『有国、泰山府君祭を修し、冥府での会議速記さること』速記談2068
勘解由長官藤原有国が若いころ、有国の父輔道が豊前守に任じられ、親子して任地に赴くとき、輔道が急に発病して、死んでしまった。有国は、死者をよみがえらせることができるという泰山府君祭を行ったところ、輔道は、半日ほどして生き返り、私がこの世に帰るに当たっては、冥府で会議が行われ、帰してもいいだろうということになったのだが、有国を召すべきだ、資格もなく泰山府君祭を行ったのだから、と言う冥官がいて、お前は危ないところだったのだ。しかし、別の冥官が、有国を罰するべきではない、父を思う心がそうさせたのだ、と言って、多くの冥官がこれに賛同したために、お前もこうして生きていられるのだ。そうそう、おもしろいのは、冥府にも速記官がいて、その会議の記録をとっていたのだ、などと言ったという。
教訓:泰山府君は、道鏡における冥府の神。仏教における冥府の主催者閻魔大王と同一視される。ギリシャ神話ならハデスに当たる。地獄の神ではない。