表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VAMPIRE STREAMING  作者: 未羊
123/317

第123話 真家レニのあまりにも早い復活

「こんばんれに~」


『おおお、レニちゃんだ!』


『レニちゃんが復活だ!』


『今夜は祭りじゃあっ!』


 真家レニが挨拶をすると、リスナーがお祭り騒ぎになっている。

 先日休業宣言を出したばかりなので、早い復活に驚いているのである。


「ごめんね~。正直に話したら、なんかあっさり許してもらえちゃった。なので、いつもの配信ペースに戻しますね、これからもよろしく」


『もちろんだとも』


『応援しとるで!』


『【光月ルナ】真家レニ様、お帰りなさいませ』


「おっ、ルナちだ。ごめんね、心配かけちゃった」


『ルナちも反応したか』


『互いに推しだもんよ、そりゃそうよ』


 ルナが登場すると、真家レニの声が明るくなる。ついでにリスナーたちのコメントも勢いを増す。

 真家レニの動体視力をもっても、どうやら追い切れないくらいのスピードだ。


「にししし、嬉しいなあ。レニちゃんが追い切れないコメント欄なんて初めて見たよ」


 画面のコメント欄を凝視しながら、真家レニは嬉しそうに流れていくコメントを見ている。


『ちょっと待って。今までもかなりの速度だったことあるけど・・・?』


『あの凄まじいコメントを全部読んでたのか』


『さすがレニちゃんや・・・』


 真家レニの衝撃告白に、リスナーたちは戦慄していた。全部読まれていたとなると、あれこれ飛び出ていた妙な発言も、全部真家レニの知るところにあるということなのだから。


『こえええっ!』


『びびっとるのは妙な発言してた連中か』


『俺みたいに誠実な発言を心掛けておればよいのだよ』


『ははーっ、おみそれしました』


「ふふっ、よきに計らえ。にしししし……」


 当の真家レニはあまり気にしていないようである。寛大なアバター配信者で助かったというものだ。


「さーて、今日の話題は何がいいのかなぁ?」


『家族を説得した状況について』


「ごっめ~ん、それはちょっと教えられないかな。企業秘密ってやつだよ~」


『ですよねー』


 いきなり突っ込んだ話題だったが、真家レニはさらりと躱していた。さすがは個人勢ではそれなりに上位のアバター配信者である。

 真家レニはそもそもいろいろな能力が高い。FPSの技術もお絵描きの実力も、この話術だってかなりのものだ。

 アバター自体は奇抜で、口調だってそれほど好まれるというようなものではない。だけど、その話術があってこそ、これだけの立ち位置を確保できているのである。


『今後の目標について、聞いていい?』


「目標か~。レニちゃんはもっと上を目指すよ。アバ信界にこの人ありって伝説になるくらいになっちゃうんだから!」


 かなり大胆な目標を打ち出す真家レニである。


『でかく出たな、これは』


『うんうん、レニちゃんならやっぱりそのくらいしてもらわなきゃ』


『【光月ルナ】さすが真家レニ様ですわ』


「ルナちにそう言われると、照れちゃうな~。にしししし~」


 ルナのコメントが出た時には、真家レニは本当に嬉しそうな声で話していた。

 お互いにライバルであり、なにかと気になる相手なのだ。そんな相手から褒められれば、嬉しくなるというものである。


「質疑応答は、ちょっとセンシティブなところに切り込まれそうなので、ここでやめだぞ☆」


『せやな、プライバシーの侵害はよくない』


『まったくだな』


 真家レニがぴしゃりと拒否を示すと、聞きわけのよいリスナーたちはあっさりと質問をしなくなっていた。これがトップクラスの個人勢の力なのだろうか。


「うんうん、みんなが素直でレニちゃんは嬉しいぞ☆」


 気をよくしたのか、真家レニはいつものお絵かき画面を表示させる。


「よーし、みんなのリクエストにお答えしてイラストを描くよ。時間的に二つはいけるかな?」


『おおお、レニちゃんのお絵かき!』


『久しぶりの超絶技巧が見られるぞ、ひゃっほーい!』


 お絵描きと聞いて、リスナーたちは大興奮である。

 リクエストを受けて、真家レニは早速イラストを描き上げていく。

 配信をしている以上、応えられるリクエストの幅は狭い。リスナーたちもそこはきちんと理解しているので、あっという間に描き上げるイラストのネタが決まった。


「そりゃじゃいっくよ~。レニちゃんのスーパーテクニックをとくと見るのだ~っ!」


 真っ白なキャンバスに、真家レニの筆が走り始める。

 相変わらず妙な構図を無茶苦茶な位置から描き始めている。真家レニの頭の中は一体どうなっているのだろう。リスナーの誰もまったく理解できないというものだ。

 宣言通りに二枚のイラストをあっという間に描き上げてしまう。


『いつ見てもパねえ!』


『なんでそんなところから描いてちゃんと絵になるん?』


『これぞレニちゃん!』


「にししし、それじゃいつも通りPAICHATにアップしておくので、ゆっくり見て下さいね」


『もちのろん!』


『はあ、眼福眼福』


 真家レニもリスナーたちも、実に大満足のようだった。


「それでは、今回はお騒がしてごめんなさい。れにちゃんねるは毎週水・金・日の夜9時からだからね~。変更があったら、その時にはちゃんと告知しますね」


『りょ』


『告知助かる』


「ではでは、おつれに~」


『おつれに~』


『おつれにー』


 真家レニの配信再開記念配信は、特にトラブルもなく無事に終わったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ