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ピクシースパイス ―魔法少女大戦―  作者: 弥馬田 ぎゃん


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マジカル テラ・アトミック スパイスストリングス

フゴウ・タカラは、突如、現れたモブキャラ・荒巻則夫をダイヤモンドブルーレーザーで焼き払って、物語から退場させた。

その場に残ったのは、戦闘不能となった白い虎・魔人少女キメラタイガーと復讐のクラーケンマン蝉川秀一と隻腕の魔法少女・ピクシーブルーファイアと最弱の魔法少女・ピクシースパイス。

そして、それに向かい合う形で立つダイヤモンドダストMk19を装着し、魔人化もしているフゴウ・タカラと彼の執事のポイリー・カタルシスと人質の古生白子。

フゴウ・タカラの共振発生装置の付いたダイヤモンドダストMk19の左手パーツは、未だにピクシースパイス古生小梅の母親の古生白子の頭部を無遠慮に鷲掴んでいる。


「ピクシースパイス。何をしている?さっさと、ブルーファイアと蝉川秀一と殺し合えよ」

とフゴウ・タカラの要求は変わらないかに思えたが、

フゴウ・タカラは、

「なんてな」

と声を弾ませ、

「そんな事、最弱の魔法少女のお前には、できっこないだろう。他二人に比べ、お前の戦闘力は、低すぎるからな」

とピクシースパイスをバカにし、人質にとっていた古生白子を乱暴に地面に投げ捨てた。


「いやっ!!」

と地面に手をつき、四つん這いになる古生白子に

古生小梅ピクシースパイスは、

「お母さん!!」

と駆け寄ろうとするが、急に息苦しくなり、胸を抑えて、その場で膝をつく。

「ゴッホゴッホ!!」

と咳き込み、蝉川秀一もブルーファイアも呼吸困難に襲われ、次々と地面に膝をついた。


「そろそろ、効いてきたようだな」とフゴウ・タカラ。

「ええ、そのようで」とポイリー・カタルシス。

彼らの前の古生白子は、地面にへばりつき、虫の息でピクシースパイス達より重症だ。


「フゴウ・タカラァ!!私達に何をした!?」

喉の奥から鉄臭い匂いと味を感じながら、ピクシースパイスは、声を振り絞った。


フゴウ・タカラは、その様子に

「ふふん♪」

と満足そうに笑う。

「ボクがダイヤモンドダストで飛行する時、いつもキラキラと光る鱗粉のような光の粒を撒いていただろう?あれは、ナノ粒子並の大きさの小さな小さなダイヤモンドの粒、ダイヤモンドパウダーだったんだよ。つまり、お前らは、ボクと同じ戦場にいる間中、ずっと呼吸する度、自分の肺をナノ粒子ダイヤモンドパウダーで傷つけていたんだよ。つまり、ボクは、時間さえ経過するのを待てば、どんなに不利な状況になろうが、最初から勝確だったワケだ」


フゴウ・タカラがネタばらしする間に次々と蝉川もブルーファイアもその場に倒れてしまう。

辛うじて、膝立ちし、胸を抑えて、耐えているのは、ピクシースパイスだけだ。

そのピクシースパイスに向け、

フゴウ・タカラは、

「イージーゲェーム!!」

と大きく胸を張り、両手を広げて、見せる。

「タカラ様、貴方にお仕えできて、幸せでした…」

とポイリー・カタルシスが血反吐を吐いて、倒れても、彼は、一切、気にする様子もなく、

「正義は、最後には、必ず勝つ!!」

と勝ち誇った。


「お前のどこが正義なんだ?」

ピクシースパイスは、苦しそうに胸を抑えたまま、油汗を出し、訊ねる。


それを目の前で小躍りしながら、心底バカにして、

「だぁ〜か〜らっ、頭が悪いな。最後に生き残った勝者を人々は、正義と呼ぶんだよん」

とフゴウ・タカラは、ピクシースパイスの苦しむ姿を撮影し続けた。


「だったら、お前は、正義じゃない」

とピクシースパイスは、生気のある目でフゴウ・タカラを睨みつけた。


「何を戯言たわごとを」

とフゴウ・タカラは、ピクシースパイスを生意気に感じて、ダイヤモンドブルーレーザーの照準を彼女に合わせた。

しかし、ブルーファイアの能力の上位互換であるダイヤモンドブルーレーザーを照射する前にピクシースパイスの魔法障壁で作ったブロックがダイヤモンドダストMk19の胸部に炸裂――。フゴウ・タカラは、弾き飛ばされた。

そのあまりの衝撃にダイヤモンドマスクの内側のモニター画面がエラーの文字を警戒音と共に点滅させる。

突然のことで何が起こったわからないフゴウ・タカラが状況を確認しようと身を起こした時、すでにそこは、ピクシースパイスが作り出した魔法障壁に上下左右前後ろを囲まれた魔法障壁のボックスの中だった。

「クソッ、何だ!!これは!?」

フゴウ・タカラは、スライスラーの能力を強化した空気をも切り裂く超振動ナイフで魔法障壁のボックスから脱出を試みるも、ピクシースパイスの何重にも重ねて強化した魔法障壁は傷一つつかず、びくともしなかった。


その間にピクシースパイスは、新たな魔法を発動させる。

「マジカル テラ・アトミック スパイスストリングス!!」

ピクシースパイスを中心として、網目状のピンクの光の糸がドーム型に広がり、フゴウ・コーポレーション本社を全て飲み込む大きさまで膨張したかと思うと、一瞬で消失した。

自分のところまで迫ってくる謎の網目状の光の糸にフゴウ・タカラは、身をすくませていたが、通過し、一瞬でそれが消失したのを確認すると、

「今のは、なんだ?魔法の発動に失敗したのか?いや、それより」

とピクシースパイスを睨みつける。

「お前、何故、動ける?」


ピクシースパイスは、もうすでに平然と立ち、マジカルステッキを使えるほど、自由に動けるようになっていた。

「あんたが、わざわざナノ粒子ダイヤモンドパウダーが原因だって、ベラベラとバラしてくれたからね。肺の中にある全てのダイヤモンドパウダーは、極小の魔法障壁で作ったボックスで包んで、全て体外へ除去させてもらったわよ」

ピクシースパイスがそう言っている間に、

ゴッホゴッホと咳をしながら、古生白子が立ち上がる。

母親の肺の中のナノ粒子ダイヤモンドパウダーもピクシースパイスは、すでに除去していた。


その事実にフゴウ・タカラは、頭が追いつかない。

「バカな。こんなバカな事が、あってたまるか。ナノレベルのダイヤモンド粒子を一粒残さず、除去したというのか?そんな精密動作、ナノレベルの魔法障壁を作れるなんて……」

フゴウ・タカラは、閉じ込められた魔法障壁のボックスの中から改めて、最弱の魔法少女と呼ばれていたピクシースパイスをまじまじと見た。

「お前、何故、今まで、そんな才能を隠し持っていた?」


その問いにピクシースパイスは、

「才能じゃない……ただの努力よ」

と師匠であるピクシーブロックを思い浮かべながら、答えた。


「クソ!まだ負けじゃない!負けじゃないぞ!!」

フゴウ・タカラは、往生際悪く、ダイヤモンドブルーレーザーで自らを閉じ込める魔法障壁のボックスを切断しようとした。

が、ダイヤモンドブルーレーザーを使おうとした時、照射口である右手パーツが彼には、無かった。

見ると、右手パーツは、フゴウ・タカラの右手ごとバラバラに寸断され、魔法障壁のボックス内の地面に落ちていた。

それに気づくと、フゴウ・タカラの身体は、次々と時間差で細切れになり、ぼとぼと地面に落ちていった。

フゴウ・タカラは、あっという間に胴体と頭部だけになってしまった。

ピクシースパイスの発動した魔法障壁を凝縮して、高圧縮して作った糸、マジカル テラ・アトミック スパイスストリングスで切断されたことに彼自身の身体が今まで気づいていなかったのだ。

それは、例えるなら、豆腐をピアノ線が通過したようなものだった。

もはや、この勝負にフゴウ・タカラの勝ちは無い状況だが、フゴウ・タカラは、諦めなかった。

クラーケンマンの魔人細胞のおかげで彼は、身体がバラバラになっても、死ぬことはない。

彼は、力の限り、声を張り上げた。

「俺には、まだダイヤモンドダストがある!!来い!!Mk20!!」

しかし、いつもなら、マッハの速さで彼の元に到着するダイヤモンドダストは、いくら待っても、来なかった。

「どうした!?何故、俺の声に反応しない!?クソ!なら、Mk21!!」


………………応答なし。


「Mk22!!Mk23!!」


………………応答なし。


「何故、来ない!!何故、来ないんだ!!?」

のたうち回るフゴウ・タカラを不憫に思い、

ピクシースパイスは、


「フゴウコーポレーションにある兵器なら全て切断したわよ」


と教えてやる。


「バカな!?フゴウコーポレーション本社の兵器全てだと!?この広範囲を一度に全て切断する魔法などあるものか!!」

フゴウ・タカラは、信じようとはしなかったが、

ピクシースパイスは、悲しげに


「全部じゃないわよ。二度と蝉川愛子さんのような悲劇は、繰り返さない」


と言った。

その意味を深く理解しようとしないフゴウ・タカラは、足掻き喚く。自身が生きている理由もわからずに――。殺せるのに、ピクシースパイスが殺そうとしなかった事実を見ようともしなかった。

「この広範囲を兵器だけを狙って、あの糸で切断したというのか!?この化け物め!!」

と言い放つ。


「降参しなさい。フゴウ・タカラ。メディアの前であんた達、偽物のヒーローが今までやって来た事を吐けば、命だけは、取らないであげるわ」

ピクシースパイスは、できるだけ優しい声音を作って、言った。


しかし、フゴウ・タカラは、態度を改めず、あくまでピクシースパイスをバカにした調子で

「フフフ……、それでお前は、無事、魔法少女に返り咲けるとでも思っているのか?甘いな」

と言う。

「フゴウコーポレーションの化学技術力をナメるなよ。フゴウコーポレーションの化学技術力は、世界一だ。ボクには、まだ、この形勢を逆転できる兵器がある」


「だから、フゴウコーポレーションにある兵器なら、さっき私が全て」

ピクシースパイスの言葉をフゴウ・タカラは、最後まで待たず、


「お前がまだ破壊していない兵器がこちらには、あるのさ。いや、場所がわかっても、決して、破壊できない兵器がな」


とやたらと自信満々にもったいつける。


  ?


当然、ピクシースパイスには、その真意が掴めない。

場所がわかっても、破壊できない兵器とは、何か?


「ボクの持つ最終兵器は、レーザーやロボットやミサイルや爆弾じゃない。ウイルスだよ」


  !!


ピクシースパイスは、息を飲んだ。

彼女一人では、とても対処できない脅威として、フゴウ・タカラの吐く言葉には、重みがあった。


「今度は、お前の母親じゃなくて、全世界が人質だ。さぁ、どうする?ピクシースパイス」

フゴウ・タカラは、圧倒的優位に立った者が見せる傲慢で邪な人間の負の感情をその面に遠慮なく浮かび上がらせ、口角をわなわなと揺らして、心底、楽しそうに笑った。

そこには、イジメる者とイジメられる者しかいない。

踏みにじる者と踏みにじられる者しか。

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