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ピクシースパイス ―魔法少女大戦―  作者: 弥馬田 ぎゃん


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加鳥 花子VSピクシースパイス

加鳥花子は、新大阪都庁の40階の大型搬入口エレベーター前で待っていた。

自らがエレベーターごと一階まで落下させた魔法少女達のうちの誰かがが40階まで上がってくるのを――。

百戦錬磨の魔法少女達がこれぐらいで全員、死んだなどと、思う程、加鳥花子は、楽観的ではなかった。

誰かが、必ず生き残って、この40階まで上がってくるはず――、それを予想せず、油断して相手に背中を見せるまねは、愚の骨頂。

一階から這い上がって来た魔法少女をここで確実にトドメを刺す。

それが終わるまでは、安心して目的に向かうことなど、できない。

落下したエレベーターからではなく、階段からこの40階に登ってくる可能性もあるが、非常階段の出入り口の扉は、ここから、ちゃんと見えている。

警戒は怠らない。決して。

あの弥馬田グフ子を相手するつもりで、望まなければ――、これが私の輝かしい初陣なのだから。

加鳥花子は、そう自分を律して、今か今かと魔法少女のうち誰かが、上がって来るのを待っていたが、40階は、少し不安になる程の静けさだった。

一般職員のほとんどが、すでに帰宅している時間帯だ。当たり前と言えば、当たり前なのだが。

今は、戦時。加鳥花子は、あの魔法少女達全員を相手に戦争をしている。

戦場の静けさは、決して、安心感を与えるものではなく、加鳥花子の緊張感は、徐々に徐々に増していた。

その時、エレベーターの扉がベコベコベコと音を立て、内側から盛り上がり、一瞬後には、火災時に起こるバックドラフト現象のような衝撃と勢いで、加鳥花子に向かって、飛んで来た。

加鳥花子は、それを魔法障壁で防御して、弾き飛ばした。


「生き残ったのは、あんたか。ピクシースパイス。てっきり、ブルーファイアが上がって来るもんだと、思ってたけど」


暗い空洞となったエレベーター内から40階へ飛行魔法で移動し、着地し、登場したピクシースパイスの瞳には、怒りの感情が宿っていた。


「お前、その灰色の魔法少女のコスチューム……!!」


ピクシースパイスは、ぶるぶると震える手で加鳥花子の着ている大きなリボンが胸元についた灰色のミニスカドレス、魔法少女の戦闘服を指差す。


「ああ、コレぇ?ピクシーブロックから剥ぎ取って私のものにしたのよ。だって、もうアイツには、いらないでしょ?死人なんだから」


「お前が師匠を殺したのか!!」

ピクシースパイスは、怒りに任せ、展開した魔法障壁を前進させ、加鳥花子に向かって、突撃させる。


加鳥花子は、それをマジカルステッキを振るい、自らの魔法障壁で受け止め、押し返す。

「魔法障壁の中に何重にも魔法障壁を展開させ、高密度な魔法障壁を作る。やってみると、意外と簡単ね」


「お前、どうして、私と師匠しか知らない秘密をっ……!!」


「盗聴したのよ。修行中くらいスマホの電源は、切っておくべきね」


ピクシースパイス古生小梅は、加鳥花子の押し返して来た魔法障壁をさらに自らの魔法障壁で押し返す。

「今すぐ、その服を脱いで、マジカルステッキと一緒に返せ!!それは、師匠のもので、お前が使っていいものではない!!」


「バ〜カ、誰が返すか。欲しけりゃ、力ずくで奪ってみな」


「このくそアマっ!!」

ピクシースパイスは、魔法障壁にマジカルステッキを使って、力を込めるが、それでも加鳥花子の魔法障壁と拮抗していて、二人を挟む中間地点でぴくりとも、動かない。


「フン。やはり、この程度か。最弱の魔法少女」

加鳥花子は、鼻で笑うと、

ピクシースパイスと押し合っている以外の小さな魔法障壁を展開させ、その小さな魔法障壁でできた3つの半透明なキューブを作った。

そして、その半透明な小さな魔法キューブをピクシースパイスに向かって、射出した。

魔法キューブは、真っ直ぐ直線的に銃弾のような速さで飛んでいき、二人の押し合っている魔法障壁を貫通――、ピクシースパイスの腹部にめり込んだ。


「ぐっ」

ピクシースパイスの魔法障壁は、消失し、膝をつくピクシースパイス。


「頭が悪くて、何が起きたか理解できてないみたいだから、教えてあげる。魔法障壁の中に何重にも魔法障壁を展開させ、高密度にさせた魔法障壁を縮小させるとさらに高密度になるの。高密度な魔法障壁は、サイズを小さくすれば、する程、大きなサイズのものより高密度になり、大きなサイズの魔法障壁を簡単に破壊できる強度になる。その強度の増した超高密度の魔法障壁でキューブを作り、あなたの平凡な魔法障壁と私の魔法障壁を貫き、あなたの腹部に着弾させたってワケ。凡は、教えられたことしかできないけど、天才は、そこから応用を思いつく。これが、あんた達、魔法少女と私の頭脳の差ってワケ。いや、生物としての格の差かしら。オホホホ」

加鳥花子は、言って、わざとらしく、笑ってみせた。

「どうして、あたしがベラベラ種明かしすると思う?だって、それ、致命傷だもの。あんた、もうすぐ死ぬのよ」


魔法キューブの当たったピクシースパイスの腹部からは、すでに血が吹き出ていた。

「くそ、お前……」


「ああ、魔法障壁で敵わないからって、スパイス魔法を使っても、無駄よ。大魔人会のDr.ゲルリオンが作ったスパイス魔法の抗体ワクチンを私は、すでに打っているから、そんなものは、私に効かないの」

それは、加鳥花子のついた嘘だった。かつて、魔法少女と敵対していた組織、大魔人会に所属するDr.ゲルリオンが開発したスパイス魔法を無効化する抗体ワクチンを入手するルートと時間的猶予を加鳥花子は、持っていなかった。

実際、肉体を麻痺状態にさせるスパイス魔法をピクシースパイスがここで加鳥花子に使っていれば、瀕死のピクシースパイスでも勝てた可能性は、ある。

が、ピクシースパイスは、腹部の痛みで頭から血の気が引き、スパイス魔法を一か八か、使ってみる発想自体が浮かばなかった。


「まぁ、念の為、あんたの後始末は、この子達にやってもらうわ」

加鳥花子がそう言って、指を鳴らすと、

銀色のバランスボール程の大きさの球体が二つコロコロと転がって、暗がりの廊下の奥から出てきた。

銀色の球体は、ピタっとピクシースパイスの前で止まると、前面の球体部分が開き、中から銀色の巨大なヤドカリみたいな機械が姿を現した。


「この子達は、あんた達、魔法少女の代わりの戦力にする為に国からの依頼でフゴウ・コーポレーションが作った殺戮兵器もとい戦闘ロボット。スプリングバルーン」

カタカタと音を立て、足を動かし、ピクシースパイスに近づいていく巨大な機械仕掛けのヤドカリは、感情が無いだけ、不気味だ。

加鳥花子の固有魔法は、電脳ジャック。

この世のありとあらゆる機械を自由に操ることができ、支配できる。

当然、国の安全を守る為に作られたロボットであるスプリングバルーンも彼女の支配下にあり、魔法少女殺害の命令信号は、すでに電脳ジャックにより下された後である。

「機械だから、当然、この子達にも、あんたのスパイス魔法は、効かない」

言って、余裕満面な加鳥花子は、ピクシースパイスに背中を向けた。

「アデュー。最弱の魔法少女」

加鳥花子は、暗がりの廊下の奥へと消えていき、

ピクシースパイス古生小梅は、それを追うことは、できなかった。

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