表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
276/320

第276話 ブイキャス忘年会の締め

 結果として、イラスト伝言ゲームは盛り上がったようだった。

 特に今回初参戦となった四期生の絵はかなり受けたようである。


『勝刀のイラストは芸術すぎて腹よじれる』


『ぴょこらちゃんとマイカちゃんがうまかった』


『女性陣は絵が上手よな』


『でも、一番上手だったのはフィルムよ』


 イラストの内容に関してはこんな感じだった。男性陣が壊滅的だったようだ。

 ところが、ゲーム結果はそれに反して男性陣の方が成績がよかった。イラストの腕前と伝わりやすさはどうも別物だったようだ。


「はい、イラスト伝言ゲームはここまでです。なんといいますか、イラストの腕前とゲーム結果がここまで違うとは思ってもみませんでしたね」


『それなー』


『普通なら女性チームの方が勝つはずやぞ』


 リスナーたちもどよめきが止まらない。


「それでですが、今回のゲームで描かれたイラストは、のちにサインを入れましてみなさまへのプレゼントとさせていただきますね。最後まで配信をお楽しみいただきますと、応募方法をご紹介いたしますので、ぜひともお楽しみください」


『ミミたそ、いい笑顔だぁ・・・』


『まるで4体蹴りwwwww』


『タクミ様のイラストを狙うぜ』


『さすがブイキャス、俺たちの予想外なことをやってくれるぜ』


 イラストプレゼントが告知されると、リスナーたちは大歓喜のようだった。


「ふええ、私のイラストがプレゼントですか?」


「くっ、なんたる不覚……」


「これ、毎年のことだから、僕たちは慣れているよ。ご愁傷様だね、四期生のみんな」


「まったくですね」


 慌てふためく四期生たちに対して、先輩たちは慣れっこなのかしっかりと落ち着いていたのだった。


 配信の背景がいつの間にやら和室に切り替わる。


「ゲームも終わりましたので、ここからは一年の振り返りをするトークタイムに突入です」


「リスナーのみんな、聞きたいことがあったら質問を送ってくれ。全部で二時間あるから答えられるものにはじゃんじゃん答えていくぜ!」


「やれやれ。タクミは元気がいいですね」


「ふふふ、今年も頑張りましたよ」


 先輩たちは、最初からあれこれと盛り上がっているようだ。


「去年は僕をはじめとした三期生の話で盛り上がりましたからね。おそらく四期生と五期生のことで盛り上がるでしょうが、まさか三期生が僕だけの参加とは思いませんでしたね」


「都合が合わないのは仕方ないが、それは確かに意外だったな」


 タクミはフィルムの話を聞いて、ちょっと困ったような声色で漏らしていた。


「まあまあ、参加できなかったのは残念ですけれど、そういうしんみりとした話をしている時ではありませんよ」


 ミミがタクミたちを注意する。なにせ、この間にもリスナーたちからはたくさんの質問や聞きたいことが舞い込んできているのだから。


「おいおい、まさかこのすべてに答えるつもりじゃねえだろうな」


「そんなわけないじゃないですか。でも、リスナーのみなさんが私たちをそれだけ気にかけて下さっているということです。喜ばしいことではないですか」


『まったくだな』


『なんだかんだでブイキャスには期待してるからな』


「それでは、早速一つくらい答えていくこととしましょうか。こういう時はまずは私が先陣を切るべきですね」


 そういって、ミミはひとつのコメントをピックアップする。


『ミミたそ、今年も司会お疲れ様!』


 それは労いの言葉だった。


「はい。ありがとうございます。僭越ながら一期生である私が司会進行を務めさせて頂きました。今年の配信もわずかですが、ぜひ最後までお楽しみいただけると嬉しく思います」


『ミミたそはやっぱブイキャスのママやでぇ・・・』


『ミミママぁ・・・』


 このやり取りを皮切りに、忘年会配信はトークで盛り上がる。

 こと四期生と五期生に関する質問が多かったようで、緊張した四期生の中には思わず舌をかみそうになる場面も見られた。


『マイカちゃんwww』


『もちつけwww』


「へふぅ……」


「ほらほら、マイカ。お水でも飲んで」


「すびばぜん」


『ぴょこらちゃんが完全に保護者やん』


『ぴょこまい、てえてえ』


『眼福眼福』


 ちょこちょこ挟まるちょっとしたハプニングも、リスナーたちは満足しているようだった。


「一番多かった五期生の話ですけれど、個人レベルならコラボはできているんですよね。私も一度行いましたし」


『そういえばそうだったな』


『でも、大勢はちょっと面倒そうか』


『パストリのシステム使ってなら数人はできるんだけどな』


『限度があるもんな』


「そこは社の方で何とかできないかと思ってはいるのですよね。こればかりはブイキャスからの報告をお待ちいただくしかありません」


『しゃーなし』


『みんなは悪くない』


 五期生の忘年会参加は、現状では不可能のようだった。

 こうやって話をしている間に、段々と配信終了時間が近付いてきた。


「おっと、そろそろお時間のようですね」


『もうかよ!』


『3時間はっや』


 ミミが終了予告をするとリスナーたちはびっくりしていたようだった。


「はい、私たちも名残惜しいのですけれどね。それでは、プレゼント企画の合言葉を発表します。タクミ、お願いしますね」


「おい、俺に振るのかよ!」


 発表を任されたタクミが、文句を言っている。


「あなただから任せるんです。キーワードの発表をお願いします」


「しょ、しょうがねえな……。プレゼント応募のためのキーワードは『ぴょこまいてえてえ』だ。誰だよ、これ選んだやつ」


『wwwww』


『草しか生えねえwwwwwwww』


『ワイのコメントやんけwww』


『採用おめ!www』


 最後の最後で大爆笑である。


「それではリスナーのみなさん、三時間お付き合い頂きありがとうございました」


「俺たちブイキャスのアバ信たちも、リスナーと交流できてよかったぜ。また来年も、応援よろしく頼む」


 これを皮切りとして、全員から一言コメントで配信の最後を締めくくる。


「では、リスナーのみなさん、よいお年を」


 最後は全員で挨拶をして、深々と頭を下げる場面で配信は終了したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ