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ピクシースパイス ―魔法少女大戦―  作者: 弥馬田 ぎゃん


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柊 香子の追憶 出会い編

中学三年生の頃、国の全国児童健康診断で私に魔法少女因子があると発覚した時、私は、畜生と思った。

私にとって、人を思うがままに操る思考ジャックという魔法は、最大の秘密であり、切り札であり、人生の必勝法だった。

大人になるまで、この魔法を隠し通し、普通の少女としての前歴をしっかり残したうえで、大人になってから、誰にも悟られずにこの能力を最大限活用し、人生の旨味を吸うつもりでいた。

今まで国の全国児童健康診断は、医者の思考を完全に操り、パスしていた。中学三年生を過ぎれば、国の魔法少女因子の調査の対象から私は、外れる。

その後、どうしようが、私の自由になるはずだった。

が、その年から検査の方法が変わったようで、私の身体的データは、医者の手を介さず、ダイレクトに国に伝えられてしまった。

人の思考を操れても、機械の数値までは、私は、操れない。

私に魔法少女因子があると発覚すると、すぐに国のお役人が私の家にやって来て、母を相手に魔法少女適性試験をお子さんに受けさせるようにと説得して来た。

母は、私が魔人と戦うことの危険性など、まるで考慮に入れず、

「いいんじゃない。あんた、魔法少女になりなさいよ。いい機会だから、一人暮らしも始めなさい。魔法少女としての給金は、私がしっかりと保護者として、管理してやるからさ」

と言った。

母は、そういう人だった。

10代の頃にある金持ちとの間に私をもうけると、その金持ちと結婚し、20代前半で離婚。多額の私の養育費と慰謝料で贅沢な暮らしをし、20代後半でそのお金に底が見えだすと他の金持ちと再婚し、一年足らずで離婚。また、その男からも多額の私の養育費と慰謝料を貰い、それで生活し、今は、若いグッドルッキングガイ達を金で毎日、取っ替え引っ替え。

男から養育費を受け取る為以外に利用価値の無い私の世話などいつまでもしたくないと公言し、子持ちから独身に戻りたい母にとっては、ちょうどいい厄介払いで私の命など、正直、どうでもよかったのだろう。

私もその瞬間から、母の元から離れられるいい機会だと頭を切り替えた。

というのも、魔法少女適性試験を受けるにあたって、国のお役人から魔法少女因子は、どの女性からも18歳を機にその効力を失うと聞かされたからだ。

つまり、私の大人になってから、思考ジャックの魔法を存分に使い、人生のステージを上げるという計画は、その時点で破綻していたのだ。

こうなれば、魔法少女になり、実績と結果を残し、その経歴を存分に活かして、少しでも良い社会的地位を自力で手に入れるしかない。

母のように女である事を存分に活かし、他人の財産をかすめとるような人生は、私は、ごめんだ。

私は、私の自力で一財産と地位を築くのだ。

私は、私の利得の為に魔法少女になる事を選らんだ。

きっと誰しもそうだろう。

他の魔法少女志望の女性もそれぞれの利得の為に魔法少女を目指すのだろうと私は、思っていた。

しかし、私は、魔法少女適性試験会場であの女と出会った。

実技試験前の魔法少女課人事部による面接でその女は、私の隣の席だった。

魔法少女志望の女性一人一人が魔法少女になりたい動機を面接官に語る中、その女は、臆面もなく、自分が魔法少女を目指す動機をこう語った。

「私に人を助ける力があるのなら、一人でも多くの人を助けたいと思って、ここに来ました。命懸けの仕事である事は、わかっています。それでも、魔法少女になれる力があるのに、人を助けられる力があるかもしれないのに、その力の宿命と責任から逃れて、普通の人として、生きていくことは、私には、できません。この力は、社会の為、人々の為、平和の為、正義の為にこそ、使われるべきです。誰かを守る為なら、この命を燃やし尽くす覚悟が私には、あります。私が社会や人々や平和や正義を守りたいのは、社会や人々や平和や正義が私にとって、必要だからです。誰かを守る事は、私の中で私自身を守る事と同義です。私は、誰かが私に助けを求めた時に手を差し伸べられる私でありたい。そういう理想とする自分を守る為にも、人を守る仕事は、私の天職だと思っています。私に正義の為に戦う権利と人々を守る資格をください。お願いします」

その女が深々と頭を下げ、面接官が、まだ志望動機を聞いているだけだから、そんなに気張らずにね、と言われて、顔を真っ赤に火照らすのを見て、私は、恥ずかしい奴、白々しいと嫌悪感を抱いた。

正義の為?だと?

そんなものの為に戦う奴がどこにいるというんだ?

頭が沸いてるのか?

しかし、その女の瞳を覗いても、偽善のようなものは、感じられなかった。

それが、私を余計に苛立たせた。

だから、私の番が来た時、私は、志望動機をこう答えた。

「私が魔法少女を志望するのは、自分の利得の為です。誰かを守る為に死んでやる気は、毛頭ありません。自分が出世する為に魔人達を皆殺しにし、私が長きに渡る魔人達との戦いに終止符を打ちます」

ぱちぱちぱちと私の隣から拍手が鳴った。

見ると、先程のむかつく女が私を目を爛々(らんらん)と輝かせ見ていた。

それが私、柊 香子と藍井エマとの出会いだった。

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