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11.顔合わせ



「――――という訳で、新たに協力してくれることになった五療くんです。皆さん、仲良くしてくださいね」



 五療くんと戦った翌日、私は沖久保さん達を集めて彼との顔合わせを行いました。


 顔合わせといってもクラスメイト同士なので、すでに見知ってはいますから言葉に語弊があるかもしれませんね。


 ともかく、五療くんと皆さんの顔合わせですが……結果はまあ、概ね予想通りの反応です。



「へぇ……結局、アンタもコイツに負けたわけね、ご愁傷様。ま、落ち込む事はないわよ。人間が化け物に勝てるわけない――――」


「ペラペラとよく喋るな。耳にキンキン響いて煩いんだけど?」


「…………は?」



 五療くんの言葉に青筋を立てて固まる沖久保さん。おそらく彼は勝手な仲間意識で話しかけられた事にイラっときたのでしょう。


 ああ見えて五療くんは低く見られる事を嫌いますから。



「聞こえなかったのか?ああ、それともそうやって威圧すれば黙るとでも?」


「……そうだったわ。アンタはそういうムカつく奴だった。人がせっかく歩み寄ってあげたってのに」


「別に歩み寄ってくれと頼んだ覚えはない。お前が勝手にやって勝手にムカついただけだろ」


「は?何それ、喧嘩売ってんの?いいわ、買ってあげる――――」



 互いに戦意が高まり、今にも掴みかかりそうな雰囲気が場に流れます。


 このまま二人のじゃれ合いを見ているのも面白いですが、これ以上は話が進みそうにありません。


 ですので、私は木匠くんと潮さんに目配せをしてそれぞれ五療くんと沖久保さんを羽交い締めで止めてもらいました。


 その際、五療くんを止めようとした木匠くんが反撃を受けて吹き飛ばされてしまいましたが、まあ、特に怪我をした訳でもなかったので問題はないでしょう。



「……さて、自己紹介も済んだことですし、これからの事についてのお話をしましょうか」


「これからの事ね……やっぱり他クラスに要求戦を仕掛けていくわけ?」



 全員が落ち着いたところでそう話を切り出すと、いの一番に反応を示し、問い返してきたのは沖久保さんです。



「ええ、クラスの掌握が終わり次第、仕掛けるつもりです。まあ、最初は少し趣向を凝らして様子見する予定ですが」


「ふーん?まあ、アンタの事だから色々考えてんでしょうけど、大丈夫なんでしょうね?」


「おや、大丈夫とは何のことでしょうか?」



 あえて惚けたように答えると、沖久保さんだけでなく、潮さんと木匠くん、それにここまで黙っていた和泉くんまでも呆れ、あるいは困ったような表情を浮かべました。



「はぁ……」


「……そこで惚けるから嫌われるのよ貴女は」


「真面目くさった話をしている中でそれはないと思うぞ」


「うーん……そこが姫のお茶目で可愛いところだと僕は思うけどね」



 確かに今から真面目な話をしようというのに惚けたのは良くなかったかもしれません。


 ですが、だからといって四人が四人とも私を責めなくても良いではないでしょうか。



「…………心配しなくとも大丈夫ですよ。約束を違えるつもりはありません」


「……何で少し膨れてんだよ。今のはどう考えてもお前が悪いだろ」


「うぅ……五療くんまで私を責めると?悲しいです……よよよ…………」



 泣くような仕草を見せると、五療くんはまるでゴミでも見るかのごとき視線を私へ向けてきます。


 その反応から察するに本心から嫌なのかもしれません。


 まあ、私としては面白いのでまだ止めるつもりはありませんが。



「はぁ……鬱陶しいからその噓泣きは止めろ」


「鬱陶しいだなんて……酷いです五療くん…………」


「あーあ、五療の奴が泣かした~いけないんだ~」


「え、沖久保さん?どうしたの、突然……」



 何かを思いついた表情を浮かべた沖久保さんがまるで小学生のような事を言い出し、潮さんが困惑した様子を見せています。


 おそらく沖久保さんは五療くんに意趣返しをしたかったのでしょう。


 さっきまでの呆れた顔はどこへやら、沖久保さんは嬉々とした表情で五療くんを弄っています。



「……チッ、面倒くさ。話す事がないなら俺は席に戻るぞ」


「え、何、逃げるの?逃げるんだ~?」


「…………このビッチが」


「…………は?……はぁぁぁっ!?」



 ぼそりと呟かれた五療くんの一言に沖久保さんが顔を真っ赤にして大声を上げます。


 そして、その後に「だ、誰がビッチよ!私はまだ――――」など、ぎゃあぎゃあと叫んでいましたが、それに取り合う事なく、五療くんが席に戻っていったところでチャイムが鳴り、今回は解散する運びとなりました。



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