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ピクシースパイス ―魔法少女大戦―  作者: 弥馬田 ぎゃん


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フゴウ・タカラという男

フゴウ・タカラは、世界皇帝と呼ばれる財界の首領ドンフゴウ・エンペリの16番目の妾の孫として、生まれた。

フゴウ・エンペリは、第二次世界大戦前生まれで、まず、不動産王とデイトレーダーとして、才気を発揮して財を成し、世界恐慌を敏感に察知し、売り抜ける事で乗り越えたのち、戦中のアメリカのオイルマネーを独占し、戦後は、多角的なグローバル経営で幾つもの会社を起業させては、成功させていった大人物であった。

彼は、引退する103歳まで、現役を貫き、世界一位の大富豪の座を守りきった。

彼の死後は、世界個人資産ランキングいわゆる長者番付の3位から23位をフゴウの名のつく一族がずっと独占していて、フゴウ・タカラの父は、その中で12位の座を死守していた。

そのまま順当に行けば、兄弟のいない一人っ子のフゴウ・タカラも世界で12番目の金持ちになれるはずだった。

しかし、父の所有するのは、ただの世界一のオモチャメーカーにゲーム会社だった為、跡取りとしてフゴウ・タカラは、常に不満を持っていた。

中学生時代の彼が成りたかった者は、オモチャメーカーの社長でもなく、ゲーム会社の社長でもなく、日本の少年漫画に出てくるようなザ・主人公だった。

しかし、彼は、少年漫画の主人公になるには、お金持ち過ぎた。恵まれ過ぎていた。

日本の少年漫画の主人公の王道は、獲得の物語だ。

秀でていない主人公が成長し、何かを獲得したり、問題を解決していくのに人は、感動する。

が、フゴウ・タカラは、その対極にいた。

何かを獲得しようとすれば、金持ちの為、何の苦労も葛藤もなく、すぐに入手できてしまう。問題が起これば、執事のポイリー・カタルシスが解決してしまう。

これでは、何の成長ドラマも起こりっこない。

と常日頃フゴウ・タカラは、思っていたが、彼の転機は、中学二年の頃に起こる。

親の会社が倒産して、学費が払えなくなった上級生が、フゴウ・タカラに目をつけ、毎日、ポケットマネーをよこせとカツアゲをするようになったのだ。

思わぬイジメの発生にフゴウ・タカラは、歓喜した。

イジメの被害に合うのは、ジャパニーズコミックの主人公の王道だからだ。

フゴウ・タカラは、イジメを自らを主人公に導く為のイベントやフラグだと考え、イジメられている事を執事のポイリー・カタルシスに秘密にし、師匠を待った。

こういう時、イジメに合っている主人公の前には、必ず、主人公を導く師匠のような者が現れ、過酷なトレーニングか何かで主人公に他とは違う不思議な力を授けてくれるはずなのだ。

しかし、いくら待っても、師匠のような導く存在は、フゴウ・タカラの前には、現れなかった。

その間、カツアゲするだけじゃなく、日常的に校舎裏で殴る蹴るのイジメは、続いた。

彼は、なるほどな。と思った。

この物語は、不思議な力授かる系じゃなく、スポ根だったのか。と――。

イジメられっ子がある日、突然、ボクシングに出会い、成長していく物語やMMAを始めたのをきっかけで、イジメっ子と友だちになる漫画も日本には、すでにあるし、そちらも王道と言えば、王道だ。

フゴウ・タカラは、一流のトレーナーを雇い、ありとあらゆる格闘技を習い始めた。

物語の主人公になるには、成長し、強くならなくてはいけない。

格闘技を習い始めて、3ヶ月が経過した頃、フゴウ・タカラは、初めてイジメっ子の暴力に抵抗した。

習った格闘技でイジメっ子を圧倒し、そこから新たな成長物語が始まるはずだった。が、

身長190cm超えのイジメっ子とのフィジカルの差、またフゴウ・タカラ自身の生来の格闘センスのなさと3対1という数的不利により、フゴウ・タカラは、いつもより、こっぴどくボコボコにされてしまう。

顔が腫れて、執事のポイリー・カタルシスにもごまかせなくなった帰り道――、フゴウ・タカラは、一人リムジンの後部座席で泣いた。

自分は、主人公ではなかった。ただの雑魚キャラだった。

その現実を自覚し、フゴウ・タカラは、ものすごく惨めな気持ちになり、家に帰るなり、自身のコレクションである少年漫画を全て焼き払い、捨てた。

現実は、漫画とは違った。

現実に正義の味方はおらず、イジメられる側とイジメる側しかいなかった。

このまま、雑魚キャラで終わってたまるか。

悲しみと悔しさの後にフゴウ・タカラを襲った感情は、とてつもない怒りだった。

おそらく、その時のフゴウ・タカラの精神状態は、まともではなかった。

翌日の放課後、フゴウ・タカラは、家から持ち出したダイヤモンドでできたメリケンサックでイジメっ子達に重症を負わせた。

当然、学校側から呼び出しをくらい、仕事で行けない彼の父親に代わって、執事のポイリー・カタルシスが平謝りし、なんとか相手側を示談で納得させた。

フゴウ・タカラは、罪にとわれず、学校側からの処分もなかった。

その帰り道、ポイリー・カタルシスの運転するリムジンの車内でポイリー・カタルシスに

「タカラ様、今回のイジメっ子との件ですが」

と話しかけられ、フゴウ・タカラは、むすっとして、そっぽを向き、車窓を眺めた。

「いけない事だと言うんだろ。ボクは、今日、やってはいけない事をやった。そんなのわかってるよ」

理屈では、わかっているが、フゴウ・タカラは、苛立ちを隠せない。

理屈ではないのだ。倫理的問題でもない。

イジメっ子をボコボコにして、何が悪いという感情の話なのだ。

つまるところ、何が正しく、正しくないかは、関係がないのだ。

しかし、フゴウ・タカラの予想に反して、ポイリー・カタルシスは、世の中の常識を諭したり、押しつけたりは、しなかった。

「いえ、今日、タカラ様は、やるべき事をなさいました。それは、フゴウ家の人間として正しい決断でした。タカラ様にイジメを行ったあの三人は、文科省に圧力をかけ、退学処分とし、どの高校への進学もさせませんし、大検を受けても、大学には入れさせません。彼らの親の勤める会社にも圧力をかけ、彼らの親は、全員、クビにし、再就職はさせません。フゴウ家に逆らった者には、一人残らず、社会の底辺に堕ちてもらいます」


「なんで、そこまで………そこまでする必要は、ないんじゃないか?」

普段、優しい執事の横暴的な発言にフゴウ・タカラは、若干の畏怖を感じる。

それは、彼がまだ見たことのないフゴウ家の世界の入り口だった。


「タカラ様。いい機会ですから、お話ししますが、この世には、踏みにじる者と踏みにじられる者の2種類の人間しかいません。そして、フゴウ家の人間は、踏みにじる側の人間でなくてはいけません。フゴウ家が今まで築き上げた栄光を他者に踏みにじられ、軽んじられては、いけないのです。フゴウ家は、未来永劫強く、世界の頂点に君臨し続けなければ、いけません」


「どうして?」

頂点だとか君臨だとか、フゴウ家とか、タカラには、リアリティの無い言葉だった。親や祖父のおかげで裕福な暮らしは、させてもらっているが、フゴウ・タカラは、フゴウ本家ではない。妾の血脈で彼が継承するのは、所詮、世界12位の座だ。フゴウ本家のトップの人間でさえ、世界3位だ。一族全ての財産を足せば、世界のトップに届くが、それで本当の頂点だと言えるだろうか。自分は、金持ちだが、上には上がいる。君臨する立場の人間である自覚もなければ、別にそうありたいとも思っていなかった。

欲しいものが、当然のように手に入る。

彼にとっては、それで十分で、支配欲はなく、帝王学とは、無縁でできれば、いつまでも子どもでいて、働きたくないぐらいだった。


「踏みにじられる立場の人間になってしまえば、今まで当然のように手にしていたものを失うからです。踏みにじる者に奪われ、搾取され、媚びへつらう事でしか生きていけない。誰にも頭を下げることなく、胸を張り、大手を振って、歩き続けるのは、誰にもできる事ではありません。あなたには、その権利や権力があるのに、それを放棄して、生きるのは、愚かな行為です。本来なら自分が踏みつける立場の人間に自ら頭を差し出し、踏みつけられにいく必要がありますか?踏みにじられる前に踏みにじる。そうする事でしか真の平和や平穏のある生活は、手にする事ができません。タカラ様がどんな理想をお持ちなのかは、私には、わかりませんが、その理想もより強い立場に立たねば、叶える事ができないでしょう。弱い立場の人間は、理想を叶えるどころか、理想を浮かべることすらはばかられます。現実が理想を押し潰してくるからです。現実に自分が踏みにじらる感覚を味わい、それに耐え難い怒りを感じたから、タカラ様は、今回、彼らを踏みにじったのでは?」


「あいつらは、悪もんだったからさ。自分以外の全ての人間を踏みにじる必要なんて、無いだろう?ボクは、正義の味方、ヒーロー、主人公でいたいんだ。何もかも踏みにじるなんて、主人公性に欠けるから、ボクは、なるべくやりたくないな。それがフゴウ家のやり方であっても」


「タカラ様。現実は、漫画とは違います。現実のヒーローは、汚い仕事もしているものです。花を踏みつけて、一歩進まねば、誰もあなたの作り上げた理想の道を進むことは、できないのです。もしも、あなたが花を踏みつけず、きれいな道ばかり選んで進めば、その分、周りの人間が汚れることになります。そして、周りの人間があなたの為に汚れ仕事をするのは、あなたに力があるから、あなたがフゴウ家の人間だからです。あなたがフゴウ家の人間でなければ、誰もあなたの代わりに汚れ仕事をする者がおらず、あなたは、勝手に汚れていき、誰かに踏みにじられる立場になります。どんな理想を叶えるにも、フゴウ家の人間で居続けるのが、一番です。フゴウ家の人間で居続ける為にあなたは、これからきれいな花以外もたくさん、踏みつけ、踏みにじり続けることになるでしょう。しかし、それでも構わず、進んでいくのです。きれいな道ばかり選んでいれば、すぐに行き詰まりますが、道に咲く花さえ気にしなければ、いくらでも進むことができます。タカラ様、どうか平気で踏みにじる人間になって下さい。その分、私も一緒に汚れますので」

そう言う執事ポイリー・カタルシスは、実のところ、フゴウ・タカラの遺伝学上の父親であった。

フゴウ・タカラは、生涯その事を知ることは、なかったが、ポイリー・カタルシスもフゴウ家に愛を踏みにじられた者の一人だったのだ。

フゴウ・タカラの母の世話係だったポイリー・カタルシスは、一度だけタカラの母と関係を持ち、タカラの母は、妊娠したが、フゴウ家の権力拡大の為にタカラの戸籍上の父親と無理矢理、結婚させられた。

その事実を知るのは、フゴウ・タカラの母は、すでに病で他界しているので、ポイリーただ一人である。

ポイリー・カタルシスは、自らの実の息子を使い、フゴウ家への復讐をひそかに企てていた。

しかし、そんな事は、知らずにフゴウ・タカラは、ポイリー・カタルシスに徹底した教育を受け、18歳を迎え、大人になった。

と同時に彼の戸籍上の父親でフゴウ家に婿養子に入ったフゴウ・コトブキが原因不明の病で入院する。


「タカラ、私にもしもの事があれば、会社のことは、頼んだぞ。子どもたちの笑顔を守ってくれ」

フゴウ・コトブキは、病床でフゴウ・タカラと厚い握手を交わした。


「大丈夫だよ、父さん。フゴウ・トイズカンパニーならフゴウコーポレーションに会社名を変えて、軍事兵器を作りまくり、人をたくっさん、ぶっ殺しまくるからね♪」


「は?何を言っているんだ?タカラ?」


「何って、オモチャ会社じゃボクがヒーローになる為のヒーロースーツが作れないからね。まずは、軍事兵器部門を作って、世界中から超一流の化学者達を金にものを言わせて、集めるところから始めるのさ」

フゴウ・タカラは、そう言って、フゴウ・コトブキと握手したまま、無邪気な笑顔を向ける。


「ふざけるな!そんな事させて、たまるか!!ポイリー、何を黙って突っ立っている!弁護士を呼べ!今すぐ、遺言を書き変える!!」


「………………」

完全個室の病室にフゴウ親子二人以外にいるのは、ポイリー・カタルシスだけで、彼は、直立不動で動かなかった。


「ポイリー!!裏切ったのか!?」


「ポイリーは、元々、あんたの執事じゃなくて、ボクの執事だろ?父さん。ポイリーは、裏切ってなんかいない。むしろ、主人のボクに忠誠を尽くしている。ああ、いくら大声を上げても、誰も来やしないよ。病院側の人間は、全て買収済みだからね。何せ、あんたが死んだら、あんたの財産は、全部、ボクのものになる」

タカラに言われて、コトブキは、急に心の臓が痛みだし、寝たまま胸を押さえる。


「お前、私の体に何をした!?どうして……どうして、実の父親にこんな事ができるんだ!?」

フゴウ・コトブキの振り絞ったその問いに、

フゴウ・タカラは、彼の耳元に口を寄せ、


「不思議な話だが、あんたを父親だと思った事は、一度もない」


ささやいた。

心電図が激しく揺れ、ピーという音と共に横一線の平らになり、フゴウ・コトブキは、絶命した。

こうして、軍事兵器会社フゴウコーポレーションは、誕生した。


フゴウ・タカラは、29歳の頃に世界第2位の個人資産額を所有し、一族のトップに立つ。

そして、念願である自らが漫画の主人公のようになる為のヒーロースーツ・ダイヤモンドダストを完成させる。

しかし、フゴウ・タカラがヒーローになるには、一つ大きな障害があった。

その時には、すでに日本の平和を守るヒーローとして、すでに魔法少女たちが存在していたのだ。

「どうすればいいと思う?ポイリー?」


「最近、完成したばかりのウイルス兵器を使いましょう」

とポイリーは、フゴウ・タカラに即答した。


「ウイルス兵器ぃ?」

とフゴウ・タカラは、予想外の返答にフゴウコーポレーションの社長室の椅子から、ずり落ちそうになる。


「はい、人の精神に作用する我が社の新兵器。サタンソースとブレイブハートを使いましょう。いえ、今回は、人を悪人に変えるだけなので、サタンソースのみだけで事足りるでしょう」

ポイリー・カタルシスの提案に半信半疑で乗り、フゴウ・タカラが後日、総理大臣室で泉 総一郎に会うと、

泉 総一郎は、

「その提案、乗ろう。一匹残らず、あの人外供の魔法少女をぶち殺せ」

とすでに全くの別人に変わっていた。


「では、ジャパンストロンガーズ計画は、進めてもよろしいので?」

とフゴウ・タカラが念押しすると、

「ああ、認可する」

と泉は、デクのようにフゴウ・タカラの望むままに答えた。


ジャパンストロンガーズの人選が終わり、彼らのオートクチュールのダイヤモンド繊維の戦闘スーツが出来上がるまで、計画始動に時間がかかると思われた頃、

例の魔法少女狩りが始まる。

「ボクら以外に魔法少女を殺そうと考える奴がいるとはな。ポイリー、魔法少女狩りの正体は、もう、わかったのか?」


「はい、まさに、その事でご報告したい事が」

とポイリー・カタルシスは、フゴウコーポレーションの社長室でタカラに電子パッドで資料を提出した。

「武器倉庫の在庫管理データが何者かの手によって、改ざんされています。調べましたところ、監視カメラ映像にも侵入者が入った形跡は、残っていませんでしたが、あきらかに我が社の最新白兵戦用装備品が盗まれています」


「それが、魔法少女狩りと何の関係がある?」

勘の悪いフゴウ・タカラは、ポイリーが何を言わんとしているのか理解できなかった。


「その窃盗犯ですが、我が社の元社員、蝉川秀一と魔法少女適性試験の落第生、加鳥花子の二人で間違いないようです。覚えていませんか?彼のこと。タカラ様も営業部で何度か顔を合わせた事があり、当時、ニュースでも取り上げられていたんですが……」


「何の事だ?誰なんだ?このおっさんは?」


「蝉川秀一は、大魔人会の首領ドボスとの最終決戦で使用された魔法少女達の最上級魔法マジカル テラ・アトミック ビッグバンの唯一の民間人犠牲者蝉川愛子さんの父親です」

とポイリーに言われ、

フゴウ・タカラは、

「フハハハッ!!ハーハッハッハ!!ひゃっ!ひゃっ!!」

と大爆笑する。

「という事は、何か?このおっさん、娘の復讐の為に魔法少女を殺してまわってるって事か?ひゃっひゃっ。ウケる。ボクより主人公してるじゃないか。最近の流行りのストーリーだな」


「いかがいたしましょう?」

とポイリーに聞かれ、


「とことん利用してやろう」

とフゴウ・タカラは、答える。

「娘さんの事に心底、同情したとか言って、こちらから協力を願い出てやれ。魔法少女を何人か殺させ、いい頃合いを見計らって、奴には、魔法少女達を殺したヴィランとして、死んでもらおう。ボクのヒーローデビューの口実として、使える。裏でボク達が魔法少女を殺して回るよりそちらの方がずっと自然だ。自然な物語の導入になる」


「利用して、殺す必要は、ありますか?ヒーローとして、彼を捕まえるだけでは、不十分ですか?」

そう言うポイリーを信じられないものを見るような目を向け、

フゴウ・タカラは、

「何を言っているんだ?ポイリー。物語に主人公が二人いたら、ややこしいだろ。それに忘れたのか?」

と問う。

「ボクらは、道にきれいな花があったら、踏みにじらなきゃならい。何故なら、ボクらは、踏みにじられる側じゃなく、踏みにじる側で、強者で、正義で、主人公だからだ。これは、人々を正しい方向へ導く強者としての必要最低限の汚れ仕事。尊い犠牲になるのが、彼らの役割、彼らの生まれてきた意味、彼らは、ボクらに踏みにじられる為に生まれてきたんだから、彼らの存在を無意味にしない為にもとことん利用して、掃き捨ててやらくちゃ。そうだろ?ポイリー、君がボクに教えたことじゃないか」

失望させるなよとフゴウ・タカラは、ポイリーの肩をポンポンと2回叩く。

ポイリー・カタルシスは、返す言葉がなかった。

かつて、少年漫画に出てくる正義の味方のようなわかりやすい主人公を目指していた少年の面影はなく、フゴウ・タカラは、精神のねじ曲がった悪へと成長していた。

それは、決してサタンソースのせいではなく、我々が見ていない彼自身がした多くの人生での選択の結果だった。

救いようがないのは、彼自身が未だに自分を正義の味方の主人公だと疑っていない事だった。

これがこの物語で語るべき、フゴウ・タカラという男のすべてである。

彼は、死ぬ。

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