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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
256/318

第256話 確定事項

「みなさま、おはようですわ。光月ルナでございます」


『おはよるな~』


『おはよるなー』


 マッハの配信があった翌日、満はいつものように配信を行っていた。


「あら、いつもに比べて同接者数が増えてますね」


 何気に配信画面を見た満は、同接者数の数字の異変に気が付いていた。


『今日は25万、話題性を考えればこれでも少ないな』


『昨日のマッハ様が48万だからなぁ』


「あら、マッハ様ってば配信をなさってらしたのですか」


 リスナーのコメントを見て、満は驚いている。


『ルナちはマイペースやなぁ』


『昨日のマッハは、年末の世界大会のメンバー発表をしてたんよ』


「そうでしたのね。それで僕の方にも人が流れてきていると、そういうわけですのね」


『そういうこっちゃ』


『でも、伸びが少ないんは今日が月曜やからやろな』


『ありえーる』


 リスナーの盛り上がりに光月ルナが相槌を打つという、だいたいいつもの流れで配信は始まっていた。

 最近いろいろあったせいで、話題の中心はやはりあれに集中しているようである。


『しかし、ルナちが世界デビューか』


『あ、でも、世界大会ってことは中の人が参加することになるんやな』


『くうう。つまり、参加者はルナちの素顔を見れるというのか、うらやましい・・・』


「そうですね。マッハ様が有名でいらっしゃいますので、僕もすぐに分かってしまうでしょうね」


『配信されるから、そこで確認するしかないか』


『中の人がさらされるって、アバ信的にどうなん?』


『4ぞ』


『やっぱかー・・・』


 リスナーたちは光月ルナの本体を直にみることのできる参加者たちを羨んでいるようである。

 ただ、アバター配信者の中の人ばれというのは、この界隈では御法度でもあるためにその心境は複雑のようである。


「よん?」


『あー、あの単語が入力規制対象なんでな、回避のために使われるんよ』


「なるほど、そういうことですか。完全に理解しましたわ」


 ネットのことに関して少々ばかり疎いらしいので、リスナーたちは丁寧に満に説明をしている。

 変な言葉遣いになっていた理由を知って、満は一応の理解をしたようである。


『【真家レニ】ちょっと、ルナち。あれってどういうことなの?!』


 話が落ち着いたかと思った頃に、なんと真家レニの乱入である。


「これは真家レニ様。一体どうなさいましたか?」


『【真家レニ】どうしたって、配管工レーシングの世界大会のことだよ。ルナち参加する?!』


「はい、その通りですわ。昨日マッハ様が発表なさったそうですね」


 完全に寝耳に水状態の真家レニに対して、満は実に淡々と答えている。相変わらずの落ち着きっぷりに、吸血鬼の真祖らしい雰囲気が出ている。


『【真家レニ】そっかぁ、あれってそういうことだったのか・・・』


「真家レニ様、あれってどういうことなのです?」


『【真家レニ】えっ?』


『【真家レニ】今のなしなし、独り言を間違って打ち込んじゃった』


『慌てるレニちゃん珍しいな』


『おk、スクショした』


『【真家レニ】なにしてるのよーっ!』


 光月ルナの配信そっちのけで、リスナーコメントが盛り上がっている。

 満も満でそれをじっと静観しているものだから、ますますリスナーコメントが盛り上がる。


「ご心配なく。コメント欄も含めた動きはアーカイブにアップしますから」


『さすがルナち』


『【真家レニ】ちょっとーっ?!』


 くすくすと笑いながらも、冷静に公開処刑宣言である。さすがにこれには真家レニは大慌てである。


「さて、話題を変えましょう」


『しれっと流していくな、ルナち』


「はい、僕の配信の本題ではありませんからね」


 リスナーのコメントにも冷静に淡々と対応する満である。


「本日はせっかく真家レニ様がいらしていらっしゃいますので……。どうでしょうか、ここは『SILVER BULLET SOLDIER』をプレイするというのは」


『定番すぐるwww』


『ワンパターンか・・・。だが、これがいい』


『やっぱルナちとレニちゃんが揃ったらこれよな』


 リスナーたちは期待のコメントを寄せている。


『【真家レニ】シルバレなら任せろーっ!!』


 満の誘いに、真家レニは思い切り乗っかっていた。

 どうやら、先程の独り言の打ち込みにかなり動揺しているようなのだ。失態を帳消しにできるのならやってやるよと、半ばやけにも似た感じで参戦してきていた。

 そして、始まったSILVER BULLET SOLDIERのプレイ配信。

 光月ルナと真家レニが組めば、誰もが苦戦するようなクエストの討伐対象も、まるで紙装甲のように削られていっていた。


『やっぱり二人が揃うと怖いな』


『なんで堅いクリーチャーもあっさり削り切れるのか・・・』


『すごすぎて笑いしか出ねえwww』


 あっという間に共闘クエストをふたつ消化してしまう。これでも十分しか経っていないというのだから怖いものだ。


『【真家レニ】はあ、すっきりした』


「お疲れ様でしたわ、真家レニ様」


『相変わらず気持ちいいくらいの爽快なプレイだ(白目)』


『同じゲーム、同じデータとは思えんのう・・・』


 リスナーたちはドン引きしているようだった。同時にクリーチャーたちがサクサクと吹き飛んでいく様子に爽快感も感じているようだ。

 もはやリスナーたちもこのよく分からない感じがクセになってきているようである。


「さて、そろそろいい時間のようですので、本日はこのくらいにしておきましょうか」


 満は時計を確認して配信を終了させることにする。


「みなさま、年末の配管工レーシングの世界大会、楽しみにしてい下さいませ。それでは、ごきげんよう」


『おつるな~』


『おつるなー』


『【真家レニ】ルナち、おつかれ~』


 この日の配信は、少々ハプニングはあったものの、無事になんとか終われたようだった。

 光月ルナの中身ばれの日までのカウントダウンが始まったことを気にも止めぬまま。

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