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ピクシースパイス ―魔法少女大戦―  作者: 弥馬田 ぎゃん


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加鳥花子エスケープ

深夜、新大阪都庁の元魔法少女課人事部の部長室で一人の初老前の中年男性が黒の革張りの椅子の上に座り、魔法をかけられたように固まっていた。

男性は、国家公務員で元魔法少女課の人事部長に他ならなかった。

「何が目的だ?」

元魔法少女課人事部長は、ハンズアップしながら、訊いた。

元人事部長の周りには、銀色のバランスボール程の球体が変形して、銀色の巨大なヤドカリ型の戦闘ロボになったスプリングバルーンが四体いて、銃口を向け、彼を囲んでいた。

「君は、いったい、誰なんだ?」

元人事部長に訊かれた金髪ボブヘアの灰色のミニスカドレスの少女は、銀色に光る歯の矯正器具を光らせ、ぐにゃりと口元を邪悪に歪ませた。


「ハンッ。やっぱり、私の事、覚えてなかったか。言った方は、覚えてなくても、言われた方は、覚えてるって、あれ、ホントね」

加鳥花子は、緊迫感で動けない元人事部長の肩をトントンとマジカルステッキで軽く叩いた。


「私が君に何かしたというのか?」

元人事部長は、油汗をたっぷりと額に噴き出して、垂らしていた。


「あんたが私に言った事を私は、一度も忘れた事はないわ。頑張るのは、当たり前の事なんだよ。キミ、普通だよ。キミは、魔法少女になるには、まとも過ぎるんだよ。あの時のあんたの言った3つの言葉が今の私を作った。つまり、今、あんたがこういう状況になってるのも、全ては、回り回って、あんた自身のせいってワケ。因果応報よ。自分の吐いた言葉には、責任を持たなくちゃ。それが大人として、《フツー》でしょ?」


「なんの事を言っているんだ?」

元人事部長は、自分が加鳥花子を魔法少女適性試験で落とした事など、まるで覚えていなかった。


加鳥花子は、マジカルステッキを元人事部長の鼻先に向けた。

「キミ、まさか、魔法が使えるのか?魔法で私を殺すのか?」

元人事部長は、マジカルステッキの先に充血し、潤んだ目を向け、ヒーホーヒーホーという呼吸音と鼻水を垂らした。

その情けない姿を見て、加鳥花子は、マジカルステッキを下げた。

はひっと呼吸を止め、ふーっと元人事部長が息を吐いた瞬間、パンッと乾いた音が室内に鳴り響く。

加鳥花子のマジカルステッキを握っていない方の左手には、3Dプリンターで作った小型の銃が握られ、その銃口は、まっすぐに元人事部長の心臓へと向いていた。

元魔法少女課人事部長は、即死した。


「テメーみたいなモブキャラ殺すのに、魔法なんて使うわけねーだろ」

そう言って、加鳥花子は、元魔法少女課人事部の部長室を出る。

向かうは、もう一人の復讐相手、柊 香子の元だ。

と言っても、彼女の予想では、すでに柊 香子は、蝉川秀一によって、殺されているはずである。

死に顔を見るだけで、味気ない復讐だな、と思いながら、加鳥花子は、元魔法少女課室長室に入った。

しかし、そこには、予想と違う景色が広がっていた。

室長室の左側の壁が綺麗に四角く切り取られ、無くなり、外と繋がっている。

切り取られた瓦礫の小山の向こうに倒れた柊 香子。

それと当たり一面に散らばった幾本もの人間の腕程の太さのイカの触手の残骸――。


まさか、柊 香子相手に同士討ち!?


加鳥花子は、言葉を失い、呆然と状況を眺めるが、すぐにそんなはずはない、と冷静に考え直す。


同士討ちなら、ここにイカの触手以外に蝉川秀一自身の遺体がないのは、変だ。

まだ、蝉川秀一は、誰かと戦っている?

誰と?

一階から唯一、上がってきた魔法少女ピクシースパイスは、私が待ち伏せして、スプリングバルーンを使って、すでに排除している。

他にもエレベーターの落下で生きていた魔法少女がいたというの?


考えがまとまらないうちに一階の方からドガンと轟音に近い何かが崩壊した音が響く。


やはり、誰かと誰かが戦っている。

蝉川秀一と誰かか?それとも、私の知らない第三勢力がいて、まったく知らない誰かと誰かとの間で争いが勃発しているというの?


加鳥花子は、嫌な予感がした。

というより、先の読めない展開に恐怖した。

自分の計算外の事が起きていることに軽いパニックを起こし、頭が真っ白になっていく。

何より彼女にとっては、これが初めての戦場なのだ。

気づけば、彼女は、室長室の壁が無くなった左側から外へと飛び出し、飛行魔法で新大阪都庁から一目散に逃げ出していた。


これは、逃亡じゃない戦略的一時撤退よ

と言い訳して、彼女は、夜空の彼方へ飛び去った。

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