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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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358/416

第358話 気分転換に

「みなさま、おはようですわ。光月ルナですわ」


『おはよるな~』


 その日の夜、満は普通に配信を行っていた。

 風斗の血を吸ったことで男の状態に戻っているが、声は相変わらず女性の時と変わらない。声変わりはしないのだろうか。

 ただ、風斗の家から戻ってくるまでの間は、体の変化との戦いだった。

 血を吸ってからすぐというわけではないが、体の中が沸き立つような感覚に襲われていた。

 しかし、さすがに女性の服装のままで外をうろつくような勇気はなかったので、満は大急ぎで家まで戻ってきた。

 その後は大慌てで部屋に戻り、昼寝をして体の変化からくる苦しみになんとか耐えきったのだ。


『ルナち、なんか疲れてない?』


『うん、少し声に元気がないね』


「そ、そんなことはありませんわよ。ただ、最近の夏は暑いですから、そのせいではございませんかしら」


 まったくリスナーたちは鋭いものだ。

 実際、満はちょっと疲れている。

 夏の暑さのこともあるが、その暑い日中に体の変化を起こしたのだ。予想以上に体力を持っていかれているようなのである。


(もう、なんでみんなそんなに鋭いのかなぁ。これもルナさんの能力の影響なのかな)


 みんなのコメントを追いながら、満はついつい笑ってしまっている。


「さて、本日はどんなお話をしましょうか」


『おや、話題も決めずに配信始めたん?』


 満がいえば、すぐにリスナーが反応する。相変わらず速い。


「ええ。みなさまがお待ちになっているとなれば配信をせざるを得ませんもの。ですが、話題というのはそれほどあるというものではございませんわ。僕は吸血鬼ですからね」


『まぁ確かにそうだよな』


『ええやん、別に』


『なら、質問タイムか?』


「そうですわね。リスナーのみなさまからの質問を受けて、それに答えるということをしましょう」


 ふいに飛び出たリスナーのアイディアに、満はほいほいと乗ってしまったようだ。

 正直なところ、今日は配信予定日だったので、何も考えずにいつも通り配信を始めてしまっていた。こうやってアイディアを出してもらえるのは、助かるというものなのである。


『ルナちの趣味って何なん?』


『それを聞くか?』


 リスナーから純朴な質問が飛んできた。


「僕の趣味は、散歩ですかしら。あちこちに出かけるのが、結構好きですわね」


『散歩かぁ~』


『なるほど、なんか納得する』


 意外と納得されてしまって、満はかえってびっくりしてしまっている。

 どうやらリスナーからはそんなイメージを持たれてしまっているようだ。一体どこからそんな風に思われているのだろうか。満は首を捻るばかりである。

 とはいえ、話を途切れさせるのもよくない。満は話を続けようとする。


『ルナちは山派?海派?』


 そう思っていたら、リスナーから続けて質問が飛んできていた。


「吸血鬼にそれを聞きますか」


 満からはとっさにこんな言葉が出てきてしまった。

 どちらかというと、自分の中で眠るルナに触発されたような言葉である。


『せやな。吸血鬼は流れる水が苦手やもんな』


「まあ、その通りでございますわね。なので山派」


 そう言いかけた満だったが、ここで一度、言葉を打ち切る。


『うん?』


『なんか止まったぞ?』


 リスナーたちもちょっと困惑しているようだ。


「……と見せかけまして、別にどちらが好きというわけではございません。その時の気分ですわね」


『さすがは真祖』


『苦手要素はなしかぁ』


『でも、あえてといったらどっちなんだろう』


 食い下がってくるリスナーたちである。


「あえてといいましたら、やはり山ですわね。木陰が心地よくていいですもの」


『やっぱ太陽が決め手か』


『海は基本的に遮るもんがないからな、しゃーない』


 なんだかんだで真祖の吸血鬼という設定に、リスナーたちも合わせてくれている。


(今日の僕、ルナさんの力を発動させてないよね? 大丈夫だよね?)


 満の方はこんなことを思いながら話をしているなんて、誰も思わないだろう。二年間のアバター配信者としての経験が活きているのである。


『ルナちって時々料理の配信しているけど、本当の腕前はどうなん?』


「そ、それを今聞いてきますかしら」


『あー、気になるなぁ』


『ルナちの本来の性別がどっちか分からんでも、手料理が食べられる相手はうらやましいぜ』


『ワイトもそうも思います』


「ななな、なんでそんな風な話になるのですか!」


 なんかうっとりし始めたリスナーに、満も大慌てである。


『ルナちが照れてる』


『可愛いなぁ ¥2.000』


 ところが、その反応の破壊力にスパチャが飛んでくる始末である。


「はあ、からかわないで下さいませ」


『すまんすまん』


『可愛いから、つい』


「まったく、もう……。料理の腕前ですけれど、お菓子でしたら何種類か作れますわ」


『すごい! ¥1,000』


『今度、作ったお菓子をSNSにぜひ!』


「分かりましたわよ。みなさまが喜んでくださるのでしたら、そのくらいでしたらして差し上げますわ」


『ぐうう、楽しみすぐる』


『全裸待機』


「服は着てて下さいませ!」


 この日の配信も、なんだかんだで盛り上がっていた。

 結果、世間の夏休みといわれる期間中に、作ったお菓子をSNSに投稿するという約束をして、この日の配信を終わることになったのだった。

 ため息の出てしまう満ではあるが、約束をした以上は守るつもりだ。


「何を作ろうかな……」


 きちんと配信終了を確認した満は、悩ましさにもう一度大きなため息をついたのだった。

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