表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

367/410

第367話 気まずいサマーデイ

 翌日、満は再びお祭りの会場に向かうことにする。ただし、今日は参加しなくてもいいということなので、風斗と香織の幼馴染み三人でのお出かけという形だ。


「昨日のステージ見てたぞ、満」


「私も来てたよ。すごいよね、満くん」


「えっ、ええっ?!」


 香織の家で三人になった時、二人から口々にそんなことを言われた満である。なんと、あのステージに風斗も香織もやって来ていたのだ。

 最初の三曲はイリスの真後ろにいたので、ほとんど目立っていなかった。だが、アンコール曲ではイリスの隣に引っ張り出されて思いっきり目立っていた。その姿を幼馴染みの二人にがっつりと見られていたのである。


「うう、恥ずかしいよう……」


 幼馴染みに見られていたということで、顔を真っ赤にして目を逸らしながら恥ずかしがる満である。


「そんなこと言ってもな。クラスメートたちもたくさんいたから、夏休み明けが楽しみで仕方がないぞ」


「えー……」


 思った以上に事態は深刻そうだった。


「お前があそこまで歌って踊れるとは思ってもみなかったな。ただ、配信だとそういうこともできないだろうから、実に惜しい才能だよな」


「うんうん」


 風斗がいえば、香織も何度も頷いている。

 正直言って、この反応は困ったものである。


「ぼ、僕はアイドルにはならないからね。あくまでもアバ信として有名になるのが目標なんだから」


「もう十分満たしているとは思うんだけどな」


 満の言い分を聞いて、風斗は思っていることを口にしている。


「ううん、僕はまだまだだと思っているよ。今はルナさんの力も借りている状態だからね。早くルナさんと分離して、自分の力だけで有名人になってみたいんだよ」


 ゆっくりと自転車で移動しながら、満は自分の夢を語っている。


「うん、満くんならきっとできると思うよ。私、応援しているから」


「そうだぞ、満」


 二人からそう言われると、満は照れくさそうに笑っていた。


 会場の近くに到着した満たちは、自転車を降りて駐輪場に預けて会場に入る。

 昨日の時点でイリスから話をされていたので、その待ち合わせ場所へと満は向かっていく。


「おはよう、満くん」


「おはようございます、イリスさん、環さん」


 一般人と出演者ということなので警備員から厳しい目を向けられながらも、満はイリスと挨拶をしている。


「イリスさん、本当に今日はお手伝いしなくていいんですか?」


「ええ、問題ないわよ。私の勝手な都合で、何度も縛り付けちゃ可哀想だからね。環に言われて反省したの。今日はお祭り楽しんでて」


 はっきりと言い返されてしまった。

 そういうわけで、満は風斗と香織の二人と一緒にお祭りを見て回ることにした。

 とあるチャリティー番組の協賛とはいっても、一部のスペースにその関連のブースがあるだけで、それ以外はよくある地元のお祭りといった感じだった。

 満は去年以前はあまり興味はなかったものの、イリスに誘われて出てからというもの、強く興味を抱くようになっていた。


 ところが、その中で予想外のことが満を襲った。


「にしし、だーれだ!」


 突然、後ろから目隠しをされたのだった。


「笑い声で誰か分かりますよ。なんでいるんですか、小麦さん」


「にしししー。いやぁ、満くんの初ステージを見たくて、つい来ちゃったよ。電車で簡単に来れるからね、ここは」


 くるっと振り返った満を前に、小麦はやってきた理由を答えている。


「ステージなら昨日ですよ。今日はフリーですから見られませんよ」


「うん、知ってる。だから、昨日は変装までしてまでばれないようにしてたからね。気付かなかったでしょ?」


「え……、いたんですか?!」


 小麦からの衝撃告白に、満はショックを隠し切れなかった。

 なんと、昨日のイリスのステージを会場で見ていたらしい。あれを見られていたなんて、満は両手で顔を覆いながら恥ずかしがっている。


「満くんって多才だよね。ゲームはできるし、料理もできる。歌ってよし、踊ってよし。いやぁ、芸能界に行っても通用しそうな感じがするよ、うん」


「僕はアバ信です。芸能人にはなりませんからね?」


「うん、知ってるよ。いやぁ、これでイラストまでうまかったら、私の出る幕なくなりそうで怖いなぁ」


「心配しなくても、絵は描きませんよ。羽美姉さんに頼みますから」


「そっかそっか。じゃあ、安心だ」


 満の言い分を聞いて、小麦はとても安心しているようだった。


「それじゃ、私も一緒に巡ってもいいかな。いやぁ、地元のお祭りといっても、あんまり参加したことがないから、今日はとっても楽しみだね」


「あ、ああ。構いませんよ。なあ、花宮」


「う、うん……」


 戸惑う二人の姿を見て、小麦の目がきらりと光る。


(はは~ん、これはそういうことかな。こりゃあ、私はお邪魔虫かな?)


 だが、察してはいるものの今日は満と一緒にいたい気持ちが先行してしまう小麦である。

 幼馴染み三人で巡るはずだったお祭りだが、小麦が加わったことでなんとも微妙な雰囲気になってしまう。

 なんとも複雑な関係の中、はたして今日はゆっくり楽しむことができるのだろうか。

 夏休み最後の日曜日は、波乱の幕開けとなったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ