽が平気になった。ああ、体型じゃが元の通りに戻させてもらったぞ。あの体型は、妾には似合わぬからな」


「あっ……」


 ルナ・フォルモントの話を聞いていた満は、その体の変化にようやく気が付いた。

 かなり巨乳と化していた満とは違い、これでもかというくらい真っすぐな胸になっていたのだ。満が初めて女になった時の体型くらい、実に慎ましやかなものだった。


「さて、いろいろと積もる話もあるだろうから、今日は一日話でもすることとしようではないか」


「あなたが仕切らないでくれませんかね。居候の身で偉そうにするんじゃないですよ」


「ふふふっ、確かにその通りだな。妾も何かしら、今の世の中に適応したことをせねばならん。そういうことも含めて、お前たちと話をしようというわけではないか」


 夢でも見たことある通り、ルナ・フォルモントは長い時を生きる真祖の吸血鬼として、かなり落ち着き払っている。

 頼りがいがあるように見えていたグラッサですら、この通り、まるで子ども扱いである。


「そういえば、グラッサの娘、小麦というたか、あれは戻ってくるのか?」


 唐突に、ルナ・フォルモントはグラッサに小麦のことを尋ねている。


「あれとか言わないで下さい。ドーターは物じゃないんですよ?」


 言い方が気に食わなかったのか、グラッサが怒ったように言い返している。

 さすがにここまで怒ると思ってなかったのか、ルナ・フォルモントは困った顔をしている。


「ああ、それは悪かったな。して、娘は今年は帰省するのか?」


 ルナ・フォルモントは謝った上で、改めて問い直す。


「するとは言っていましたよ。ですが、休みは今日からですから、早くても夜ですよ」


「ふむ……。それではちょっと楽しみが足りんな」


 グラッサと話をするルナ・フォルモントは、何か物足りなさを感じているようだった。

 一体どんな話になるんだろうかと、目の前の二人のやり取りを見ながら、満はちょっとばかり不安になっているようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ