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VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
164/166

第164話 照れる満は可愛いらしい

「おはようですわ、みなさま。光月ルナでございます」


『おはよるなー』


『おはよるな~』


 満が配信を始めれば、みんなはいつもの挨拶で反応をしてくれる。

 すっかりリスナーとのやり取りも馴染んだものだ。


「本日の配信は、もう毎月の頭の定番となりました『月刊アバター配信者』ですわ」


『ああ、今月の頭だったな』


『おい、日付感覚』


『ルナちのおかげで、月の最初の週末なんだなって分かるんだよ』


 どうやらリスナーたちの一部は、満の配信で日付感覚を取り戻すらしい。なんとも笑えない状況のようだった。

 ただ、まだ中学生の満にはそのあたりのことはよく分からないようだ。


「みなさまがどういった状況なのかはちょっとよく分かりませんが、本日の僕の配信で少しでも元気になれたらと思いますわ」


『ルナち優しい』


『やっぱりママだよ、ルナちは』


 リスナーたちがいろいろとコメントを打ち込んでくるものの、満はとりあえず微笑ましく思いながら軽く流しておいた。


「では、本題に入りますわね」


 前置きもほどほどに、満は今日の配信のメインへと移る。


「今月購入しました『月刊アバター配信者』ですけれど、やはりVブロードキャスト社のことが大きく取り上げられておりましたね」


『ああ、ブイキャスの第五期生の話だっけか』


『社長のインタビューが四ページにもわたって載ってたな。どこにそんだけあるんだと思ったけど、ずいぶんと本気だったみたいだよな』


『みんなも思ったよりあの本読んでるじゃまいか』


『いやぁ~、ルナちが読んでるとなるとついな』


『わかるマン』


 リスナーたちのコメントを見る限り、やはり好きなアバター配信者の影響というのは受けてしまうものである。

 満の『SILVER BULLET SOLDIER』にしてもそうだからだ。真家レニの真似をしてみた結果、満自身もかなりはまっている状態になっている。

 まだまだランキングは低いものの、遊び始めて一年未満としてはかなり上達が早いと思われる。


「えっとですね。その社長のインタビューですが、僕もかなり興味深く読ませて頂きました。思わず寝過ごして今日の配信の告知が遅れてしまいましたわ」


『ああ、ルナちのSNSの告知が遅いなと思ったらそういうことか』


『ルナちも興味あるん?』


『アバター配信者なら興味あって当然じゃね?』


『ルナちも受けるん?』


 満の言葉に、いろいろと反応がある。


「ふふっ、僕は吸血鬼の真祖ですよ? どこかに所属するということはありませんわ。僕が中心なのですから」


『強気な発言キター!』


『やっぱりルナちはルナちよな』


 なぜか盛り上がるリスナーである。

 この盛り上がりには、さすがの満もちょっと困惑気味である。


「えっと、それでVブロードキャスト社の話題に戻しますね。書類審査は七月、二次審査を八月に行うみたいですね」


『まだ先だな』


『四期生がデビューしてまだ半年経っとらんから、余裕持たせたか』


『あー、なるほどね』


 満のひと言から、リスナーたちは勝手に盛り上がっていく。それだけリスナーたちもVブロードキャスト社の動向は気になっているようだ。


「今回の特徴は、本社以外からの配信を解禁するみたいですね」


『今までのネックだったところやな』


『完全防音の本社と違って、生活音が入りやすいのが難点やぞ』


『身バレはあり得るよな』


『会社のデータ使うやろから、セキュリティとか大変そうだな』


 またひと言でリスナーたちがいろいろと話を広げていく。

 特に生活音は満にとっても問題だ。

 アバター配信者の個人勢は、自室で配信していることが多い。

 満も配信を始めるにあたって、風斗や世貴からも結構口うるさく注意されたところだ。

 なので、カーテンもわざわざ二重にしてみたくらいだ。おかげで、満の配信には生活音はほぼ入ってこない。


「なるほど、本社だと移動が問題で、本社以外だと音が問題というわけなのですね」


『そうやなー』


『ルナちも音対策はしてるん?』


 唐突に音対策について話題が振られる満。

 だが、この程度では慌てないのが、吸血鬼の真祖ではないか。満は落ち着いて咳払いをひとつする。


「そうですわね。僕は吸血鬼ですから、太陽への対策をしなければなりません。そのためにカーテンは二重にしてありますから、自然と同時に音への対策もできていたようですわね」


『なるほど』


『カーテン二重はてうい』


『光を遮るほどなら、音も遮っちゃうのかー』


 驚きと納得にあふれたコメントに、満はついふふっと笑ってしまっていた。


『ルナちの笑い声、いただきましたー』


『かわいい』


『真祖とはいえ、見た目は少女。笑い方もかわいいのう・・・』


 リスナーたちの反応に、満は思わず顔を赤くしてしまう。


「お、おほん。お、おだてても何も出ませんでしてよ」


『照れてる』


『照れてるルナちはかわいい ¥5,000』


 照れただけでスパチャが飛んできた。さすがにこれにはさすがに困惑してしまう満なのである。


「で、では、もうそろそろお時間もよろしいですし、本日の配信はこれにて終了いたしますわ。みなさま、ごきげんよう」


『おつるなー』


『おつるな~』


 配信の終わりを告げる挨拶をすると、リスナーたちからいつもの挨拶が返ってくる。

 恥ずかしく思いながら、このコメントには安心する満なのであった。

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