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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
282/317

第282話 元日衝撃配信

「あけおめれに~」


『あけおめ~』


『あけおめだよー』


 真家レニの挨拶に、テンションの高いリスナーの挨拶を返している。


「いやぁ、あっという間に年が明けちゃったね。ことよろだよ~」


『ことよろー』


『ことよろ~』


 挨拶をすれば、さらっと挨拶が返ってくる。なんともテンポのいいことだろうか。


「レニちゃんはいよいよ受験ということで、この元日配信を最後にしばらく休止することになるよ。SNSでも後で伝えるね」


『それはさみしくなるなぁ』


『レニちゃんのハイテンション配信、すっごく楽しみだったのにな』


「うんうん、そう言ってもらえると嬉しいことだね」


 真家レニはとても嬉しそうに話をしている。


「さて、今日の元日配信は、なんと共同配信者をお招きしているのだぁっ!」


『な、なんだってー!>Ω ΩΩ』


『一体誰なんだー(棒)』


「おやおや、その様子じゃあ、みんな勘付いてるっぽいな。それじゃ、早速あちらさんを訪問しようかな。えいっ!」


 真家レニはなにやらぽちっとボタンを押すような動作をする。

 すると、真家レニの配信の背景ががらりと変化を起こす。次の瞬間表示されたのは、なんとも見慣れた光景だった。


『この背景は!』


「あけましておめでとうございますわ、光月ルナでございます」


『やっぱりルナちじゃないかー、やだー』


『てか、ルナちの衣装を見てみろ、振袖だぞ』


『あ、ホントだ』


『おう、俺と妹がやってやったぜ』


『うわっ、でたっ』


 画面に現れた光月ルナの服装に、リスナーたちは大盛り上がりである。

 それと同時に、やっぱりモデラーである世貴が出没して、リスナーたちは大爆笑である。


「いいなぁ、ルナち。たくさん衣装用意してもらって」


「本当に、パパとママには感謝しておりますわ。このような複雑なものを簡単に作り上げてしまうとは、僕も怖くてたまりませんけれど」


『おーい、真祖に怖がられてるぞー(笑』


『最高の褒め言葉だぜ』


『ダメだ、強すぎるwwwww』


 まったく、世貴のメンタルは強すぎるというものである。


「まだお披露目したいものはあるのですが、真家レニ様、構いませんか?」


「どぞどぞ。今日はレニちゃんの話題はほとんどないから、遠慮なんていらなのだ」


「分かりましたわ。では、クロワ、サン、おいで」


 光月ルナが声をかけると、クロワとサンが召喚される。その姿を見てリスナーたちはぶったまげている。


『クロワとサンが、着飾っている?!』


『てか、サンって女の子やったん?!』


 リスナーたちがサンの姿を見て、とても驚いているようだった。

 そりゃまあ、ゴスロリ風の振袖なのだから驚くのも無理はない。


『クロワはかっけえな。柴犬だから余計カッコよい・・・』


『これだけバリエーションの多いアバ信も珍しいよな』


『ホントにな』


「むむむ、レニちゃんも活動再開の際には新衣装を作ってやるんだから」


 光月ルナの衣装に、クロワとサンの新しい姿まで見せつけられては、真家レニは対抗心を燃やすしかなかった。


『モデリングの依頼なら受けるよ。分からないことはルナちにツールで聞いてくれ』


『宣伝まがいなこと言うと、俺がBANされちまうから、これ以上はやめとくぜ』


『それが賢明やな』


 営業しかけて、世貴はぐっと思いとどまったようである。まったく、危ない橋を渡りかけたものだ。


「それは、真家レニ様」


「なに、ルナち」


「餅つきをしましょう」


「ふえ?!」


『ふぁっ?!』


 光月ルナから飛び出た言葉に、真家レニもリスナーもびっくりしている。


「はい、この通りでございます」


 光月ルナがぱちんと指を鳴らせば、部屋の中に杵と臼、それと湯気が立ち上るもち米が現れた。


「この通り、お餅でございます」


『ほ ん ま や』


『これも作ったんかぁ・・・、オソロシス』


『まあおまけみたいなもんだけどな』


『おwまwけw』


『いよいよ頭おかしくないか?』


 リスナーたちが盛り上がっている間に、光月ルナと真家レニがお餅をつく準備をしている。


「僕がつきますので、真家レニ様は混ぜて頂けますか?」


「おっけー、任せといて」


 光月ルナは杵の先を水につけて、思い切り振りかぶり。


「わっとっとっと・・・」


 ところが、振り上げた勢いがよくなかった、満の姿勢は大丈夫だというのに、画面内の光月ルナは勢いでよろめいている。

 おそろしいものである、世貴の物理演算は。


「おほん、失礼しました。では、気を取り直して、ぺったん」


「はい、ぺったん」


 なんともほのぼのした餅つきが始まった。あまりにも奇妙な絵面ではあるが、リスナーたちもこれには思わずほっこりである。


『この画面、永久保存してえ・・・』


『はあ・・・尊い・・・』


『元日からキュンってしたわ』


 最後にはついたお餅をきれいに丸く仕上げて、さらには七輪で焼き始めていた。

 餅がぷくーっと膨らんでいる様子も再現されており、最後まで衝撃ばかりが走る配信となったのだった。


「それでは、本日はそろそろお開きに致しましょう。みなさま、本年もよろしくお願い致します」


「レニちゃんも無事に再開できるように頑張るので、応援よろしくだよ☆」


「それではみなさま、ごきげんよう」


「おつれに~☆」


『おつれにー』


『おつるな~』


『レニちゃん、ガンバやで!』


 こうして、今年の元日の配信も賑やかなうちに終わったのだった。

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