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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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第357話 困った時の風斗頼み

 翌日も満は女のままだった。

 ただ、服装はちょっと露出を押さえた感じになっている。Tシャツにキャミソールを重ねて、下はハーフパンツである。


「満、今日はお出かけなの?」


「うん、風斗とちょっと話をしてこようと思うんだ」


「そう。だけど、今日もまだお盆よ? 迷惑にならない?」


「大丈夫。事前に風斗にはメール入れておいたから」


 満はそう言うと、つばの大きなUVカットの帽子をかぶって出かけていった。

 母親はどこか心配そうな顔をして、満が自転車で走り去っていくのを見送っていた。


 満の家から風斗の家まではそこまで離れていない。徒歩でも行ける距離である。

 風斗の家にやってきた満は、門にある呼び鈴をとりあえず鳴らす。


『はい、村雲ですけど』


 聞こえてきたのは風斗の声だ。


「あっ、風斗。満だよ。入れてもらってもいい?」


『ちょっと待ってろ。今開けるから、自転車を車庫に止めておいてくれ』


「うん、分かった」


 インターフォンの通話が切れると、満は車庫に自転車を止めてカギをかけると、玄関の前までやってくる。扉が開けば中へと入っていった。


「まったく、急な話だったな。両親なら今はいない。なんかご近所付き合いが大変らしくてな。ああ、墓参りなら昨日に済ませているからな」


「そっか。大変だね、風斗の家も。うちのところは両親とも家にいるのにさ」


「うちの親、近所づきあいはよくする方だからな。まったく、物好きだと思うぜ」


 満を自分の部屋に案内した風斗は、そんなことを言いながら大きなため息をついていた。


「それにしても、今日の満はまた雰囲気が違うな」


「う、うん。女の子から戻れなかったんだけど、それだったらちょっと変えてみようかなって思って。どうかな、ツインテール」


「まあ、いいんじゃねえのか。男だろうと女だろうと、満は満だしな。どっちの自分だろうと、楽しめればとりあえずいいんじゃないかな」


 風斗の言葉に、満はちょっと胸が痛んだ気がした。


「お、おい。どうしたんだよ、満」


「な、なんでもないよ」


 心配する風斗に対して、満は笑顔で答えていた。


「そうか」


 満が笑うものだから、風斗はあまり気にしないようにしたようだ。


「で、俺のところまで来たってことは、何か相談ごとがあるってことなんだろ、満」


「あ、うん。そうだよ、風斗」


 さすが小さい頃からの付き合いのある幼馴染みだ。満は遊びに行くとしか書いてなかったが、本来の用事を見抜かれていたようである。


「実はね……」


 満は風斗に昨日あったことをあれこれ話した。

 小麦とその母親と会って話をしたこと、ルナ・フォルモントからの忠告のことなど、そのすべてをだ。

 満からの話を聞いた風斗は、いろいろと驚かされていたようである。


「満が消えるかも、だって?」


「うん」


 風斗が確認するようにいうと、満は真剣な表情で頷いている。

 あまりにもはっきりというものだから、風斗は思わず固まってしまっている。どう言葉を続けたらいいのか分からないのだ。


「今の状態が続くなら、ルナさんが僕の体を乗っ取ってしまうみたいだよね。だから、僕もルナさんも、別々の存在として存在できるように努力しなきゃいけないんだ。そのためには、僕の力だけで光月ルナのチャンネル登録者数を増やさないとね」


「現状じゃ満足できないのか?」


 満の話を聞いていた風斗が、満に確認をしている。

 風斗が心配そうな顔で尋ねてきたので、満はこくりとしっかり頷いている。


「僕だけの力でって言ってるでしょ。どうやら、今までの僕はルナさんの持つ眷属を従わせる能力を無意識に発動していたみたいなんだ」


「そんなことがあるのかよ……。いや、そもそも吸血鬼って存在がいる時点で疑うのも変か……」


 風斗はつい苦笑いをしてしまう。

 パンと膝を打った風斗は、じっと満を見る。


「なっ、なに、風斗」


「親友のためだ。俺も協力してやるぜ」


「いや、でも、風斗。配信中の話なんだから、風斗じゃ手伝いようがないと思うんだけどな」


「いやまあ、そうかも知れないな」


 意気込んだのはいいが、満から当然の話を返されて風斗は笑うしかなかった。


「でもまぁ、単純なトーク配信で人気が衰えなかったのも、なんとなく納得がいったよ。でも、確かにそう分かると気分のいいものじゃないよな。満は真面目だから、気にするよなぁ」


「そうなんだよう……。僕、どうしたらいいんだろうね」


「満自身の魅力を伸ばすしかないよな。配信の時はできる限り男に戻っておくとかな」


「それでいけるかな?」


 風斗の提案に、満はかなり不安そうだ。


「大丈夫だって。満にはとんでもないゲームの腕前があるんだし、そっちをものにしてしまえばいいんだよ」


「そっか。その手があったか。さすが風斗、頼りになるな!」


 満は思わず風斗に抱きついてしまう。


「おいバカ、やめろ。今の自分の状態を思い出せ、くっつくな!」


「あ、ごめん」


 風斗に叱られて、満は離れた上でしっかりと謝っていた。


「まあ、俺の首くらいならいくらでも差し出すから、ひとまず血を吸って男に戻れよ」


「うん、ごめんね、風斗」


 また満が謝っていると、風斗は満の額を指でこつんと弾く。


「痛っ!」


「謝んなって。それたちは親友だろ」


「……うん」


 顔を真っ赤にして頷いた満は、そっと風斗の首に顔を近付ける。


「ありがとう、風斗」


 そう呟いて風斗の首筋にかみついたのだった。

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