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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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第362話 ほろ苦クッキー

 芝山家から帰宅した満は、陽が完全に暮れるのを待ってからSNSにクッキーの写真をアップする。

 中の人はいたって普通の人間だとしても、光月ルナのキャラは吸血鬼なので、それをひとまず守らなければならないからだ。


『真家レニ様とお会いして、一緒にクッキーを作りましたわ

 おいしくできてとても満足でしたわ』


 満はこう打ち込んで、実際に作ったクッキーの画像と共にSNSにポストしていた。


「ふう、これでよしっと。レニちゃん……小麦さんと一緒に作ったから、それを書いておかないとね」


 嘘のつけない性格の満である。正直に小麦(真家レニ)と一緒にクッキーを作ったことを書いていた。

 このポストはまたたく間にいいねとリポストがたくさんついていく。

 通知を復活させていたので、スマートフォンはぶるぶると震えまくりである。


「わわわっ、通知切っとかなきゃ……」


 自分の人気っぷりをすっかり忘れていたのか、震えの止まらないスマートフォンに大慌てをしていた。こういうところはまったく学習しない満である。


 ちなみにこの作ったクッキーは、両親にも食べてもらっていた。

 結果としては好評だったので、満はほっとしたようである。

 ……ちなみに、作りすぎたのでまだ残っていたりする。


「明日にでも食べよう」


 満はそう思って冷蔵庫にしまっておいた。


 翌日は木曜日。

 夜を迎えると、満は配信を始める。


「みなさま、おはようですわ。光月ルナでございます」


 いつものように挨拶をすると、リスナーたちからはいつもの挨拶が返ってくる。


「みなさま、いかがでしたでしょうか。アンケートで票の多かったお菓子を作ってみたのですが」


『やっぱり上手やな、ルナちは』


『レニちゃんと本当に一緒に作ったん?』


 当然ながら、真家レニと一緒に作ったということを書いたので、そこに対して質問が飛んできた。


「はい。真家レニ様とはいいお付き合いをさせていただいております。僕から話を持ち掛けましたら、快く了承して頂けました」


『はえー、本当に仲いいんやな』


『でも、近くに住んでいるって思われん?』


「ふふふっ、大丈夫ですよ。近いというだけですから」


 満は笑ってはぐらかしている。


『まあ、ルナちがそう言うんならそうなんやろな』


『プライベートに踏み込まない。これが下僕としての必須の心得や』


『んだんだ』


 相変わらず、とても律儀なリスナーたちである。このやり取りを見ていて、満は取っても微笑ましくなって、つい笑ってしまう。

 ところが、満の脳裏にはルナ・フォルモントからのメモによる伝言が頭をちらつく。吸血鬼の持つ、他者を下僕にしてしまうという特殊能力のことだ。

 とはいえ、リスナーたちのやり取りを見ている限り、そんな風には感じられない。満としては気のせいだと思いたい話である。


『ルナち?』


 急に無言になった満を心配するコメントが飛んでくる。


「ああ、申し訳ありませんわね。ちょっと考えごとをしておりましたの」


『ルナちにも悩みってあるんやね』


「ええ、生きている限りは、悩みは尽きませんわ」


『ワイらでよかったら、いくらでも話は聞くで』


 満が真祖の吸血鬼らしい言い方で話をしていると、どういうわけかリスナーたちから思い切り心配されているようだった。


「ご心配なく。僕の話ですから、僕自身で解決してみせますわ」


『そっか ¥1,000』


 なぜかスパチャが飛んでくる。


「どうしてスパチャなのですかしら」


『おいしいもん食えば、多分消えると思ったから』


「……なるほどですわね」


 リスナーの理論に、なぜか頷いてしまう満だった。


「気持ちだけは、ありがたく頂戴しておきますわ」


 満はぺこりと頭を下げると、話題を変えることにした。


「それにしても、今回のクッキーは地味に苦戦をしましたわね」


『そうなん?』


「シンプルですが、種類が多くてですね。真家レニ様といろいろ相談をしながら作りましたのよ」


『はえー、そうなんや』


「なんでもできるかもって、ちょっと思い上がっていましたわね。反省ですわ」


 今回のクッキーの件で、満はとても反省しているようだった。

 レシピを覚えれば大丈夫と思っていたのに、実際はかなり小麦に頼ってしまっていたのだ。それは反省して当然というわけである。


『まあ、何事も経験やな』


「はい、その通りですわ」


 満はリスナーの言葉に、素直に頷いていた。


「っと、いけませんわね。反省だけでは暗くなって終わってしまいます。真家レニ様の近況も含めて、今回のクッキー作りのポイントをお話しますわ」


『レニちゃんのこと、喋ってもいいん?』


「許可はいただいております。真家レニ様はもうしばらく配信ができないようですので、僕にお願いをして下さったのです」


『なら、問題ないね』


 そんなわけで、満は真家レニの近況を絡めながら、クッキー作りのことを熱く語っていた。

 リスナーたちもしっかりとついてきているようだった。


「おっと、熱くなりすぎてしまいましたね。もう時間ですので、本日のところはこの辺で終わりと致しましょう」


『おつおつ』


 内容はほとんどクッキーのことだったものの、満はどうにかこの日の配信を済ませることができたのだった。

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