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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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第365話 ミニライブ当日

 いろいろとあった中、いよいよ迎えた夏祭りの本番。

 満の出番は、夜にあるミニライブでのバックダンサーだ。とはいえ、コーラス参加もあるので歌の練習もがっつり行ってきた。


「お、おはようございます」


 満は楽屋に姿を見せる。ここまでは母親に送って来てもらっていた。


「おはよう、みち……ルナちゃん」


 イリスはうっかり本名で呼びそうになっていた。しかし、ここは配管工レーシングのこともあるので、ルナと呼ぶべきだと、ちゃんと言い直していた。


「お、おはようございます、イリスさん。本日はお願いします。ご一緒される皆さんも、よろしくお願いします」


「おはようございます」


 満が挨拶した相手は、普段からイリスのバックで踊っている人たちだ。

 なんとも面白くなさそうな顔をしているものの、挨拶はきちんと返してくれていた。

 しかし、まだまだマイナーなアイドルだというのに、バックダンサーがいるとは面白いものだ。人数は四人。今回は満も入れて五人である。


「な、なかなか可愛いじゃないの」


「素人なんだから、あたしたちの足を引っ張らないでよ?」


「練習を見ていた限りはそんなことはないとは思いますが、緊張で失敗はあり得ます。私たちがフォローするので、あまり気負わずに気楽にいて下さいね」


「まっ、一緒にがんばろうね」


 四人のバックダンサーは、満に向ける感情としては半々といったところだった。

 満はその反応を見て、たじたじといったところだった。


 ちなみに、今日の満は当然ながらしっかりと女性の姿でやって来ている。うまく女性の日が当たるように調整したかいがあるというものである。

 もう一度確認するが、満の出番は夜である。

 朝早くからやって来ているのは、現地での最終確認などがあるためだ。そのために、お祭りの会場近くでそのための場所を借りているらしい。


「私は他にも出番があるから顔を出せないけれど、みんなは仲良くしててね」


「もちろんですよ、イリスさん」


 イリスがちょっと心配そうに声をかけると、バックダンサーの一人は元気に返事をしていた。

 そんなわけで、イリスに見送られながら、満はバンダンサー四人や振付師と一緒に借りているスタジオへとやって来る。

 どこかと思えば、市民体育館だった。そこの小部屋の一室を練習の場所として押さえていたようだ。


「まったく、イリスさんときたら、なに勝手に一人増やしているのでしょうかね」


 振付師からは文句が出てくる。


「一応、あなたの場所はイリスさんの間後ろで、あまり影響のない場所になっています。振り付けはきっちり覚えていますかね」


「はい、イリスさんから教わっています」


「そうですか。では、通しで見せてもらってもよろしいですかね」


「分かりました」


 振付師の人がCDラジカセを床に置いて、イリスの今日歌う楽曲を流し始める。ミニライブであるために、全部でアンコール込みで四曲しかない。そもそもイリスの持ち歌がこれだけしかないからしょうがない。

 全四曲、約二十分。そのすべてを、満は完璧に踊り切っていた。

 これには、ここまでよそで活動していた振付師と四人のバックダンサーはびっくりするしかなかった。


「素晴らしいですね。ダンサーとしてもやっていけますよ、あなたは」


「そ、そうですかね。きっと、イリスさんの教え方が上手だったんです。本当の僕は、そんなに運動神経がいいわけじゃないですから」


 満はかなり謙遜しているようだった。

 運動神経がよくないのは実際だ。自分の中にルナ・フォルモントとという真祖の吸血鬼が入り込んだことで、その影響で身体能力が向上しているだけなのだから。だから、自分の実力ではないと言っているのだ。

 だが、そんな事情を知らない人からしたら、よく映らないというものだ。バックダンサーの四人からの視線も、半分は睨みつけるような感じになっていた。


「二人とも、そういうのはやめよう」


「そうですよ。足の引っ張り合いなんてしたら、イリスさんの迷惑になりますよ。下手をすると、私たちにも悪い評価が下されかねませんからね」


「うっ……。それはさすがに嫌だわね」


 満に対してどちらかといえば好意的な二人から言われて、敵意を見せる二人はどうにか思いとどまっているようだ。

 なんとも穏やかとは言いきれない雰囲気ではあるものの、どうにか午前中の練習を終える。


 昼食を挟んでからは、イリスも入った状態でひたすら練習。

 これまで別行動だったので、全員で合わせるのは実にこれが初めてだった。

 バックダンサーたちは、事務所のほかのアイドルだけではなく、事務所以外のアイドルのバックダンサーもしている。

 そのために都合が合わず、今まで一緒に練習ができなかったのである。


「ん~、いいわね。とても初めてとは思えないくらいぴったりだったわ」


「ありがとうございます」


 イリスは褒められて満足そうである。

 振付師と話を終えると、満たちの方を見る。


「さあ、今夜のライブ、しっかりと成功させましょうね」


「はい!」


 イリスの呼び掛けに、満たちはそろって元気よく返事をする。


 イリスのミニライブは夜の六時からだ。まだしばらく時間があるため、満たちは今か今かとその時間を静かに待ち続けていた。

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