表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

395/453

第395話 三度目のクリスマス配信

 夜九時を迎える。


「メリークリスマスですわ、みなさま。光月ルナでございます」


『メリクリ~』


『メリクリ、ルナち~』


 挨拶の段階から、スパチャ交じりでリスナーたちのコメントが流れていく。

 いよいよ、緊張の三年目のクリスマス配信が始まった。今まではただしゃべったり、屋敷を見せて回ったりとシンプルな配信だったが、今回はちょっと勝手が違う。

 今回は配信中に、クリスマスケーキをこのヴァーチャル空間で作り上げるという企画になっているのだ。ちなみに光月ルナの衣装も、クリスマスの特別バージョンになっている。


「それでは、前置きを省略して、厨房へと移動しますわ」


『ケーキを作るんだっけか』


『wktk』


『チョコレートの前例があるから、期待しかない』


 リスナーたちはとても盛り上がっているようである。

 そうしている間に、光月ルナの背景が、屋敷の厨房に切り替わる。それと同時に、光月ルナの衣装もエプロンを装着している。こういう細かい変化を持たせるのも、世貴のこだわりならではといったところだ。


「それでは、今日の配信は予告通り、クリスマスケーキを作っていきますわよ」


『ルナちの手作り、楽しみ』


『ワイ、夕食抜いて待ってた』


『食べてから来いwwwww』


 リスナーたちのコメントも少々お祭りっぽい盛り上がりを見せている。それにしても食事を抜くのはどうかと思う満である。

 それはそれとして、ボウルと泡だて器、小麦粉に卵、砂糖とバターを取り出して、スポンジ生地作りから入る。

 湯煎で温めながら材料を混ぜ合わせていく手際の良さに、リスナーたちはため息を漏らしながら見入っている。

 型に流し込んで、予熱しておいたオーブンへと放り込むと、その間にトッピングの用意をする。

 ホイップクリームを泡立てたり、フルーツをスライスしたり、リスナーたちも思わずコメントを忘れてしまいそうになる。


『ルナち、パティシエにでもなるん?』


『手際良すぎるんよなぁ・・・』


『料理系アバ信でも、ここまでよどみのない動きはそうそうおらんて』


「リアルでも言われましたわ。でも、僕はアバ信を続けていくつもりですので、よくは考えていないのですわよね」


 満はリスナーたちの反応にそのように返してしまう。ちょうど数時間前にも言われたばかりというのもあるのだろう。反応せざるを得ないのだ。


『リアルの姿を知ってる身からしたら、いろいろ言いたくなるなぁ』


『ルナちの配信でそれは無粋ってもんぞ』


『せやなぁ』


 満の反応を踏まえた上で、リスナーたちはいろいろと話をしているようだ。


「さて、焼き上がりましたわ。デコレーションをして完成ですので、もうしばらくお待ち下さいませ」


『ドキドキ・・・』


『この焼き上がりの瞬間が一番怖いんや』


『生焼けは地獄ぞ』


 リスナーたちがコメントでいう通り、この焼き上がりの瞬間は一番緊張する。

 いくらヴァーチャルとはいえ、徹底的にこだわる世貴のお手製の空間だ。現実と同じような問題が起きる可能性は十分にある。

 間にフルーツを挟み込むために、満はケーキを水平に二つに切り分けていく。


「よかったですわ。きちんと焼けているようですわね」


『きれいな断面!』


『ルナち、やっぱり料理人にならん?』


「……考えておきますわ」


 安堵のため息をついた満は、ケーキをデコレーションしていく。クリームを塗ってフルーツを敷き、さらにクリームを塗って挟み込む。周囲をクリームで塗り固め、搾り機から出したクリームとイチゴでトッピングを完成させる。

 最後にサンタやトナカイ、チョコプレートを乗せて、クリスマスケーキの完成である。


「できましたわ」


『おおっ!』


『売り物にできるレベル!』


 あまりのできばえに、リスナーたちからは驚きの反応がたくさん飛んでくる。もちろんスパチャも。


「これは、ひとえにモデラー様の腕のおかげですわ。リアリティを追求した世界を作って下さったからこそ、このようなケーキを作ることができましたわ」


『いやぁ、単純にルナちの腕がいいからだよ。俺は素材を提供したにすぎん』


『両方あってこそやで ¥12,250』


『まったくだ ¥5,000』


『そう言ってもらえると、技術者冥利に尽きるってもんだな』


 リスナーたちのコメントに、世貴も感激しているようである。

 最後にケーキを切り分けて、満はそのひとピースにフォークを入れる。


「メリークリスマスですわよ。はい、あーん」


『こ、これは・・・!』


『これはいかん、惚れてまう!』


 光月ルナが画面に向けて、ケーキをリスナーに食べさせようとしている。これにはリスナーたちは混乱してしまっているようだ。

 ケーキのグラフィックが画面から消え、光月ルナがフォークを戻すと、あったはずのケーキの塊が消えてしまっている。


『ルナちにケーキを食べさせてもらえた・・・』


『今年のクリスマスは最高だな!』


『ああ、今年は思い残すことはない・・・』


 光月ルナにケーキを食べさせてもらった錯覚に陥ったリスナーたちは、恍惚としたコメントを残している。


「本日はこれで配信終了ですが、みなさん、いかがでしたでしょうか」


『これだけでも満足』


『思い残すことはない』


 まだリスナーたちは夢心地のようである。


「気を抜くのはよろしくありませんわね。今年も残り一週間、無事に年末年始を迎えられますこと、お祈りしておりますわ。それでは、ごきげんよう」


『メリクリ、ルナち』


『おつるな~』


 いつもと違った締めにはなったようだが、光月ルナのクリスマス配信は無事に終了できたようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ