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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
214/321

第214話 大問題発生!?

「あ~つ~い~……」


 満は部屋で完全にダウンしていた。

 エアコンが入っているとはいっても、さすがに窓からの直射日光はきつかった。

 この日もまだ午前9時だというのに、すでに30度を超しているらしい。

 キャミソールにショートパンツ、髪型もポニーテールといかにも涼しそうな格好はしているが、それでも暑い。これが夏なのだ。

 そんなわけで、今日も満は女になっている。


「そろそろお盆かぁ。今年も墓参りに行くだろうし、お盆の間は配信はお休みかな」


 カップアイスを食べながら、満はカレンダーを見て呟いている。


「とりあえず、配信をお休みしてても大丈夫なように、いくつか動画を作っておこうかな。世貴兄さんが作ってくれた素材がたくさんあるし」


 満はパソコンに向かい、作業を始める。

 今はまだ日中ということで、SNSやチャンネルでの連絡は入れずに放置。吸血鬼キャラということで、暗くなるまでは活動できないからだ。

 ひとまずは動画の撮影をすることにする。

 今回、水着やらスイカやらが追加されたことで、光月ルナの屋敷の中にプールが追加されていた。

 しっかりとした石材で作られた四角いプールである。いや、屋外で特に手すりとかがないので人工池といった方がいいかもしれない。

 光月ルナの眷属であるクロワとサンを呼び出して、早速動画を一本作っていく。

 そういえば、クロワとサンもアップデートがされており、いろんな機能が追加されていた。

 なので、動画を作る前に試しとして、花火のモデルの中からねずみ花火を使ってみる。

 ルナを操作して火をつけると、その場でしゅるしゅると火を吐きながら回り始める。

 クロワとサンに追加された機能の中から、AIというモードがあったのでそれをONにしてみると、クロワとサンはぐるぐると周りねずみ花火を追いかけ始めた。動くものを捕らえようとする習性が発動したのである。


(うわぁ、こんなのどうやって追加したんだよ。世貴兄さん、そんな複雑なプログラム組めたっけ?!)


 満は動きを見ながら、世貴の恐ろしい能力に驚愕していた。

 本当に今年二十歳になったばかりの人なのか疑いたくなってくる。

 ねずみ花火はぐるぐると回っていたが、最後に破裂する。

 その際にはちゃんとパンッという音が鳴り、クロワとサンがびびってルナの後ろに隠れるというおまけまであった。


(世貴兄さんのこだわりが徹底してるなぁ……)


 あまりにも変態技術すぎて、満は感心を通り過ぎて呆れてしまっている。

 しかし、あまりにもクロワとサンが可愛すぎたために、この動画の投稿を決めた。

 他にも数種類の花火があったので試してみたものの、クロワとサンは思った以上に可愛いリアルな動きを見せていた。


 動画編集に熱中していると、部屋の扉がコンコンと音を立てる。

 音に気が付いた満が時計を見ると、昼の1時を回っていた。


「いっけない。お昼食べなきゃ!」


 あまりにも熱中し過ぎて、お昼の12時を過ぎてしまっていた。

 慌てて動画編集を保存すると、食べ終わったカップアイスとスプーンを持って部屋から出て行く。


「まったく。あまりにも遅いからつい呼びに来ちゃったわよ」


「ごめんなさい。あまりにもうちの子たちが可愛かったものだから、つい……」


「ああ、アバターだっけか。夢中になるのはいいけど、ちゃんとご飯は食べなきゃダメよ」


「はーい……」


 満は注意されてしょんぼりしていた。


 お昼を食べていると、母親から話が入る。


「今年も墓参りに行くわよ。それで、満に言っておかなきゃいけないことがあるの」


「うん、なんだろう」


 母親から真剣な表情を向けられている。


「実家にいる間は、女の子にならないようにしてほしいのよ。急に性別が変わっていたら、おじいちゃんおばあちゃんだけじゃなくて、他の親戚も驚いちゃうでしょ?」


「ああ~、そういえばそうだね。でも、僕に制御できるかなぁ……」


 母親からの無茶な要求である。

 満が女になってしまうのは、ルナが吸血欲求を持つことによるものだ。

 ただ、最近は満とルナの親和性が高まったからか、満がルナの方へと引っ張られつつある。そのため、吸血欲求によらず、女になることが増えてしまったのだ。

 さらに満の意識でコントロールができないので、これは余計に無茶な話というもの。

 しかし、孫に会える祖父母の楽しみを奪うわけにはいかない。さすがに満は悩んでしまう。


「何か方法を探してみるよ」


「ごめんなさいね。無茶なのは分かっているけど、あまり広めたくないからね」


 母親は満に一応謝罪をしていた。


「それと、お父さんがお盆休みに入ったらすぐに出発だから、しっかり準備しておいてね」


「……明日じゃん。無茶苦茶が過ぎるよう……」


 母親は満にとどめを刺す。

 そう、今年は曜日の配列からお盆休みが早まっているのだ。

 この事実を突きつけられた満は、腕を組んで唸りながら自分の部屋へと戻っていく。


「まったく困ったなぁ。明日が祝日で、あさってが土曜日。お父さんの性格上、絶対土曜日は休むはずだもんなぁ……」


 まったく頭の痛い現実である。

 女になってしまうという問題をどう解決して里帰りを乗り切るのか。満は無理難題に立ち向かわなければならなかった。

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