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ピクシースパイス ―魔法少女大戦―  作者: 弥馬田 ぎゃん


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46/54

世界一どうでもいい回想

今回の話は、本編とは何の関係もありません。

読まずに飛ばして、次の話から読むことをオススメします。

次の話がまだ掲載されてない場合は、申し訳ありませんが、次回更新日までお待ち下さい。

荒巻則夫は、中学時代、イジメられていた。

小学校高学年ですでに大人ほどの身長があり、実家が相撲部屋だった為、中学に上がると共に上級生の不良達に目をつけられた。

「なんだぁ?こいつ、でかい癖にクソ弱いぞ。デクだ。デク」

それまでケンカなどやったことのなかった荒巻則夫は、上級生の不良達に成すすべなく、毎日のようにボコボコに殴られ、カツアゲされた。月三万円のこづかいがなくなると、さらに殴られ、使用済みモップで顔を洗われるなどのさらに酷い目にあった。

やがて、上級生だけでなく、今まで荒巻則夫の体格にビビっていた同じ小学校出身の同級生までもが、イジメに参加し、荒巻則夫を虐げるようになる。

荷物持ちをさせたり、一人で掃除当番をさせたり、悪口を言うのは、当たり前で荒巻則夫の髪を切って、変な髪型にさせ、笑い者にするという事までやった。

荒巻則夫は、学校に行かなくなった。

見かねた彼の父親、元大横綱 荒巻山は、彼を相撲部屋に入れ、鍛えることにした。

彼の父親は、親方として自らの子供に対しても、容赦しなかった。先輩力士のいわゆるかわいがり行為を黙認し、彼が強くなるのを待った。

が、荒巻則夫は、いくら食べても、稽古をしても身体がいっさい成長期にも関わらず、力士らしい太くでかい体型なる事なく、また相撲の技術も向上せず、いつまで経っても、弱いままだった。

彼は、挫けて、相撲部屋を辞め、完全な引きこもりになり、一日中、自分の部屋で格闘ゲームをするネトゲ廃人になる。

彼の父、荒巻山は、憤慨し、彼に部屋を出て、まともな生活をしようと心を入れ替えるまで一切の食事を与えないという暴挙に出るが、本当に飢え死にしかけた彼にネグレクトだ、殺人罪だ、マスコミに訴えてやると脅され、観念して、彼に食事を与え、最終的に引きこもり生活を容認することにした。

一時的にではあるが、飢餓状態に陥った彼の体は、栄養を溜め込むようになり、不摂生な生活を続ける彼は、あっという間に太っていき、二十歳を超える頃には、力士並の体格の立派なデブになっていた。

その後も格闘ゲームに打ち込み続け、ネットで世界ランカーになった彼は、eスポーツ大会に出たくなり、ある日、自分から実家の外に出る。

久し振りの街中は、彼を人酔いさせ、油汗まみれにした。なんだか落ち着かず、すべての人が敵に見え、軽いパニック症状を起こし、息が苦しくなり、彼は、歩道の真ん中でへなへなとしゃがみ込んだ。

周囲の喧騒が激しくなるのも気づかず、その場でじっと動かずにいると、いつの間にか、そこは、戦場になっていた。

魔人と魔法少女の戦いが始まり、逃げ惑う人々――、彼は、だいぶ遅れて、その状況に気づくが、圧倒的に重い体重が邪魔して、すぐには、立ち上がれない。

しゃがみ込んでいる彼にカマキリの魔人の刃が襲いかかる。

そこに立ち塞がる一人の魔法少女。

ピクシースパイスは、スパイス魔法をかけ、カマキリの魔人の動きを停止させた。

ピンクの髪をひらつかせて、ピクシースパイスは、荒巻則夫の方へ振り返った。

「大丈夫?」

荒巻則夫は、動悸が激しく、返事ができなかった。

初恋だった。

ピクシースパイスに命を救われてから、彼は、魔法少女ヲタクになり、積極的にファンイベントに参加し、課金して、課金して、課金しまくり、彼女と何度も握手を交わした。

「いつも来てくれて、ありがとう」

という握手会でのピクシースパイスの甘い言葉に顔を覚えられている事に歓喜し、ピクシースパイスも自分に惚れているのではないかという妄想を荒巻則夫は、抱くようになっていた。

そんなある日、彼は、ピクシースパイスコラボ携帯を購入した帰り道の公園で転売目的の金属バットを持った不良達に襲われ、ピクシースパイスコラボ携帯を奪われる。

「やめてくれ!!それは、僕にとって、とても大事なものなんだ!!」

中学時代のイジメがフラッシュバックし、荒巻則夫は、泣きながら、抵抗する。

それを囲んで、不良達は、金属バットでタコ殴りにした。しゃがみ込んで、頭をガードし、丸まる荒巻則夫を不良達は、何度も踏みつけ、蹴りつけた。

が、痛くなかった。最初こそ、びーびーと泣いていた荒巻則夫であったが、彼らの攻撃がまるで自分に通じないとわかると、

〝愛のパワーだ。遠くにいるピクシースパイスちゃんが僕ちんのピンチにマジカルパワーを分けてくれているんだ〟というわけのわからない妄想に取り憑かれ、鼻息荒く立ち上がった。

脂肪という鎧をまとった魔法少女ヲタクは、怒りが沸々と沸いてきて、

「僕ちんのスパイスちゃんを返せ!!」

と不良達に襲いかかった。

初めての戦いだったが、気づけば、血だらけで倒れていたのは、不良達の方で彼らが持っていた金属バットは、くの字型に折れ曲がって、ひしゃげていた。

「フヒューフヒューふひゅーふひゅー」

荒巻則夫は、アドレナリンの出ている興奮状態でふわふわと熱い頭のまま、自宅に帰還するも、

冷静になって、あれは、自分がやったのは、傷害罪になるのではないかと不安にかられた。

いや、正当防衛のはずだ。と思いながらも、荒巻則夫は、さっそく、ピクシースパイスコラボ携帯で

〝ピクシースパイスコラボスマホ 不良 襲撃〟

と検索していた。

すると、自分以外にも全国で発売日当日に襲われ、魔法少女コラボ携帯を奪われたたくさんの魔法少女ヲタクの被害者がいると知る。

荒巻則夫は、憤慨した。

そして、次に彼が思ったのは、


自分なら、彼らを救えるのではないか?


ということだった。


いや、もしも今日のように戦えるのなら、助けるだけでなく、彼らの奪われた魔法少女コラボ携帯を取り戻せるかもしれない。


こうして、彼は、ヴィジランテとなった。

ヲタク達を不良達から守る際にマスクで顔を隠していたが、いつもお気に入りのSLAMPのロゴの入った白い翼を模した飾りの付いた帽子を被っていた為、

Mr.スランプと呼ばれ、それが彼のヴィジランテ名になった。

しかし、殺すつもりはなかったが、事故的に何人も不良達を殴り殺してしまう。

彼は、荒巻則夫は、警察から追われるようになった。

その逃亡生活中、お腹が減って、もう戦えない状態の時に運悪く馬の魔人ゼブラに襲われてしまう。

そこに助けに現れたのが、またしても、ピクシースパイスだった。

その頃には、スパイス魔法の抗体ワクチンがすでに大魔人会で作られた後で彼女の魔法は、まるで馬の魔人ゼブラに効かなかったが、彼女は、仲間達が救援にかけつけるまでの間、荒巻則夫を魔法障壁で守りきった。

ゼブラが逃亡してから、また、いつかのデジャヴのように

「大丈夫?」

と振り返るピクシースパイス。

「あら、あなた、どこかで会ったことない?」


「あの、握手会で……」

ともじもじして、答える荒巻則夫。


「あら、そう。いつも応援ありがとう」

ピクシースパイスに笑顔で言われ、荒巻則夫は、心臓がキュイィィン!!となる。

これは、この笑顔は、ピクシースパイスちゃんからのメッセージに違いない!!とまた荒巻則夫の妄想が働く。


僕ちんが倒すべきは、街の不良なんかじゃない。

魔人だ。魔人を倒して、今度は、僕ちんがスパイスちゃんを救うんだ。

そして、全ての魔人を倒した時、僕ちんとスパイスちゃんは、結ばれる。結婚するんだ。

なぁ、そうだろ?小梅?


その後、荒巻則夫は、馬の魔人ゼブラを含めた6体の魔人を倒し、警察に捕まる。

フゴウ・タカラの手によって、釈放された時も彼は、妄想を働かせ、


スパイスちゃんが裏から手を回してくれたに違いない。もう、僕ちんにぞっこんだな、小梅。

と思っていた。



そして、現在――。

「スパイスちゃんは、いや、小梅ちゃんは、僕ちんと結婚するんだ!!」


「えぇえええ〜!?そんなの私、約束してないよ!」


「え?え?何を言ってるの?小梅。僕ちんとあんなに夢の中で愛を語りあったじゃないか!!」


「そんなの知らないわよ。つか、あなた、誰?」


「そんなぁ〜!!」

荒巻則夫は、まるでピクシースパイスに覚えられてなどいなかった。

「ええい、物語の邪魔だ。退場しろ、モブキャラ」

フゴウ・タカラのダイヤモンドダストMk19から青いレーザーが照射され、青い炎に包まれ、荒巻則夫は、丸焼きになる。

「あっち!あっち!!あっちっち!!」

荒巻則夫は、のたうち回り、水を求めて、走り出した。

そして、二度とこの物語に帰ってくることは、なかった。

以上、世界一どうでもいい話、終わり。

物語の本軸に戻る。

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