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ピクシースパイス ―魔法少女大戦―  作者: 弥馬田 ぎゃん


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必中の魔法少女VS復讐者(?)

―北大阪府シティ・南大阪自治区 区境くざかい北大阪府シティ側監視塔―

必中の魔法少女の異名を持つピクシースナイパーは、ライフルを構え、スコープを覗き、監視塔の上で区境警備の任務に当たっていた。

南大阪自治区からの違法越境者を一人残らず、法に則り、自慢の必中魔法を使い、ライフルで撃ち殺す。それが、今の彼女の仕事だった。

国務遂行の為、魔法の使用が許可され、彼女には、一切の監視が付いていない。引退をせずに、魔法能力を維持する事を選んだ魔法少女の中では、彼女は、異例の高待遇だった。

それ程に彼女の必中魔法は、区境警備という任務にばちハマりし、国からの高評価を得ていた。

なんせ、彼女の視認したターゲットは、いかなる者であろうと、彼女から放たれたものから、逃れる事ができない。ライフルから射出される銃弾の100%の命中は、そのまま100%の殺傷能力を意味する。

魔人による日本国民の大量虐殺の無くなった世では、南大阪自治区から来るテロリストの侵入を如何に防ぐかが、日本政府の早急に解決すべき、課題だった。

その解決策として、必中の魔法少女ピクシースナイパーは、国から大抜擢されたのだ。

他の魔法少女の能力と違って、彼女の魔法能力は、人を殺し過ぎるという事がない。狙った者を狙った数だけ、ぴったし、殺す。

それは、南大阪自治区からのテロリストを防ぎたいが、南大阪自治区との大々的な戦争は、起こしたくない日本政府にとって、非常に都合の良い能力だった。

だから、彼女は、重用された。だからこそ、ピクシースナイパーは、特別待遇を受けているのである。

彼女自身は、その新しい生活に満足していた。

なんせ、魔人との戦闘と違って、自らの命が奪われる心配がない。高い監視塔の上から無慈悲に無力な人間を撃ち殺すだけの絶対的優位が補償された簡単な仕事だ。

たまに、地上から逆にピクシースナイパーをライフルで狙って来る者もいるが、そんなものは、魔法障壁で簡単に防げてしまう。そして、彼女を狙った狙撃手は、その後、一人残らず、彼女の必中魔法によって、撃ち殺されている。

高収入と安全が約束されているこのイージーゲームから彼女は、降りる気は、まるでなかった。

元魔法少女課室長の柊 香子から「このままだと、お前は、死ぬ事になるぞ」と魔法少女課があった新大阪都庁に帰還するようにと促すメールが届いていたが、無視した。

今度の敵は、魔法少女と魔人との戦闘で死んだ一般人の遺族。逆恨みしたただの40過ぎの50近いジジイだと云う。

ピクシースナイパーは、それを聞いて、鼻で笑って、相手にしなかった。

魔法をすでに使えなくなっているピクシートラップ弥馬田グフ子にそのジジイが敗北したらしいとさらに続けざまに報告を受けて、嘲笑った。

ただの人間に成り下がったピクシートラップに負けるような奴に、このピクシースナイパーが何を恐れるところがあるというのかと――。

ましてや、ここは、区境警備隊が常駐している監視塔だ。部外者が簡単に侵入できる場所ではない。

セキュリティ的にも新大阪都庁よりこちらの方が安全だ、とピクシースナイパーは、思っていた。

その日は、すでに深夜0時を廻り、一人の違法越境者もおらず、ずっとスコープを覗き続けていたピクシースナイパーは、精神的に疲弊していた。



「今日は、一キルもなしか……」

彼女がそう呟くと後ろから、コツコツと階段をゆったりと歩く靴音が聞こえてきた。



「調子は、どうだ?」

そう言われて、黒ヘルメットにミリタリージャケットの男から差し出された白のマグカップから湯気を立っているコーヒーを受け取り、ピクシースナイパーは、



「ぼちぼちでんな」

と答えた。


その瞬間、ピクシースナイパーの両手からライフル銃が離れてしまう。

ピクシースナイパーにホットコーヒーを渡した男は、迷いのない動きでそのライフル銃を蹴って、監視塔の上から南大阪自治区側の地面へと弾き飛ばした。



「なっ!?」



ピクシースナイパーは、虚を突かれたが、男がナイフを取り出すのが見え、瞬時に魔法障壁を発動させ、その魔法障壁で男を押し、距離を取った。

男は、フゴウコーポレーション社製の超振動ナイフでそれを豆腐のように、いとも簡単に切断する。

白のマグカップが バリン! と音を立てて、床で砕ける。

男は、ピクシースナイパーに向かって、ゆっくりとした足どりで前進して来る。

ピクシースナイパーは、飛行魔法で宙に飛び、さらに距離を取った。

遠距離攻撃こそが、彼女の真骨頂。

ピクシースナイパーは、太ももやブーツの中のくるぶしの横などに仕込んでいたクナイのようなナイフを4本あらぬ方向へ投げた。

それが彼女の必中魔法によって、大きくカーブし、男の両太ももと両腕に刺さる。

男は、前進する動きを止めた。



「まさか、私の必中魔法がライフル銃だけにしか使えないとでも、思ったぁ〜?詰めが甘いんだよ!ジジイ!」

ピクシースナイパーは、安全圏の空中で男を嘲笑った。



「ピクシースナイパー片寄かたよりあずさだな?」

と男は、訊いてくる。



「はぁ〜!?質問できる立場か?テメェ、状況、わかってんのか!?さっさと、仲間がどこの誰なのか、吐けや!コラ!テメェが単独犯じゃない事は、われてんだよ!吐かなきゃ、今度は、こいつをお前の心臓に刺すぜ!」

ピクシースナイパーは、そう言って、自らの腕に仕込んだクナイのようなナイフを2本、取り出した。



「一年前、お前達、魔法少女が殺した少女の名を覚えているか?」

と男は、訊いた。男の顔は、暗がりでよく見えなかったが、包帯に覆われていた。



「な〜る〜。吐く気は無いと……。なら、死ねや!!」

ピクシースナイパーは、握ったナイフを2本、力任せに投げた。暴力的に空中をブレながら、飛んだナイフ2本は、男の心臓のある左胸部にブルに突き刺さったダーツのように命中した。



「おっしゃぁああ!!一発必中ぅ!!ワンキル達っせぇ~!!」

ピクシースナイパー片寄 梓は、空中でガッツポーズするが、その瞬間、両足を何かに掴まれ、引きずり込まれた。

見ると、心臓を刺されたはずの男の右腕が吸盤のある白い生々しい巨大な12本の触手に変わり、空中の片寄 梓の両足まで伸び、物凄い力で男の方へと引き寄せていた。

片寄 梓は、全身のあちこちに仕込んだクナイのようなナイフを何本も惜しげもなく、投げつけ、抵抗した。

が、触手の力は、一向に弱まる事はない。

片寄 梓は、触手男の目の前まで運ばれる。



「なんで!?何度も心臓に刺さってるはずなのに……!!」



片寄 梓の必中魔法は、確かに発動し、心臓のある胸部へとナイフを何本も命中させていた。

が、触手男の心臓は、魔人細胞によって形成されている胸部の分厚い筋肉によって、突き刺さったクナイのようなナイフが到達せずに守られていた。

男の12本の巨大な吸盤のある白い触手は、片寄 梓の全身を蹂躙するように包み込んだ。



「お前、ひょっとして、蝉川秀一じゃないのか?この触手は、クラーケンマン……裏切ったのか!?時東誠人ぉ!!」



そう叫んだ瞬間、片寄 梓は、12本の触手によって、握り潰された。噴水のように触手の間から、血飛沫ちしぶきが上がる。

その一時間後、16人の北大阪府の区境警備隊の遺体と共に片寄 梓の遺体が発見される。

その頃には、監視塔の何処にも、復讐者の姿はなかった。

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