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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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342/354

第342話 帰宅してあれやこれや

「ふは~……」


 久しぶりに家に戻ってきた満は、自分の部屋で寝転んでいる。もちろん、エアコンをつけて涼しくしてからだ。

 その際に床に思いっきり胸が当たっているものの、まったく気にしている様子もない。さすがに一週間も女性のままでいると、感覚は完全に女性に染まりきっているようである。


「おっと、こうもしてられない。早速チェックしなくっちゃ」


 すぐに満は体を起こし、パソコンを起動する。

 最初にチェックしたのはPASSTREAMERの自分のページ。しばらくログインをしていなかったので、アカウントとパスワードを要求されたものの、さくさくと入力してマイページを表示させる。


「うわぁ、配信してなくても再生数が伸びてるなぁ……」


 満は自分の投稿した動画のチェックをしていてびっくりしている。さすがは現在トップクラスのチャンネル登録者数を持つアバター配信者である。

 これだけ再生されていれば、広告収入も相当になるだろう。

 ところが、あくまでも満は貯蓄に回す予定である。いろんな人の助けでアバター配信者をしていられるので、その人たちのために使うつもりで貯め続けているのだ。

 それでも、満はちょっと怖いものがある。


「これだけ稼いでいると、税金とか持ってかれそうだなぁ。こういうのって誰に相談したらいいんだろ」


 そう、収入が増えるとついてくる税金だ。去年末の配管工レーシングで世界チャンピオンになったこともあり、光月ルナのことを知る人を中心に再生数が爆上がりしている。それに伴う広告収入が増えているので、気になってしまうのだ。


「そうだ。マッハさんならこういうの詳しいかな。配管工レーシングを中心に配信しているみたいだし、もしかしたらいい話が聞けるかも」


 そんなわけで、満はマッハに対してPASSTREAMERの機能を使って連絡を入れることにした。

 今日は平日で、そのお昼だ。おそらく返事があるとしても夜になってからだろう。

 ひと通りのチェックを終えた満は、ひとまずお風呂に入ってさっぱりすることにしたのだった。


 お風呂を済ませて部屋に戻ってきた満は、スマートフォンに目を向ける。何か気になったようなのだ。

 ふと手に取って確認してみると、風斗と香織の二人からメールが送られてきていた。

 一体どんなメールを送ってきたんだろうと、髪の毛を乾かしながら満はチェックを始める。


「まったく、二人とも。もう次のお出かけのことを考えてるのか。気が早いなぁ……」


 二人から送られてきたメールを見て、苦笑いしか浮かばない満である。

 風斗の方は月初のいつものお出かけのことだが、香織の方はというとちょっと遠慮したい気持ちのあるお誘いだった。


「今年も市民プールに行くつもりなんだ。う~ん、あんまり僕としては人前で肌をさらしたくないというかな……。元々男の子だし、男女どちらでいるかなんてのは、僕には調整できないしなぁ……」


 そう、香織からのメールには、去年と同じように市民プールに行こうというお誘いの文面が書かれていたのだ。

 プール授業が始まる前に二人で水着を買いに行ったことがあるから、あの時からすでに行く気満々だったのだろう。なんとも圧を感じる文面だった。


「内容から察するに、女子だけで行くつもりなのかな。いいかのかな、僕が混ざっても……」


 なんとも複雑な気持ちになる満なのであった。

 とはいえ、これで放置しないのが満である。

 風斗と香織が送ってきたメールに対して、丁寧に返信を入れている。

 返信を送り終えると、満はひと息ついていた。


「よし、宿題でも始めようかな」


 夏休みに入っていきなり親の実家に連れていかれ、お祭りのための舞の練習がずっと続いていた。その関係で、今年の満はこれまでまったく宿題が進んでいないのである。

 少しでも遅れを取り戻そうと、早速机に向かう満である。

 集中をしたおかげか、思った以上に宿題を消化できたようだ。


「もうそろそろ夕食の時間かな。今日は水曜日で配信の日じゃないから、残りの時間もたっぷり宿題を進めようっと」


 配信がない日だと確認をすると、満は夜の時間も宿題を進めることにしたようだった。


 食事を終えて部屋に戻ってきた満は、PASSTREAMERに新着があることに気が付く。

 なんだろうと思って覗いてみると、マッハに出していたメールの返信が来たらしい。


『まったく、久しぶりに連絡が来たから何かと思えば、税金の話か。

 まあ君なら稼いでるから、考えるのは実に正しいと思う。一応やり方の流れだけは教えてやれるが、詳しいことは君の両親に聞いた方がいいだろう。

 それはさておき、君にその気があるなら、また配管工レーシングで勝負しようじゃないか。

 元チャンピオンとしての意地があるからな。

 じゃあ、君のアバ信としての活躍を楽しみにしているよ。


 マッハ』


 言葉は砕けてはいるものの、律儀な感じが伝わってくる文面だった。

 よく見ると、メッセージには添付されているファイルがあった。開いてみるとマッハによる手書きの確定申告の流れだった。

 仕事が終わって疲れているだろうに、かなり丁寧に書かれていて、満はついつい笑ってしまう。


「ありがとうございます、マッハさん」


 満はマッハに感謝しつつ、やり方のメモをダウンロードしていた。


「よし、あとで見るとして、今はとにかく宿題だ!」


 満はパソコンの電源を落とすと、夏休みの宿題に取り掛かったのだった。

 遅れを取り戻すように、それはもう必死な形相で。

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