クラーケンマン逮捕
新大阪都庁の最上階、知る人ぞ知るいわゆる五稜閣の間で、元魔法少女課化学分析班 班長の柳 大和は、半透明の石碑のような魔法障壁に似てる光学フィルター五枚が並んでいる前に直立し、向かい合っていた。
その五枚の半透明の石碑のような最新化学の随意の結晶である板が、この国の中枢を握っている五稜閣と呼ばれる5人の権力者に繋がっているという事実を柳 大和は、知らない。
柳 大和は、ただその光学フィルターが通信で現内閣より上の存在、影の内閣、シャドーキャビネットに繋がっているとだけ聞かされている。
正式に五稜閣の名称を聞かされる程の選ばれし立ち位置に柳 大和は、いない。
しかし、柳 大和は、よくわからないだけに、その謎の上層部に繋がってるだけの板に異常に緊張した。
彼の隣に特殊拘束具と猿ぐつわを付けられている時東誠人が物のように立て掛けられているせいもある。
時東誠人は、自宅で就寝中のところを北大阪府警預かり魔人対策課特殊強襲部隊の襲撃を受け、麻酔で強制的24時間昏睡状態にされ、拘束され、今、ここにいる。
五稜閣A「柳 大和元魔法少女課化学分析班班長。我々は、時東誠人の月一回のメディカルチェックと魔人細胞の分析を担当していた君の私見を聞きたくて、今回、この場に君を呼んだ」
五稜閣B「現在、クラーケンマン時東誠人は、ピクシースナイパー殺害の容疑が掛けられている。君から見て彼が犯人である可能性は、あるかね」
柳 大和は、慎重に言葉を選らばなければならないと思いつつ、答える。
「ありえません。時東誠人は、最後の敵性魔人である久保田 和也討伐に協力してから、ずっと魔法少女課の為に尽力して来ました。ピクシースナイパーを殺す動機もないはずです」
五稜閣C「しかし、現にピクシースナイパーの殺害現場から、魔人細胞が発見されているのだぞ。それもイカの魔人の。区境警備隊の監視塔の監視カメラの機能が何者かによって、不能にされ、犯人に繋がる映像が一切ない現在、それが唯一の手掛かりなのだぞ」
「彼は、魔人細胞が弱体化して普通の人間に戻りかけています。とてもじゃないが、必中の魔法少女ピクシースナイパーに勝てっこない。彼には、ピクシースナイパーの殺害は無理です」
と柳 大和は、声高に主張した。
五稜閣D「何者かと協力して、殺害した可能性は、ないか?魔法少女狩りは、単独犯ではないのだろう?」
「ですから、彼には、動機がない!」
柳 大和は、謎の上層部を恐れながらも、声を荒げていた。
五稜閣E「久保田和也の意識が復活したという可能性は、ないかね?あるいは、彼は、最初から時東誠人のフリをしていた久保田和也だった可能性は?君達に自分は、時東誠人だと思い込ませ、ずっと騙していた可能性は?」
柳 大和は、返す言葉を失う。
最後の敵性魔人、もう一人のクラーケンマン久保田和也を討伐するにあたり、あの時、魔法少女課は、魔法少女全員による最上級攻撃魔法マジカル テラ・アトミック ビッグバンを使用した。その際、本作戦に協力したクラーケンマン時東誠人は、久保田和也と共にマジカル テラ・アトミック ビッグバンによって、肉体がバラバラになっている。
上からの命令で時東誠人を生き返らせなければならなかった魔法少女課化学分析班は、当時、バラバラになった時東誠人の肉体を再生させる為、同じようにバラバラになっていた久保田和也の魔人細胞を多量に使った。
正直、当時、無事、再生した時東誠人の肉体で時東誠人が目覚めるか、久保田和也の方が目覚めるかは、大きな賭けだった。
目覚めた時東誠人が、本当は、久保田和也だった。という可能性は、考えうる中で最悪の可能性だった。
五稜閣A「黙ってしまったか……。どうやら、君でも時東誠人の容疑は、晴らす事ができないようだな」
五稜閣B「我々も残念だが、クラーケンマン時東誠人は、容疑が晴れるまで、新大阪都庁の地下13階、特別収容所で監禁しておく他あるまい」
柳 大和は、「監禁!?」と声を上げ、
「いったい、彼をいつまで監禁するおつもりですか?」
と訊いた。
五稜閣E「無論、他のピクシースナイパー殺害犯が捕まり、彼の容疑が完全に晴れるまで、永久にだ」
「永久に!?」柳 大和は、五稜閣の言葉をオウム返しし、自らの責任を感じた。
時東誠人が地下13階に投獄されるのは、自分のせいもあるのではないかと――。
こうして、時東誠人は、ピクシースナイパー殺害の容疑で正式に逮捕され、新大阪都庁の地下13階に眠ったまま、閉じ込められる事になったのである。




