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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
300/317

第300話 落ち着かなくて

「おはようですわ、みなさま。光月ルナでございます」


『おはよるなー』


『おはよるな~』


『ああ、新年度早々ルナちが見られるとは、嬉しい限りだぁ』


 満はその日の夜、配信を行っていた。

 今日は日曜日ではあるので、本来はイレギュラーな配信日だ。なので、いつもより1時間ほど早めて配信を行っている。


「本日は日曜日でございますが、いろいろありましたのでこのように配信を行っております。本当に申し訳ありませんわ」


『問題ナッシング』


『レニちゃんの配信は今日もお休みのようだから助かる』


『ルナちの配信って、だいたいレニちゃんの配信も見てるよな』


『二人は仲良しだからな、俺たちも平等にせねばならんだ』


『理屈は分からないが、納得はいく』


 リスナーたちが言うには、真家レニの配信は今日もお休みのようだった。

 それを聞いて、満は確かにSNSでの告知ポストがなかったことを思い出していた。

 真家レニの中の人である小麦はまだ引っ越したばかりだ。おそらくまだ配信するだけの環境にないのだろう。満はまだ忙しそうなんだなと思って納得したようだった。


「それは残念でございますわね。せっかく早く起きして1時間前倒ししましたのに」


『ルナち優しいなぁ』


 リスナーはほのぼのしている者もいるようだが、一部はちょっと厳しいようである。


『そもそも、なんで日曜日に配信をしようとしたんよ』


『確かに、ルナちって木・土・月だったよね?』


 そう、光月ルナのイレギュラーな配信を疑問視しているのだ。

 その声に対して、満は咳払いをしてから理由を語り始める。


「おほん、意見は確かにごもっともですわね」


 まずは批判をしっかりと受け止めている。その上で、理由を語り始める。


「今日はちょっといろいろと気になることがありましたので、一日温めるのが惜しくなったのですわ。よくあるではありませんの、人に話したくて仕方のない時というものが」


『それはまあ、確かに』


『真祖でもそういうことあるんか・・・』


『非常に気持ちはわかる』


 満の語った内容に、リスナーたちは納得しているようである。


「今日は桜も満開でしたので、背景を変えてから話をすることとしましょうか」


 光月ルナのアバターがパチンと指を鳴らすと、配信の背景が桜が咲き乱れる庭園へと変わる。

 満もこのアバター配信者というものに慣れたのか、ずいぶんとしゃれたことをするようになっていた。


『ルナちも余裕出てきたのか、芸こまだな』


『この桜のエフェクトも相変わらずの変態っぷりなんよな』


『ありがたいねぇ!』


『うわっ、出た』


 庭園の桜を見たリスナーたちが感心していると、やっぱり世貴が登場していた。自分の手掛けたものを褒めてもらえるのが嬉しいようなのである。

 このやり取りを見た満はつい笑ってしまう。


「では、お話を始めますね」


 優雅に庭園で腰を掛けている。まったく、吸血鬼に桜という一見ミスマッチにも見える組み合わせなのに、ものすごく絵になっている。


「一つ目は、本日配信が始まりましたVブロードキャスト社のアバター配信者の楽曲ですね。僕も購入させて頂きました」


『ルナちも買ったんかいwww』


『まぁなんていうか、有名どこの人を使っただけに聞こえたな』


『俺は気に入ったんだがな』


『反応が人それぞれって感じだな』


 リスナーたちは忌憚のない感想を言い合っている。


「僕は気に入りましたね。ついついリピートで聞いてしまうくらいですよ」


『ほえーっ、ルナちはこういうのが好みなんか』


『ルナちのお気に入りとなると、これは伸びる予感?!』


『この界隈やと、ルナちは有名人やからなぁ』


 リスナーたちの反応を見るに、光月ルナの発言はかなりの影響力を及ぼしてしまうらしい。

 思わぬコメントに、満は困惑してしまう。


「可愛く楽しい感じが出ていますので、僕としてはお勧めです。では、次の話題に参りましょう」


 満は早いうちに話題を切り替える。


「月刊アバター配信者のお話ですね。ちょっと事情がありまして、今日購入いたしました」


『ああ、月初だからな』


『そういえば、昨日は話題に出んかったな』


『誰だって忘れる時はあるさ』


 相変わらずいい感じの反応である。


「今回は特集ページに、去年のアバター配信者コンテストで優勝した狸小路稲荷さんのことが載っていました」


『おお、アバ信コンテストのその後の特集か。そんなの載ってたのか』


『ぐっ、明日にでも買いに行くか』


「観光大使、PR大使など、幅広く活動されているみたいですね。なんでも落語にも挑戦してみたとか」


『落語?!』


『古風なキャラとはいえ、まさかそんなことしてるんか?』


『みたいやな。こないだは配信で披露してたで』


『マジか、あとでチェックだな』


 リスナーの中には動向を気にしていた人もいたようだ。

 いろんな情報が出てくるものである。


「なかなか話題に出てこなかったですけれど、順調にこなされているようで参戦した者としては嬉しく思いますね。まるで自分のことのように感じます」


『気持ちはわかる』


『あのコンテスト、ルナちは二位やったもんな』


『年末のことを考えると、優勝しなくて正解だった・・・?』


『ホント、何が起こる分らんよな』


 あれやこれやと話をしているうちに、あっという間に1時間が経ってしまいそうになる。


「おっと、そろそろ9時ですわね。そろそろお開きと致しましょうか」


『もうそんな時間か』


「はい。明日からは新年度が始まります。みなさま、お気をつけていってらっしゃいませ。それでは、ごきげんよう」


『ルナちは優しい』


『おつるな~』


『おつるなー、これで明日も頑張れる』


 満が終了の挨拶をすると、コメントが流れる中、配信を終了させたのだった。

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