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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊


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312/351

第312話 テーマパークを楽しもう

 やって来たのは、ものすごく有名なテーマパークだ。

 園内には、城や山などいろいろな建造物がそびえ立っている。

 さすがゴールデンウィークということで、ものすごい長蛇の列ができ上がっており、入場するだけでものすごく時間がかかりそうである。


「と、泊りがけで来て正解でしたね」


「ええ。今日は実質夕方からしか楽しめないと見ていいと思うわ」


 ものすごくたくさんの人数にもみくちゃにされている。なんというか、とても密である。

 満もここに来る前に変装をしていた。

 それというのも、配管工レーシングの世界大会の配信で多くの人に顔が知られているからだ。そう、ルナの姿になった満も、知る人ぞ知る有名人なのである。


「なんだか恥ずかしいなあ……」


 熱いので帽子を取ろうとする満だが、イリスに止められる。


「ダメよ。ここで銀髪なんてものすごく目立つんだから。そのためにアップにしたのよ?」


「わ、分かりましたよう……」


 イリスに怒られた満は、仕方なく帽子は脱がずに我慢している。

 五月の頭だというのにかなりの気温である。満たちは入場ゲートをくぐるまでひたすら我慢し続けた。


 どれくらい待っただろうか。ようやくゲートの中に入れた。

 中に入れば、目の前に広がるのは夢の国。旅行でやって来た初めての場所に、満はとても感動しているようだ。


「うわぁ、ここがあの超有名なテーマパークかぁ!」


 両手を握りしめ、目をキラキラさせ、鼻息まで荒くなっている。いくらなんでも興奮し過ぎのようだ。

 急に走り出そうとするものだから、母親はがっちりと手をつかんでいる。


「これだけ人がいるのよ? はぐれちゃ大変でしょ、満」


「……はーい」


 にっこりと笑う母親の顔を見て、満は仕方なくおとなしくなるのだった。


「しかし、どこから回ればいいんだろうかな」


「それだったら、私たちにお任せを。ね、環さん」


「はい、今日の混み具合を頭に入れて、回りやすそうな場所をピックアップしておきました。このプラン出回れば、これから5個くらいは回れます」


 さすがはイリスのスケジュール管理をしている敏腕マネージャーである。どうやらこのテーマパーク内のことをかなり調べ尽くしてきたようだ。

 満たちは環の案内通りにテーマパーク内を移動していく。辺りがすっかり暗くなる頃には、環の計算した通りに五つのアトラクションを回ることができたのだった。


「どうです、完璧でしたでしょう?」


「た、確かに回れましたけど、ちょっと無茶苦茶じゃなかったですか?」


「体力落ちたかしらね」


「仕事に比べればマシだが、まさか休日にこんなに走らされるとはな……」


 回り切った時には、満たちはそろいもそろってダウンをしていた。この様子には小麦たちも予想外だった。


「困りましたね。これからナイトパレードの時間ですのに」


 環が左手首にはめた腕時計を見ている。スマートフォンよりも手軽に時間を確認できるので、環は腕時計をつけているのだ。


「私がいい場所を知っていますので、こちらに移動しましょう」


 そういうと、環は再び走り出す。

 まだ走るのかと思いながらも、満たちはその後ろを追いかける。

 やって来たのは、大きな山がそびえ立つ、池のある場所だった。


「ここは?」


「知る人ぞ知るポイントですね。実はここ、時々パレードに合わせて花火が上がるんです。パレードは毎日ありますが、花火は毎日とは限りません。これはテーマパーク側のサプライズのようでしてね、ホームページを見ても載ってないのですよ」


「へえ、そんなことがあるんですね」


 環の語る内容に、イリスですら驚いている。どこでそんな情報を仕入れてくるんだということだろう。


「そして、私の勘が正しければ、今日は十中八九、花火が上がります」


 環の目がきらりと光っている。

 あまりの力説に、満もイリスも呆れた様子を見せているが、小麦だけがなんだか違う反応を示していた。


「小麦ちゃん、どうしたのよ」


「えっ? なんでもないよ、舞お姉ちゃん」


 イリスに声をかけられて、なぜか慌てている小麦である。

 その様子を見ていた満たちはどうしたんだろうと首を傾げているが、イリスだけはなんだかにやついた顔をしている。


「と、とりあえずパレードまでは時間があるよね。何か買ってきて食べよう?」


「それでしたら、私が行ってきましょう。空月さん、舞たちのことをお願いしてもよろしいですか?」


「はい、分かりました。ここで待っていればいいんですよね」


「そうです。お願いしますね」


 環がその場から離れて、軽食を買いに走っていく。

 満の両親がそわそわとしながら待っている中、満に小麦が近付いていく。


「ねえねえ、満くん満くん」


「うわっ、なんですか、小麦さん」


「しーっ!」


 びっくりした満に静かにするようにと小麦がお願いしている。


「ちょっとね、パレードの後で話があるんだ。ちょっとだけ時間いいかな?」


「えっ? まあ、いいですけど」


 満は不思議に思いながらも、小麦に返事をする。

 その満の答えを聞いて、なぜか小麦はなぜかほっとしているようだった。


「そっか。じゃ、約束ね」


 小麦がそう言った時、環が戻ってくる。

 それと同時に、遠くから華やかな音楽が聞こえ始めたのだった。

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